遅い昼時、流行っていない定食屋に入ると客はただ一人自分だけであった。ぼーとしていると、涙がぽろぽろ流れてきて驚いた。
何の涙かわからないが、ともかく原因はわかっている。
部下が鬱で休職した。手塩にかけたといっていいほどの部下だ。
うちの会社(IT系)の立ち上げからの創設メンバーで、つい先日までバリバリとコードを書いて、客との交渉、要件定義をし、見積りに必要な工数計算までできる部下だ。
先日、突然ちょっとした言い合いから感情が爆抜したようになった後、「辛い」とだけ書かれたメールがきて休職となった。
なぜ、このようになったのか、何が起きたのかわからなかった。つい先日まで同じ部屋で同じ空気を吸っていたのだ。今年は確かに仕事の量は多かったかもしれないが過去これ以上の修羅場はいくつもあったし、乗り越えてきた。
しかし、数通のメールのやり取りと「辛い」メールの後、一回した面談で分かったのは典型的な鬱の症状だった。会社の最寄り駅の階段を上るときに動悸がする、手が震える、いっぱいたまったメール、slackやredmineが自分を押しつぶそうとする、これらを泣きながら話す姿を見ていると鬱と思うしかない。
自分もこの会社の創設メンバーの一人だ。創設からずっと一緒だった。正直、ブラックな時もあった、いやこの春もそうだったのかもしれない。
しかし、できるだけ仕事を共有し、負担を軽減し、状況もみて「辛そうだったら、俺にふるんだぞ」と言い続けてきた。過去はくじけそうになる僕を部下が叱咤激励することさえあった。その叱咤で頑張れた。その後は社員の質の向上を会社が掲げ、仕事環境もずいぶんと向上しているはずだった。メンバー全員がよい職場づくりを考えて改善してきた。今年は例年と比べて仕事量を減らしたつもりだった。
思い当たるところはある。
一人前になるにしたがって部下に任せきりになり、安心していた。一エンジニアの立場からマネージメントまでするようになって、僕の知らないところで客との交渉や調整で苦労がたまっていたのだと思う。忙しいときほどよく話すのがいつもだったが、今年は忙しくなって2人で話すことが少なくなっていった。
なぜ気が付いてやれなかったのか、どんなに辛かったのか、そんなことばかり思い浮かぶ。
電車の中、スターバックスでコーヒーを飲んでいるとき、帰宅途中の道で、ふと頭を空っぽにしたり気持ちが緩んだ時につい考えてしまう。そしてなぜか涙が出てくる。どうして、どうして、という思いと、こんなつらい気持ち以上に、当の本人が辛いと思うとやるせない気持ちになる。
相談してほしかった。力になれない自分が情けなかった。気がつけなかった自分が情けなかった。
周りは、直接の上司である僕がコンタクトはしないほうがよいという。だから今はメールも電話もしていない。
僕はその部下にとって「過労を象徴する」者で、辛い会社を代表する「悪の権化」となっているかもしれない。
今は部下が元気になれるように、休職制度の手続き、場合によっては転職によって仕事場環境を変えるときに不利にならないように交渉している。
定食屋の親父がこちらを見ていた。人前でいい歳の男が泣くなど自分でも思っていなかった。
僕でさえこんなに辛いのだ。僕以上に彼女はつらいだろう。そう思うとまた涙があふれてくる。どうしたらよいのだろう。
こんなことを匿名で書いていて、なんになるのだろうと思いながらも匿名ダイアリーに吐露するしかない。
4/28 2回目の追記)
8時間ほど前に追記と誤字の修正をしたのだけど、後で見てなんとよい子で優等生的な追記だろうと自己嫌悪になったのでこの追記を編集する。
増田のコメントに優等生な追記をしてどこまで僕は馬鹿真面目なんだろう。
僕もそろそろ心療内科にいかねばならない頃のようだ。いろいろなものを見直す時期だと思う。
今日、元社員に「〇〇さん(僕の名)はいいかっこばかりするんですよ」と言われた。かっこいい仕事ばかり取って金になる仕事をとらないのだという。
投資家やVCの顔色を気にして、会社の業績としてぴかぴかのプロジェクトばかりとっていたのだ。金儲けする泥臭いプロジェクトを避けていたのだと思う。
ベンチャーとして頑張らなければという気持ちが強かったのだが、それは言い訳だろう。僕の頑張りは僕の自己満足でそれで他のメンバーに犠牲を強いていたのだろう。
http://anond.hatelabo.jp/20170427184720 の続き。 部下は心療内科に通い始め、医者はストレスの原因となるものから距離を取るようにとの指示を出した。会社は僕に対して、部下へ最低限のフォ...
古い記事だけど、「なんとよい子で優等生的な追記だろう」とか文章の端々で自分に酔いしれてて気色悪いことこの上ない。 部下は増田をさぞかし恨んでるだろうよ。最悪の事態になら...