ホテルマン自身が清掃を「楽で価値のない仕事」とバカにしているからです。
ホテルマンが勤務しているホテル営業の宿泊施設の大半が、清掃業務を外部委託しています。
しかし、一番の委託理由は「客室清掃が賃金に見合わない重労働」だからでしょう。
ホテルのフロント係が決して流さない多量の汗を、客室の清掃員が毎日引き受けて流しているのです。
一般的なホテルと清掃会社の請負契約はどうなっているかというと
契約の要といえる「一室辺りの清掃単価」、ホテルの規模や付随契約によっても上下しますが600円以下が多いと聞きます
清掃会社の間接費を引くと、300円以下になることも珍しくないようです
さて、ここで重要なのが契約書に書かれている委託業務の内容です。書面に載っていなければ強制される法的根拠はありません。契約の文中にない清掃不足は責任を負わない、当たり前ですよね。
つまり、ホテルマンが要求する清掃レベルが、契約の約束事として肌理細かに書き込まれていない限り、清掃会社の請負バイトが契約書面以上の作業を、献身的に行う義務は一ミリも無いと言う訳です。
一向に改善されない客室清掃のクオリティに腹を据えかねたホテルサイドの責任者が、直接客室に赴いて徹底指導しても、少なく見積もられた持ち時間を削られて不快な小言に付き合わされる請負バイトの感情を害するだけです。
結局その小言が契約書に書かれている範疇かが問題となってくる訳です。
金銭をケチって、請負バイトの献身性に委ねていたホテルの経営者を叱責すべきでしょう。
清掃クオリティにご不満があるなら自ら体験してみて下さい。ホテルマン自身が同じ時給で、その重労働を体験すべきです。最低一か月は継続して下さいね。
ルームメイクのキツさを知らないフロント係から高飛車に言われたのでは強い反発を覚えるだけです。契約書にない追加的要望を拒む権利が請負バイトにはあります。
同じ釜の飯を食って、請負バイトの愚痴や不満をたっぷりと聞けば、皆さんがどれだけ傲慢な振る舞いをしていたか気付くでしょう。
ホテルマンが客室清掃の体験初日に何室仕上げる事が出来ると思いますか。ホテルマンが常日頃求めている「完璧」を現場で実践するのであれば、請負バイトの半分にも満たない室数になるでしょう。一ヶ月経っても請負バイトの平均ノルマ、十室には遠く及ばないでしょう。
嫌と言うほど、ご自身が無理難題を押し付けていた事を実感できる筈です。ホテルマンには配慮と労いの精神、なにより想像力が足りないのです。
客室清掃を請負うバイトが一日に何室仕上げているのか。どんな思いで作業をしているのか。何を面倒に感じてどんなふうに時短しているのか。ホテルマンは肌身で感じ取るべきです。
そして、本当に改善すべきなのは誰なのか。その足りない頭でよく考えてください。ヒントは現場に、山の様に溢れている筈です。
客室清掃の不備を訴えるお客様の苦情は、委託したホテル自身が作り出していると。外注丸投げという名の怠慢がそうさせているのかも知れないと言う事に。