2019-01-25

環境保全のためのレジ有料化」は偽善ではないか

最近、ついに近所のスーパーレジ袋が有料化した。これまでは特に追加料金なく利用できていたレジ袋が1枚あたり5円での販売になるという。こうした動きは、何も私の地元だけで起こっているわけではなく、全国的に見られるものだと思われる。その証拠に、昨年の秋「環境省小売業対象レジ袋の有料化義務付けることを検討している」との報道があった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36683740Z11C18A0EA2000/

しかし、レジ袋の有料化は本当に「環境保全のために」行われているのだろうか?

そもそもレジ袋の使用量を減らすことは、環境保全につながるのだろうか? 他にもっと有効手段があるのではないか? 私は環境問題専門家ではないので、具体的な統計データは持ち合わせていない。しかし、身近な状況を考えても、レジ袋の削減が直ちに環境問題改善に直結するほどクリティカル対策とはとても思えない。マイバックを持参してレジ袋を使うことをやめても、日々のゴミ捨てには同じようにプラスチック製の「ゴミ袋」が必要である。また日本では食品類を中心に、菓子が1つ1つ個包装されるなど、過剰な包装が至るところで行われている。そうした企業に対して過剰包装を規制するよりも前に、個人に対して負担を求めるレジ袋の有料化を優先的に行う合理的理由が語られているところを、私は見たことがない。

また、レジ袋の「有料化」というが、実は今までも決してレジ袋が「無料」だったわけではない。独自の割引サービス等を行っていた小売店を除いては、レジ袋を利用する/しないに関わらず、レジ袋代は「商品価格に上乗せされて強制的徴収されていた」とみなすの妥当だろう。その前提のもとでは、レジ袋を不要とする人に割引を行うのが筋であって、そもそもレジ袋代が含まれていた商品価格を据え置いたまま、レジ袋に対して課金要求するのは「便乗値上げ」以外の何物でもないのではないか? 1枚あたりたかが数円と言う声も聞かれそうだが、スーパーコンビニなどの小売店個人差はあれど市民が極めて頻繁に利用するものである。少なく見積もっても1週間に平均して5枚のレジ袋が必要で、それらが1枚5円と仮定すると、レジ袋代だけで1年あたり1,300円の負担増になる。逆に、毎日大量の客が来るスーパーのような店の立場から見れば、この便乗値上げによる売上増はかなりの金額になりそうだ。いい商売である

地元スーパーは「レジ袋代として得た収益は、環境保全のために寄付します」としている。これが何の言い訳になるのだろう? 消費者としては、仮に最初の数年は実際に寄付を行ったとしても、このスーパー永久にそれを続ける保証はないし、監視する手段もない。第一本当に環境保全に協力したい気持ちがあるのであれば、顧客から徴収したお金ではなく、自社の利益から費用を捻出すればよい。何でスーパーの身勝手ファッション環境保全活動に、顧客お金を出さなければならないのか。

私は別に環境保全のために買い物に行くときには、極力マイバックを持参するようにしましょう」というささやかな取り組みに対して猛烈な批判を展開したいわけではない。それだけであれば、可能範囲で喜んで協力もしよう。しかし、いま地元スーパーがやろうとしていることは、そういった素朴な環境保全キャンペーンと言うよりは、環境問題隠れ蓑にした便乗値上げでしかない。他にもっと合理的環境保全手段があるかどうかの検討もまともに行わず消費者経済的負担利便性の低下という重荷を押し付け、その上あろうことか自社は儲け、あわよくば環境保全に取り組む優良企業ですとアピールしようとしている。こんな厚顔無恥な「偽善」を、我々は黙って見ていていいのだろうか?

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