推しが幸せになったのならそれはとてもいいことだ、という気持ちも確かにある。強がりではない。
だけどそんな気持ち以上にしんどい。あんな細い指輪がこんなに殺傷能力が高いなんて思わなかった。
素直におめでとう、幸せになってよかったって言えない自分は多分推しが求めるファンではないのだろう。
嫁とふたりしてキャラを媒介にしながらネット上でお互いへの愛を語っていたことが一番キツイ。
私はキャラを大事にする推しが好きだった。そんな風に、道具として私物化するような人だったのか、と失望した。
正直、性格に難があってめんどくさい人間だとはずっと思っていたし、そんなめんどくさいところが好きだった。
本人曰く、8年間付き合った末に結婚したらしい。
お互いのTwitterやブログで、あたかも普段は親交なんて全くありませんよ、って素振りを見せていたことについては、
人気商売だし、交際中に明かすと色々と面倒なんだろうしそれはどうでもいい。
だけど、交際中にそうしてきたのなら8年なんて言うべきじゃなかった。
誕生日にチョコレートケーキを焼いてもらったことなんて知らずに生きていたかった。
推しは普段からファンをプライベートに立ち入らせないような発言をしていたし、こっち側とあっち側を明確に区別するその姿勢は好ましかった。
私はステージ上の推しが好きで、正直その裏を見ようとすれば見なくていいことも知りたくなかったこともあるだろうと思っていた。
結婚してすぐに「嫁のことは言わない」などと言っていて、表に出されなければこのまま応援できるかも、なんて考えたけれど、
言ってるそばから薬指には結婚指輪が光っているし、これは無理かも、と思った。
一週間どうやって過ごしたのかわからないけれど、翌週も指輪はついていて、嫁の話だって出ていた。
公私混同しない、っていうなら同い年のあの人の徹底ぶりを見習うべきだし、普段から惚気たいのなら同じ番組の別曜日を担当しているあの人を参考にしたらいい。
上手く立ち回ろうとして「戸籍が変わっただけ」とか言ってしまうところも含めて、こんなに浅はかな人なんだなあと失望した。
推しが結婚しておめでとうのひとつも言えずに失望している自分にも失望している。自分のことはもっと普通のファンだと思っていたかった。
チケットがバカみたいに余っていて、今更手放すこともできずに惰性で向かった。
イベントだし指輪を外してくれないかな、という僅かばかりの期待を裏切るように、指輪は定位置で輝いていた。
謎のリングも重ね付けされていた。結婚指輪感を薄めるためなのだろうか、逆に目立ってしまっていて少し笑いが出た。
今まで推しの現場はステージ上の推しと、客席のファンの空間だった。
その場にいないはずの嫁の姿がスタンドみたいにステージ上に見えてしまう。
生身の人間を見てるはずなのに夫婦の幻影を見ているようで、見ていられなくなってしまった。
見なくなればいっそ楽なのだろうけれど、多分またチケットをとって現場に通い、アニメを見て、ラジオを聞く。
惰性でも自分が知らない公共の推しが存在することを受け入れられそうにない。
決まっている現場がある、というのもあるけれど、女の趣味も性格も悪いところも含めて推しなんだよな、と思う。
他のファンはそもそも推しが一番好き、というファンは少なくて、乙女ゲーム経由とかで2推し3推しくらいの人と中高生が多いような気がしている。
所謂濃いファンというのが少ないという印象だ。そりゃ祝う人も多いよな、と思う。
推しの結婚後、自称リア恋がショックを受けながらもお祝いする、っていうブログが流れてきた。
ジャニタレと掛け持ちでどっちもリア恋らしい彼女のことが正直羨ましい。
どっちかが結婚してもまだどっちかがいる。
病気になってからでは保険に入れない、そのことを実感している。
離婚してくれればいいの?って聞かれたけどそういうわけでもない。
推し以上に自分がめんどくさい女すぎてしんどい。愚痴垢のツイートに同意しながらも、これ以上人気落ちたらさすがにやばいぞ、と思う。
どうなれば満足なのか考えてるけど、推しに落ちたときに戻ってそいつはやめとけ、って自分に言いたい以外何も思いつかない。つらい。
追記
これはまたナメクジのように気色悪い声オタが現れたな とりあえず一点、おまえに限ったことではないが、そこまで好きな相手を「推し」って呼ぶ文化、ものすごいキモいね 相手個人を...