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2022-10-09

わたしは、ダニエル・ブレイク』とボロボロ靴の同級生吉原ソープ

ケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観た。名作なので是非ファスト映画しないで観てほしいが、要するにダニエルブレイクという失業者男性物語を通じて、イギリス中間層の人々の没落と緊縮財政の中で利用者尊厳を奪っていくような福祉制度批判している、ある種左翼的映画である取材に裏打ちされた、貧困に追いやられた人々のリアル描写に胸が痛む。

この作品に、ダニエルブレイクと心を通わせるシングルマザーの親子が登場する。

シングルマザーで貯蓄も仕事もない母親子どもに満足に衣服も買い揃えてやれない。小学生くらいの娘の靴も、ボロボロだけど接着剤でつないで凌いでいる。このボロボロ靴の のことで娘は学校イジメ対象になってしまう。そして娘のイジメきっかけに、靴を買い替えるお金を稼ぐために売春に手を染める。貧困が呼び起こす不幸のループに、やるせ無い気持ちになるシーンである

以下は自分のこと。

この映画を観て自分はこれまでの人生で起きた後ろ暗いことにスポットライトが当てられた気持ちになった。

ボロボロ靴について。

小学生の頃、自分スクールカースト下位のイケていない方で、いじめっ子体質の同級生毎日ビクビクしながら過ごしていた。そんなスクールカーストにも下には下がいて、自分よりも遥かにいじめられていたKという同級生がいた。Kがいじめられていた理由は、Kの家庭に原因があった。Kの家庭にはお金がなく、Kに服を満足に買い与えてやれていなかった。Kはまさに、靴底に穴が空いたボロボロ靴を履いて学校に通っていた。

Kのことを思い出し、純粋に哀れに思える立場であるのであればどんなに良かったか。何を隠そう、自分もKのいじめに加担していたのであるいじめられて泣いているKに対して心無い言葉をかけて、さらに追い討ちをかけていた。よくある話で、いじめ対象自分に向かないように、より自分の下のものいじめていたわけである学校クラスという閉鎖空間で起こる暴力的手続きの中で、自分もせっせと加担していたということだ。

吉原ソープについて。

人生で何度か、いわゆる風俗店に行ったことがある。当時付き合っていた彼女と別れ、1年以上セックスをしていなかったとき吉原ソープランドへ行った。ソープランドでしっかり射精して、満足していたのだが、時間が余り、世間話をした。彼女はもともと美容師をしていたというが、さまざまな薬液を扱ったことで手荒れが酷く、泣く泣く仕事を辞めていまの仕事に就いているとのことだった。それ以上の話は聞いていないので、この仕事に至るまでにどんなことがあったのかはわからないけれど、以前某芸人コロナ禍でお金に困った女の子風俗に来るのが楽しみ、などと言っていたが、そのような類の事情があったのだろう。なんだか彼女をしっかり搾取してるようでやるせない気持ちになり、以降、風俗店には行かなくなった。

今年、娘が産まれた。かわいくて仕方がない。娘の幸せを願ってやまないが、『ダニエルブレイク』そんなは自分に対してきっちり刃を向けてくる。弱きを挫き、搾り取る側に自分が立っているということを、否が応でも思い出させる。

この映画は、もし自分の娘が将来いじめられたら?自分失業し、娘に満足に服を与えてやれなかったら?妻や娘が生活のために売春せざるを得なくなったら?そのような問いを投げかけてくるが、自分がその問いを現実に突きつけられている人々を哀れむことを許さない。自分はただの加害者のクソ野郎から

こんなもの匿名で流しても、Kもソープ嬢も救われない。むしろ彼・彼女にとって自分はクソ野郎しかない。その事実絶対に変えられない。

一方、こんなのありきたりなよくある話でいちいち反省しなくてもいいという向きもあるかもしれない。だが、自分の中にある有害性について、ここで吐き出しておきたかった。

2020-09-12

[] 貧困の文脈で絶望したのはジョーカーよりも家族を想うときよりも『鉄くず拾いの物語』

ケン・ローチと同じく、さぁ泣け!同情しろ!って作りじゃなく、

極めて厳しい立場に置かれながらも、優しさとユーモアが感じられる作品なんだけど、

現実オチがね

 

実話を元にして主演は素人ロマの人なんだけど、映画成功は彼にまったく富をもたらさなかった

それどころか、映画成功金持ちなっちゃいないのに同じく厳しい立場にある同業者からやっかみを受け、

さらには怪我もして、まったく仕事が出来なくなってしまった

職に就いているときでも妻を病院へ連れて行くことすら困難を極めたのに(それが映画ストーリー)

それすらも失ってしまったのだ、しかも唯一の財産である健康まで失われた

 

ドイツ難民申請する・・・が、ドイツは無下に拒否特別扱いせずフローに従ったともいえる)

 

「裕福になりたいのではありません。普通仕事と、家族を養うチャンスがほしいだけなのです。子どもたちは道端で物乞いをしているが、私にはどうすることもできない」

https://www.hollywoodreporter.com/news/berlin-bear-winner-forced-seek-678201

https://www.afpbb.com/articles/-/3007151

 

2018年にも第63回ベルリン国際映画祭で受賞した銀熊賞トロフィーを売り払って、旅費にし、

映画祭で窮状を訴えようとするも、ドイツ難民申請をした際の罰金支払い義務映画祭の開幕前に強制帰国

 

そうして、貧困の中、怪我病気ストレス2018年に彼は死んだけど、

遺憾である哀悼の意を表します で おわり

 

言葉も無い

 

しかセレブじゃないワイらに出来ることってあるんでしょうかね?

加えて映画になっていないだけで同じ立場場合によっては最も酷い人たちもいる

 

決して先進国精神疾患開発途上国経済的困難よりもイージーであるとは思わないが

経済面だけに視点限定すると、やっぱ金がない国の方が経済的面での絶望感は強いかなって思う

2020-09-11

anond:20200911222025

ケン・ローチ好きか!家族を想うとき よかったよね

 

けどワイは格差や名ばかり事業主(日本でもコンビニフランチャイズ他たくさんある)よりも

あったか家族の方に目がいってしまい、非常にほっこりしてしまいましたわ

 

ダニエルブレイクも同様

なぜ真面目にやってきた人がこんなにも理不尽に追い詰められなきゃいけないのかよりも、

主人公紳士ぶりにほっこりした

 

怒りが動機リアリティある作品を作るんだけど、

いかにも怒れ・同情しろって作りじゃなくて、ユーモアと優しさがある監督だよね

 
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