検査の結果をまた聞きに行かなくてはならないんだけれど、しんどくてもう行きたくない。担当が診察をたてにプライベートなこと(出身学校・仕事の詳細・家族の病歴以外の詳細・趣味や通っているお店など)をしつこく詮索し、しかもそれをカルテに入力するタイプの医師だったからだ。
20代の自分は、まだ病院にそう縁がないけれど、今までの人生の数少ない通院のうちに、似たような不快な《学生同士が喋っているようなノリの》診察がいくつかあった。それは思い返すと大学生~現在までの数年間で集中して起こっていて、相手は大抵、20~30代の若い医師だった。
診察室って密室だし、他の人がどうやって受けているかもよく分からない。ブラックボックスみたいだなあとよく思う。その場所でさも『診察に必要な、当たり前のことを聞いてますよ?』という風に来られると、すごくプレッシャーになるし、答えなきゃいけないのかなと感じてしまう。正直ハラスメントに近いと思う。
こんな事言うと「自意識過剰な女だな」って笑われるかもしれないけれど、実際同性の女性医師からやられた事もあるから、男女問わず嫌な思いをしている患者さんは結構居るんじゃないかな、という気がする。無意識にやっている先生たちが少しは気づいてくれたら良いなあと思うし、他の人はどう対処しているのか教えて欲しくて、ここに書いておく。
・学歴厨がいつまでたっても治らない
学生ノリの医師は大抵タメ口、もしくは敬語が時折混じったタメ口だ。その医師が他の患者さんにもタメ口を駆使しているのかは分からないけれど、とにかく私を見た瞬間「馴れ馴れしくしていい存在」だと認識するらしい。
診察が始まると、彼らは 一通りふーんと病状を聞いた後、年齢と職業を確認する。そして「社会人3年目か~…年齢的にこの前は大学通ってたよね?どの辺り?^^」などと尋ねてくる。何て言うかまさに「^^」と言うしかない厭らしいニュアンスで(多分彼らだってこれが診察には不要な情報で、単なる好奇心で聞いているという自覚はあるのだ)しかし答えないと一向に診察が進まない。一度皮膚科で言葉を濁していたら、「ほら、キャンパスや学部によって気候とか…特別な薬品に触れていたかもしれないし」という訳のわからない言葉で促されたことがあった。だったら「薬品等を扱っていますか(いましたか)?」等の【はい/いいえ】で答えられる質問で良いだろうし、そんな稀な環境下ならそもそも自己申告するだろう。
診察が止まっているので、私はイライラしながら答える。特殊な気候や薬品なんかとはもっとも縁遠い、マーチの文系学部卒だ。これがまたすごく嫌なんだけれど、医師にとってマーチは「名前と雰囲気は大体分かる、詮索しやすい手軽な大学」らしく、一層ニコニコしながら「見学行ったことあるよ」「どこのキャンパス?」「サークル何入ってたの?」などと矢継ぎ早に質問が増えていくのだ。診察の半分が、意味のない雑談になっていく。(そしてそれをカルテに書かれる)
社会人になって、仕事についてもよく聞かれるようになった。ほとんどが「デスクワークですか?立ち仕事ですか?」程度だし、その位は診察に必要だと思えるので、何の抵抗もない。
ただ、保険証で職業がある程度わかってしまう人が一定数いる。そこそこ大きな企業とか、公務員や団体職員とか。私もその中の一人だ。だからといってまじまじと眺めるものではないだろうし、普通の医師が気にするのってせいぜい生保かどうか位じゃないかと思う。でも学生ノリの医師は、会社名・部署名まで聞きだしてくるから気分が悪い。
学生ノリの医師で一番酷かったのは、初診で診察室に入り、椅子に座った瞬間に「○○さんって〇〇勤務なんだね?勤務地どこ?」と来られたことである。病状も話していないのに、会って3秒の相手に、どうしてそんな言葉がかけられるんだろう。(さすがに会って3秒はその1回だけだけれど、保険証から詮索されていくことはよくある)
"薬品接触を心配していた"皮膚科は計3回行ったけれど、一向に症状が良くならなかったので、通わなくなった。
すっかり病院に行く気力は失くしていたけれど、痛み痒みが治まらずどうにもならなくなっていたので、しぶしぶ次の皮膚科を探した。新たに訪れた病院には、初老の男性医師がいた。パーソナルなことなんて一切聞かず、患部だけをじっくりと眺めていた。そして机上の本をめくって『これはよくある皮膚炎なんですけどね』と簡単に説明してくれた。写真には私の腕と同じぶつぶつが写っていて、適切な軟膏が塗られた肌は、あっという間に綺麗になった。
一部の医師がどうしてこんなに距離なしのコミュニケーションをとるのか、色々考えてみた。
・個人情報の詮索=患者との上手なコミュニケーションだと勘違いしている(カルテを無駄な情報で埋めると、仕事した気分になるのかもしれない)(そしてそういった情報が長期保存されていくのが、本当に嫌だ)
・患者に高齢者が多いため、高齢者に合わせた直截な会話に慣れてしまっている(詮索の仕方が田舎の老人っぽいのだ)
・高齢者が多いので、若い人が来ると気分転換したくなる(基本学生ノリの医師は、激混みの総合病院で発見する。勤務医なのでダラダラしたくなるのかもしれない)(患者は休みを取って来ているけどな!)
・医科大学出身で、医療系以外の友人が少ない?( 安易にコミュ障とか言いたくないけれど、他の学部・大学と交流の薄い単科大学だったりすると、医療職以外の一般の社会人ともあまり関わらず、結果ズレたコミュニケーションになるのかもしれない)
・単純に学生気分のままである(先生と呼ばれる職全体に言えると思うけれど)
・他にもあったら教えてください
自分に合う医師を見つけるって、つくづく大変だなと思い始めた。美容院みたいにいろんな人に当たってから指名ができれば良いけれど、病院で担当を変えてもらうのってとても難しい。合わなくても逃げられない。思えば子供の頃あんまり病院で嫌な思いしなかったのって、親がきちんと信頼できるお医者さんを見つけてくれてたからなのかもしれない。
人によって合う合わない医師は違うだろうけれど、「精度の高いスピーディーな診察」が誰にとっても嬉しいのは間違いないと思う。