2018-07-13

新型出生前診断中絶体験談

 40代前半の女性です。

新型出生前診断経験し、

初めて気づいたことや考えたことがあったので、

備忘録として残します。

 メディアがこの問題について発信する情報は、同診断を受けないことを決断した人、

あるいは受けて陽性が確定したけれども生むことを選んだ人を取り上げる「美談」が殆どで、

陽性確定者の多数派である中絶手術体験者の声が反映されていないと感じます

このため、手術体験である私の考えをお伝えします。

<経緯>

 30代の終わりから不妊治療を始め、40代の始めだった2016年体外受精で初の妊娠

同年に新型出生前診断を受けたところ、18トリソミーであることが確定し、手術。

<手術に踏み切った理由

・当時の私には、重要資格試験が目前に迫っていました。

試験勉強育児を両立させるために、健康であることは大前提でした

夫婦共に健康なので、子ども健康状態で産まれると思い込んでいました)。

 

 医療ケア児であれば、受け入れる施設も限られ、お世話に忙殺されることが予測されます

「もし産むと、あなた毎日家の中で赤ちゃんに付きっ切りだよ」と夫に言われ、

自分キャリア崩壊する怖さからわず「それは無理」と言い返しました。

 さらに、その子が将来、認知症などで要介護状態になれば、入れる老人ホームはあるのか。

ネット上には、医療ケア児の受け入れ先や成長後に関する情報ほとんどなく、不安に駆られました。

胎児女の子でした。心配なのは、この社会知的障害者に多発する性被害です。

施設に入れたとしても職員から被害を受けるのではないか

あるいは通所途中で誰かから……と考えると、とても我が子にそんな辛い体験はさせられないと思いました。

私たち夫婦染色体異常の子どもが産まれたとなると、

家族や親戚までが世間差別的な目にさらされるかもしれず、

もはや「自分たちさえ良ければ産める」という問題ではないと思いました。

 また私自身、高度な知性を要求される仕事従事しています

知的障害児を生んだ場合、私の知性すら信用されなくなるのではないか

人知からも憐みの目を向けられるのではないか、と懸念しました。

 そしてこのように考えること自体自分の中に知的障害者への差別意識があるのだと、

認めざるを得ませんでした。

<なぜ、新型出生前診断を受けたのか>

 私たち夫婦高齢なだけに、「障害がないことを確認し、安心してその後の妊娠生活を過ごしたい」と考えて

同診断を受けることにしました。

私としては、「事前に疾患がわかれば心の準備ができる」とも思っていました。

その時点では、どんな疾患のある子でも受け入れて産もう、と漠然と考えていたのです。

 ところが、いざ診断で陽性判定が出ると、上記に述べた様々な不安が一気に押し寄せ、

坂道を転がり落ちるかのように、気持ち中絶手術へと傾いていきました。

 しかし、実際に手術によって死産した我が子と対面した時、愛しさが込み上げ、

「なぜ息をしていないの。お願いだから生き返って!」と号泣しました。

手術を受けてから後悔しても遅いのです。

ももし、この診断を受けていなければ、とりあえず出産し、

覚悟を決めて育てていっていたかもしれません。

<新型出生前診断を受けるかどうか迷う人へのメッセージ

 「安心したいから」という理由で受ける人は多いようですが、お勧めしません。

私たち経験上、陽性判定を受けると冷静な判断力が失われ、未知の将来への恐怖心から

とにかく「生活が変わらない選択肢」を選びたい強い誘惑に駆られます

 従って、診断を受けるのは、

「陽性の場合は産まない」と決めた時のみとするのが良いと思います

 陽性でも産み育てることを決めているのであれば、「心の準備」は産んだ後からでも間に合うのではないでしょうか。

染色体異常を持って生まれてくる可能性への心配はあるにしても、

あらゆる状況を想定して、妊娠中に情報収集しておけばいいと考えます

カウンセリングのあり方>

 私がカウンセリングを受けたのは、出産予定先だった大学病院産婦人科からでした。

18トリソミーとして生まれ子ども知的身体的特徴について説明がなされました。

ただ、私たち親が知りたいのは、「そのような疾患を持つ子どもをどうやったら育てていけるのか」です。

 医療ケア児には、健常児にとっての保育園幼稚園学校に代わる施設はあるのか。

親が共働きでも育てることは可能なのか。

成人後の住居や生活費はどうするのか。

老後は介護施設に入れるのか、など。

 そうした社会サポートに関する情報医師からほとんど与えられず、私たち不安に駆られるばかりでした。

是非、これらの情報に詳しい専門家カウンセラーとして配置して欲しいと思います

 

メディアのあり方>

 冒頭で述べたように、新型出生前診断に関してメディアに登場する当事者には偏りがみられるため、

診断を受けるかどうかを迷う人にとってはあまり参考になりません。

 私自身、診断を受けるかどうか、手術に踏み切るかどうかを判断する際に、

手術体験者の声をメディア上に求めましたがほとんど得られず、

心細さを抱えながら性急な判断をせざるを得ませんでした。

 メディアが同診断に関する美談ばかりを取り上げることは、中絶手術を選ぶことを暗に非難するメッセージとなり、

手術体験者はますます沈黙を守ります

その結果、手術体験からアドバイスが発信されないために、受診者及び受診者予備軍が的確な判断ができないという、

悪循環に陥っているように感じます

 是非メディアが、多様な声を報道することを望みます

以上、ご参考まで……。

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(出典 https://anond.hatelabo.jp/help

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    • リベラルさん曰く胎児を殺すのは母親の自由だから罪悪感なんか持たなくていいらしいぞ、よかったね

      • 保守さん曰く精子を殺すのは父親の自由だから罪悪感を持たなくていいらしいぞ。よかったね。

  • 四十代でやっと体外受精で子供が出来てそれが障害児って時点でもう子供産める身体じゃないだろ… もう諦めろ

    • 30代で出産する時点で遅れ気味だと自覚ないマンコ多すぎ問題あるよな、マジで 婚活市場そのものが、各々の社会的階層における自然恋愛競争に敗北した連中の駆け込み乗車みたいなも...

      • 精子に問題があることも多いんだけど無知な男はすぐに女側の問題にしてしまうな。

        • 話題にしていないものは全部本人が理解していないものと看做すのって最高だな、何がとは言わんが。

        • デガラシマンさん落ち着いて 更年期障害始まっちゃいますヨ

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