2018-03-05

漫画村問題出版社が大体悪い

今巷で話題漫画村問題について、

漫画村がでかい顔しているのは出版社作家から搾取して高給取ってるくせに何も対応策を打てない無能からだ!」



という意見結構あるが、元編集からちょっと言いたいこともあったり。


出版社作家から搾取

本がいくら売れても印税10しか渡さず出版社が90%を奪っていく……というとたしか搾取に思える。

だが、大体が出版社に大したお金は残らず、むしろ出版しても赤字になるのが現実である


仮に500円の本を1万部刷った場合、単純計算で500万円が発生する。

その内訳をざっくり考えてみると

・50万円…印税10%)として支払われる。

・150万円…出版社から書店に本を配る取次に支払われる。ここの割合出版社によってまちまち。

・150万円…印刷や包装、デザインなど製作にかかる費用


で残るのは150万円、約3割である

これだけ見るとなかなかの儲けだが、実際には全てが売れるなんてことはなく、返本分の金が消えていく。

3割の返本は当たり前なので、150万円分の売上が引かれて、残ったのは0円、儲けは完全に消え失せる。

(ここは単純計算しているので実際はもう少し異なるが)

3割ならまだいいが、売れない場合返本5割、時には7割なんてこともあり、そうなると大赤字である

さらに返本分を保管する倉庫代など、余計な出費がかさんで仕方がない。


これは、発行部数に対して印税が発生するパターンで、極論1冊しか売れなくても作者には50万円が入ってくる。

売れなかった時の金銭リスク作家ではなく出版社が背負っているのである

ちなみに、電子書籍場合は売れた冊数ベースで支払うので、1冊しか売れないと1冊分のお金しか入ってこない。


というわけで、搾取だと言われると少々厳しいところはある。印税20%なんて現実的ものではない。

ただ、出版不況発行部数が落ちている中では印税が下がっており、それが作家を苦しめてしまっているのは間違いないので、

とにかく売れる作品を作るために出版社も全力を尽くさないといけない。


もちろん印税5%とかは搾取だと思います……10%きちんと払いましょうね。



②高給

会社にもよるが、まあ高給であることが多い。

というのは出版はなかなか離職率の高い業界である

週休2日も必ずあるわけでもなく、休日だろうが年末年始だろうが作家からの連絡がくる。

旅行中だろうが病気中だろうが、いつ連絡がきても対応しないといけない。

そんな業種なのでストレスはどんどんたまり、合わない人はどんどん辞めていく。


そうなると人数が減って一人あたりの仕事量は増加し、残業代も多く発生する。


というわけでたしか編集は高給取りが多い。高給くらいもらわないとやってられない仕事である

正直なところいつ身体を壊して辞めるかわからない仕事なので、元気なうちに貯めておきたいと自分は思っていた。

契約社員編集なんかは給料が安いのにプレッシャーも大きくなかなかつらい立場である


ちなみに、非編集部門はそれほど給料が良いわけでもない……らしい。正直よく知らない。



③何も対応策が打てない無能

まさにその通りである

まず出版社は全体的に考え方が古いので、新しいビジネスについていくのが苦手な傾向があると個人的には思う。

からマンガ読み放題なんてサービスもなかなか手を出せず、漫画村のような海賊版サイトがのさばってしまう。

同業他社との連携も、作家の取り合いのようなライバル意識の影響はわからないが、元々小出版社が多く分配なども煩雑まりない。


また、漫画村対策もなかなかできない。

大手ならともかく中小出版社法務なんて大した機能がないことも多く、各自が対漫画村で行動を起こせるわけでもない。

法務がしっかりしていないと、どのような法に基づいてどうやったら摘発できるのか、法律プロではない編集にはよくわからないだろう。

身元がはっきりした立場権利侵害には動けるのだが…。

このあたりは法務がしっかりした大手が舵取りをして、出版業界全体で連携して取り組むべき問題なのは間違いない。



ということであれこれ書いてみたが、細かい数字などは間違いがあるかもしれないし、

自分知識過去のもの現在のものと変わっているところがあるかと思うので、あまりあてにしないでもらいたい。


なんにせよ、出版社作家のために頑張ってください。


記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん