はてなキーワード: 踏み込むとは
私は、プロテスタント系の教会で、日曜学校を教えている。先生もクラスも年齢別に複数ある。
感謝なことに、それなりに人数が多く、定期的に新しい人も来てくれる状況。
しかし、最近気になることが。
とある小学生と幼稚園児の兄妹。母親(ノンクリ)に連れられて私の教会に来た。
聞くところによると、ネットで私の教会のサイトを発見し、来たのだという。
以前彼らが通っていた教会は、子供がほとんどいなくて、日曜学校や託児室もない。
子供は必然的に親と一緒に礼拝に出席することになるんだけど、その年くらいの子供が
じっとしていられるわけがない。
そのうち、教会員の人達(割と年配の人が多かったらしい)に疎まれるようになり、
居づらくなってその教会に通うのをやめた。
でも教会には通いたいので、いろいろ探していくうちに私の教会にたどり着いたらしい。
その話を聞いて、すごく悲しくなったし、イエス様の憐れみが注がれるように祈った。
だけど、その年配の人たちの気持ちも分かる(礼拝に集中できないとか)。どっちが悪いとかの話ではないんだよね。
私の教会は小さい子も多いし、日本の教会の割には平均年齢が若い。若いファミリーが来やすいと思う。
だから私の教会ではもちろん大歓迎だった。
ただ・・・その子達の母親が、どうも「キリスト教の価値観で道徳心を持たせてほしい」=「しつけに期待」みたいなことを
思っているフシがあって、少々困っている。
確かに、聖書に書いてあることを教えるし、実践してほしいと考えていて、授業中しゃべれば注意するし、友達を叩いても
注意する。でもそれはしつけじゃない・・・というか、その子が本当に変わるかどうかは親にかかってると思う。
私はクリスチャンなので書いてしまうけど、聖書的なしつけを実践する責任を神様から委ねられてるのは親。
ぶっちゃけた話、日曜学校の先生にそこまで踏み込むことはできない。
例外として、親がトンデモない親だった場合、牧師と相談してそれ相応のフォローはしていくけど、そもそも教会に
通おうかと思っている親に、そんなにトンデモない親はいない・・・いたとしても表面上は分からない。
分からないと対処のしようがないから。
私はその子、母親のことを愛しているしイエス様のことを知ってほしいと心から願っている。
けど、日曜学校に必要以上の期待をされると、ちょっと困ってしまう。
口は悪いが情に厚いヤンキー風は、生まれ持ったキャラと一瞬嫌われても怯まずに踏み込むクソ度胸の両方が必要で、あえての超上級編というか、普通のコミュニケーションすら円滑に出来ない人が意識するのは止めた方がいい気がする。
過剰に礼儀正しくてうまくいかないってのは、本人は礼儀を正しくしてるつもりなのかもしれんが、礼儀に適ってないことが多い。たとえば、対等な立場なのに理由もなく超下手に出られると、俺が怖いのか?なんかこいつに悪いことでもしたのか?と思うし、悪くもないことで謝られれば、こいつは俺がこんなことで怒るような偏狭な人間だと思っているわけか、となる。
まあ、そいつの周囲にはこれまでロクな人間がいなくて、そういう生き方を学習してしまったんだろうと気の毒に思う面もないではないが、接してて気分の良い人間ではないので自然と距離を置くことになるな。
コミュニケーションに正解(丁度よいポイント)があるというのが間違いで、ある行為を行うとき、する側とされる側の視点を同時に持つことが出来るかどうかが決め手のような気はする。
http://anond.hatelabo.jp/20081021021700
私と一緒にいる時は割と普通にしているんだけど、
一緒にいる時間が苦痛じゃないなら、
たまに会って食事に行ったりお茶したりするのはアリ。
一緒にいるときも話が重すぎて無理なら、会うのを止めるか、
会っても「そう言う話は苦手だからゴメン」で通すしかない。
今の時点でこれ以上踏み込むのがよくないと思うなら、
これ以上深入りするのは止めた方がいいと思う。
夜中に泣きながら電話をしてくる。
(話の内容はめちゃくちゃで、意味不明な事が多い)
さすがに毎日のように夜中に暗い電話がかかってくると、こちらもきつい。
意味不明な電話を際限なく受け続けるのは、どちらのためにもならない。
他人相手に泣き叫んでいるときやその後は一時的に楽になるんだ。
しかし何も解決してないから、翌日になったらまた苦しくなる。
今、増田がやっていることは、相手に依存性のあるドラッグを与えているようなもの。
苦しいときにはドラッグがあることをほのめかしておいて、
でも相手が寄りかかってきたときは自分がきついから与えないなんて、
相手にしてみれば突然地獄に突き落とされるのと変わらないから。
これ以上傷が深くなる前に、踏みとどまってやってほしい。
病院へ行くようすすめたのだけれど、薬を飲んで気持ちが楽になるということに
抵抗があるらしくて、すぐに通うのをやめてしまったらしい。
増田の友人はこう言いながら、苦しくなったときに、
手近な人を薬の代わりにしているだけだと思う。
薬は所詮対症療法だから、根本的な原因を取り除かないといずれもっと悪くなるよ。
できれば家族に現状報告を。
一方で、増田の友人に手を差し出して背負いきれなくなって手を離した経験もある。
どちらの立場もひどく悲しかったし、無力感だけが残った。
今の時点ではからかってるだけなんだろうけど、そっからどうお互い踏み込むのかって所だね
でも他の人の言うとおり24ならこの程度の駆け引きこなせよ
愚痴を聞いてくれる人にも差異があり、心の澱を消してくれる人が中には存在する。
単に大変だったねと声を掛けるだけでなく、
もう一歩能動的に踏み込んでくれることを私は期待する。
だがそれは人間の「徳」という点で善いものではない。
一緒に愚痴の焦点となる人を批判・攻撃することだ。
勿論本音であれば嬉しいが、本心でなくとも
批判に参加した事実は残るのでリスクを交換・共有したことになる。
同時に「こんな事言っても私を嫌わない」という安心感。
私だけが悪人ではないし、私以外が善人なわけでもないと感じ、自己嫌悪も軽減する。
逆に私は「いい人」に心を開くことができない。
いい人=他人の悪口を一切言わない人は
「あんたの為に自分がリスクを負って、徳を下げる真似などしない」、
当然自分に火の粉ぶっ掛けてくることを覚悟しなければならない。
http://anond.hatelabo.jp/20080922130027
職場の同僚に「なんか本で読んだんだけど、父親とうまくいかなかった女性は男性とうまくいかないらしいよ」と言われたことがある。
(なぜこの人がこんなことを言い出したのかというと、当時は上司(男性)と私がしばしば議論していたからだと思う。無論仕事の話)
そういえばこの人は、職場で「女の男運は父親で決まる」を読んでた。
何で今頃って思ったので覚えてる。
「うまくいっていない」ように見えたのだろうが、視点から発想からあきれて妙に脱力した笑いが出た。
所詮他人事のにわかの聞きかじりに絡まれるほどうざうざしいことはない。
(色々とあった家庭で育ってきたので尚更)
放っておいてほしい。
分類してみた元増田ですが
反証というのも難しくて反証自体が誤っている可能性というのも科学ではあり得るので。
反証するならするで、相応の論文量を積んで、複数の研究機関があり得ないと認定した。という話にならないと科学的に完全とはいえないなと思ったと言うことです。
なんとなく、常識的にありえないは、反証ではないので。
相応量の論文を積むとなると 大変。
偽科学に、偽反証ではしょうがないので、なかなか難しい。
個人的には そういう意味で某オカルトを否定している某教授は偽反証だと思ってる。
というニュアンスを出すために、あえて、偽科学は証明が不十分な物としてみた。
科学の世界ではニュートン力学が光速に近い領域では部分的に否定されてアインシュタインの世界に踏み込む。
みたいな、この条件下では成り立たないが、特定の条件をそろえると成り立つ。
という世界があるので、実証も反証もかなり気を使わないといけなくて
オカルトやゲーム脳といえども一笑には伏せないという事だと思ってますが。
どうでしょうか?
http://anond.hatelabo.jp/20080901234049
>こういう、多勢を占めて目立ってきた考え方に対して、
ちょうど、この点も疑問に思ってたのだけど、
「マスコミ不要」と思っている人が、ネット上では本当に多数派のかな?
・既存のマスゴミふざけるな。もうしね
というのは、たしかにネットのあちこちで良く目にする意見だし、多くの人が思っていると思う。
そこから更に踏み込むと、
1.マスコミ自体がもう不要だろ
→ CGMのような仕組みで完全に代替可能じゃね?
2.既存のマスコミには歴史上から退場してもらうとして その代わりにまともなマスコミが必要だろ
→ 一次ソースを一般人の自主的な情報発信だけに頼るのは無理があんじゃね?
3.よく分かんね
→ マスコミがなくなると困るのかな。分からんわ。
の3通りの態度が一般的かな。
その中で、1のような考え方。
つまり「マスコミは完全に不要」って意見の人は本当に多いの?って疑問に思っている。
個人的には、多数派と言えるまで多くはないんじゃないかな、となんとなく思っているのだけど、実際のところはどうなんだろう?
調査結果なりがあれば教えてもらえると嬉しい。
モテ男と「いわゆるいい人」の違いを書いたのであって、モテ男と非モテの違いなんか書いてないわけだが。大体噂として複数人が納得するようなあからさまにNGな押しをする奴があるか。もっとさりげなく距離を詰めるんだ相手に踏み込む姿勢の有無の問題なんだ。
大体自意識過剰なんだよ、呼ばれてもいないのに非モテならどうこうとか、俺は特別、俺だけ特別、世の中は俺にだけ○○○・・・・誰もお前のことなんて気にしてない。「10人中9人は引かなくても残り1人が引いたらアウト」とか、どこまで贅沢を言えば気が済むんだよ。みんな誰かに嫌われて誰かに好かれてるんだよ。失敗を絶対にしたくない恥をかきたくないって典型的な非モテスパイラルじゃないか。誰にも嫌われずに誰かに好かれることは出来ないんだよ。
不特定多数の女性から好感を抱かれるが、単なる好意に留まる男性
不特定多数の女性から恋愛感情(単なる好意ではない)を抱かれる男性
いい人=いい人だが恋愛感情に踏み込む気もないし踏み込まれない、いい人で面白いがちょっと面白すぎてついていけない人(共感が得られない人)
恋愛対象になる可能性がある=いい人でより自分に親密な人、内面を理解してくれたり、主導権を握ってくれる人、自分に対して特別に良いものがあり、その上で自分が必要とされる人
ただ、恋愛対象として見始めるといい人の枠から外されて警戒されそうな気がする
まずは恋愛感情を一切見せずにより親密になってくるのがよいかなぁ…?
あと、理不尽なことを裏で言われても、気にしすぎない程度に直せるところは軽く直すなり無理だったら見せないようにして受け流せるくらいだと楽です。
まあ、どのくらいの数の猟奇犯罪オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「異常快楽殺人者ではまったくないんだが、しかし自分の猟奇趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない猟奇犯罪の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、猟奇犯罪のことを紹介するために見せるべき10人を選んでみたいのだけれど。(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女に猟奇犯罪を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う日本語資料がない人物は避けたい。できれば邦訳が多い人物にとどめたい。
あと、いくら猟奇犯罪的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
猟奇犯罪好きが『ジル・ド・レイ』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
という条件で。
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「エド・ゲイン以前」を濃縮しきっていて、「エド・ゲイン以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。知名度もバッファロー・ビルだし。
ただ、ここでネクロフィリアトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。この情報過多な人物について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうな猟奇犯罪者(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「猟奇犯罪オタとしてはこの二人は“人間”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
ある種の猟奇犯罪オタが持ってる食人への憧憬と、フィッシュのオタ的な子供へのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも異常な
「童貞的なださカッコよさ」を体現する「満月の狂人」という二つ名
「童貞的に好みなデービス船長の友人」を体現する「この子を食べてみよう」
の二つをはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
たぶんこれを見た彼女は「レクター博士だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。この系譜の犯罪者がその後続いていないこと、これがアメリカでは大人気になったこと、アメリカなら実写シネマになって、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
「やっぱり、犯罪は大量殺人だよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「コロンバイン高校銃乱射事件」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この事件にかける海兵隊の思いが好きだから。
断腸の思いで撃ちに撃ってそれでも31名、っていう人数が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「撃つ」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。チャールズ射殺までの長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが宮崎や宅間だったらきっちりあっという間につかまってしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて31名を殺傷してしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえホイットマンがそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。事件自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
今の若年層で津山三十人殺し見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。宮崎勉よりも前の段階で、日本の猟奇とか大量殺人とかはこの事件で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの事件が津山であの時代にあったんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく猟奇犯罪好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる「バモイドオキ神」でしか日本を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。
マンソンの「カリスマ」あるいは「カルト性」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。「終わらないカルト教団組織を毎日生きる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ『オウム真理教』の最後は地下鉄サリン事件以外ではあり得なかったとも思う。
「カルト化した組織を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「カルトの気分」の源はマンソンにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。こういうジュベナイル小説風味の猟奇犯罪をこういうかたちで事件化して、それが非オタに受け入れられるかカニバリズムを誘発するか、というのを見てみたい。
9人まではあっさり決まったんだけど10人目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にハルヒを選んだ。エド・ゲインから始まってハルヒで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、YouTube以降のアニメ時代の先駆けとなった人物でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい人物がいそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10人目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
「駄目だこの道化師ポゴは。俺がちゃんと縊り殺してやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
追記
b:id:wideangle オチの「ハルヒ」を存分に使えるという意味では「ラノベ世界を」よりも有効であり、元増田の「ハルヒ」という選択はここに来てすばらしかったと言わざるを得ない。
だからハルヒじゃない10人目、いいものあったら教えてくださいと書いたわけで。ペーター・キュルテンはどうしても「切り裂きジャック」という枠があるので、先入観のないものを。別に猟奇犯罪でなくとも、寿司ネタでもなんでもいいと思います。今回はたまたま猟奇犯罪だと。
b:id:hal-e しっかしみんな(元増田も含めて)よく考えるよなーとジョジョネタで書いてみようとして挫折した自分は素直に感心する
b:id:repose マンソンが入っているのがいい感じですね。
あれこそ正に「読んで驚愕する」ための事件だし。だからここに入ってるんだし、興味なさそうならまだ生きてるって言えばいいだけ
b:id:steinrose 「ミネソタ多面人格目録も正常群に入っているが、頭はけっこう良い」「この二人は“人間”としていい」「各所に頭下げて迷惑かけて31名を殺傷」面白フレーズがいっぱい
そりゃそうです。だから「元増田の言語感覚」でしかあり得ないし、「他の人の面白フレーズ」が知りたいです。そして、女の子が犯罪者の事件で大きな男の子が感情移入できるものって、かえって多いような気がしています。そこの議論こそ、大切ですよね。
b:id:anigoka 誤記が多いのが惜しい 特にこーゆー分野はね
全くです。返す言葉もありません。そこでそういう誤記を面白がることのできる人もいるだろうけど、それがどういう面白がり方かと考えてみると、あんまりいい結果になりませんよね。だから、こっそりわかる範囲で誤記訂正してしまってもいいんです。
b:id:n-styles 猟奇犯罪オタではないが、ほとんどの人を知ってたぐらいだから、これは入門編として非常にいいチョイスではないかと思う。それにしても、10人目が秀逸すぎる。
まあ、猟奇に踏み込む必要はないしね。後半はそれこそ「ありがとう」だよな。
b:id:masima そーいや「マーダーケースブック」全巻揃えたっけなぁ。引越しのときに全部捨てたけど。/おすすめ(?)→http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/m.htm
そう言いたくなる気分はわかる。けど、私はそれが欲しかった。可能か不可能かはこの際おく。欲しいと思ってるから書いた。
b:id:kaerudayo バランスがいい人選。彼女の嗜好がわかるといいね♪
これってまさにその嗜好を確認をするための作業なんですよね。もしそこで「カニバリズムがある」と思いこんでしゃべったら、たぶん破局一直線だろうし。むしろ、猟奇性がないことを認めてこそ、オタと非オタが相互にプロファイリングしあってうまくやっていけるんじゃないかとそういう期待はあるんですけどね。
お気持ちはよくわかります。私の書き方が悪かったですね。ここで紹介しているのは所詮は全て地雷に過ぎません。そこに期待してもいいだろう、程度のもので、それを得ようという強固な目的意識まではない。
日本人猟奇犯罪者を捨てるわけじゃない。けれどそれは俺個人のもので、彼女にそれを知ってもらったりまして共有してもらう必要もないだろ。けれど、彼女がそういう俺の存在を許容してくれるなら、彼女に理解できる範囲で、俺という人間を紹介するのと同義で、猟奇犯罪者を知ってもらいたいということ。
b:id:hashkin 地雷はユナボマーなんてどうだろうか
そこであえて「こいつって有名な爆弾魔だけど、爆弾にはロマンがないっていうか猟奇的な生々しさを感じないっていうか」と前置きして贈るってのはどういうもんなんだろうなと。
http://anond.hatelabo.jp/20080724190714 チカチーロはどう?
アンドレイ・チカチロはインポテンツで女にモテなくなって自分より弱い少女を犯して殺して食べちゃうっていうエピソードがお前らの日ごろの妄想そっくりなので、それよりは正統的な多角的倒錯者のアルバート・フィッシュを。それよりも女性犯罪者の猟奇事件はいいと思うんですね。メアリー・ベルは最終候補に残しましたし、グレアム・ヤング模倣した少女も日米との比較という点で、長くなければぜひ入れてみたかった。
(10本目からメアリー・ベルを外したのは、テレビアニメで一番非オタにとっても見応えのある『花の魔法使いマリーベル』に語感が似ていると思うがゆえに、心情的にここに入れなくてもいいかなという理由で)
http://anond.hatelabo.jp/20080724190714 お前のせいでマーダーケースブック欲しい熱が蘇ったじゃないか! どうしてくれる!
ヤフオクには「マーダーケースブック」全巻がありましたよ。「法外な値段」なものでしたけど。
まとめエントリを作ってみました。
あわせてお読みいただければ幸いです。
まあ、どのくらいの数のアニオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らないアニメの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、アニメのことを紹介するために
見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にアニメを布教するのではなく
相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う3クール、4クールのアニメは避けたい。
あと、いくらアニメ的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
映画好きが『カリガリ博士』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
アニメ知識はいわゆる「テレビまんが」的なものを除けば、ジブリ劇場用アニメ程度は見ている
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「エヴァ以前」を濃縮しきっていて、「エヴァ以後」を決定づけたという点では
外せないんだよなあ。長さも2クールだし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に
伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなアニメ(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには
一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「アニオタとしてはこの二つは“映画”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
ある種のSFアニメオタが持ってる宇宙への憧憬と、JAXA監修のオタ的な考証へのこだわりを
彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも谷口悟朗な
「童貞的なださカッコよさ」を体現するハチマキ
の二人をはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
たぶんこれを見た彼女は「ルパンIII世だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後続いていないこと、これがアメリカでは大人気になったこと、
アメリカなら実写テレビドラマになって、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、
日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
「やっぱりアニメは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「あらしのよるに」
でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかける原の思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも2時間20分、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、
その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
クゥの長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが
宮崎や富野だったらきっちり1時間40分にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて2時間20分を作ってしまう、というあたり、どうしても
「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえ原がそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
今の若年層でコナン見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
ナウシカよりも前の段階で、宮崎の哲学とかアニメ技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、
こういうクオリティの作品がテレビアニメでこの時代にかかっていたんだよ、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくアニメ好きとしては不思議に誇らしいし、
いわゆるジブリ劇場用アニメでしか宮崎を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。
押井の「目」あるいは「絵づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない学校祭を毎日生きる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、
だからこそアニメ版『らき☆すた』最終話はビューティフルドリーマー以外ではあり得なかったとも思う。
「祝祭化した日常を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の
源はビューティフルドリーマーにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、
単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうジュベナイル小説風味の恋愛をこういうかたちでアニメ化して、それが非オタに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にハルヒを選んだ。
エヴァから始まってハルヒで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、YouTube以降のアニメ時代の先駆けと
なった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら
教えてください。
「駄目だこの増田は。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
追記
私だったらタイトル選んで紹介されるより、一緒にツタヤ行って「どのへんいけそう?」とか聞いて自分で選ばせてほしいな。
何選んでもバカにしないで、内容解説してくれたら彼を尊敬する
最終的に狙うのは、まさにその状態ですね。
このセレクションのキモって、「エヴァンゲリオン」のところで書いているように、あくまで
「オタクが非オタのためにどこまでオタ臭を出さずにアニメを説明できるか」
『脱オタクファッションガイド』と方向性は真逆だけど、狙っていることは同じ。
それができそうなのが私の場合この10本ということであって、シチュエーションとしては彼女の方が
「ちょっとアニメのことが聞きたいんだけど、何を見たらいい」と聞いてきた場合を想定しています。
そこをディープさを感じさせずに見せられなかったら、なんのためのオタクだよと。
『千年女優』は頻繁な場面転換が人を選びそうなので、それよりは正統的なカット割りのゴッドファーザーズを。
女性原作者のファンタジーアニメはいいと思うんですね。守り人は最終候補に残しましたし、『彩雲国物語』も
チャングムとの比較という点で、長くなければぜひ入れてみたかった。
(10本目から守り人を外したのは、07年テレビアニメで一番非オタにとっても見応えのあるものだと思うがゆえに、
逆にここに入れなくてもいいかなという理由で)
あえて『ハルヒ』以外は原作のないアニメを並べたんですけどね。
プラネテスも時かけも押井うる星も、オリジナルの範疇でしょう。
だからハルヒに乗り気じゃなかったのかな俺は。
連続ものについては、なにも短期集中でなくともいいと思う。
興味がなくなれば自然と見なくなるし、逆に興味が出れば自分からみたがるもんだろうし、
そこそこなら忘れないうちに続きをゆっくり見ればいいんだし。
後段については、それ故に「彼女の方から言い出した」という設定にしているというのもありますね。
彼女が積極的に興味のないものを、いかにオタ的暑苦しさ鬱陶しさを抜きにして、かつ
オタ世界の魅力をあっさりと受け入れてもらうか、そのセールストーク的コミュニケーション訓練が主眼ですから。
基本は「脱オタ」方向なんですよこれ。
これってまさにその確認をするための作業なんですよね。
もしそこで「差がない」と思いこんでしゃべったら、たぶん破局一直線だろうし。
むしろ、差があることを認めてこそ、オタと非オタが相互に肯定しあってうまくやっていけるんじゃないかと
そういう期待はあるんですけどね。脱オタとは、オタをやめることではないと思ってます。
そいつは素敵すぎるぜベイベ。その狂気に触れ共感しつつ、あくまで正気を保ちたいぜ。
そんなパーフェクトジオングみたいな珍妙な生き物居るわけ無いでしょ?
10本程度では酒に慣れる程度で酒の味が分かるようになるかというとどうか?
普通に好奇心が強いだけなんだけどな。そして染まりはしないが理解しようという気はあると。それだけの話だよ。
それに、誰も10本で酒の味をわからせようなんて言ってはいない。だから「軽く紹介」なんだし、きっかけ、入口。
『美味しんぼ』で偏食を直したカツ丼みたいなもん。あるいは今の漫画なら『神の雫』。
基本目が細くて等身が細めのアニメが中心だな。
まあ、萌えに踏み込む必要はないしね。後半はそれこそ「おめでとう」だよな。
お勧めされると逆に引く
いや、レコメンドでは全然ないのだけれど。
「オタが考える非オタのためのアニメ十選」っていう企画じゃない。
……なんでハルヒ?
カリオストロの城くらいで。
つーかムリにアニメなぞ媒介にせんでもええやん。
だからハルヒじゃない10本目、いいものあったら教えてくださいと書いたわけで。
カリ城はどうしても「ルパン」という枠があるので、先入観のないものを。
別にアニメでなくとも、漫画でもなんでもいいと思います。今回はたまたまアニメだと。
…(^ω^;) ((((((^ω^)
そう言いたくなる気分はわかる。けど、ここで目指しているのはそこからの脱却。
可能か不可能かはこの際おく。できると思ってるから書いた。
b:id:fuldagap 愚の骨頂
オタ世界的読解を捨てるわけじゃない。けれどそれは俺個人のもので、彼女にそれを知ってもらったり
まして共有してもらう必要もないだろ。
けれど、彼女がそういう俺の存在を許容してくれるなら、彼女に理解できる範囲で、俺という人間を
彼女がオタじゃあ意味がない、けれどせっかく自分と違うものの見方をしてるのに見守ってくれてるだけじゃ勿体ない。
彼女の感性を汲み取り、俺のコミュニケーション能力を向上させたい。
それくらいの貪欲さは持っていたいものだなと思ってる。
結果として彼女によって俺のコミュニケーション能力が引き上げられたらいいな、という期待を
もつくらいには貪欲でありたいなと思っている。
(tekitousphere - wideangle Weblog 2008-07-23「コミュニケーションの目的は……!」ということ。
での御指摘を受けて、改めました)
むしろそういうほうがアリかも。ありがとうございます。
あと、http://anond.hatelabo.jp/20080723070944にお返事を書きました。
http://twitter.com/wideangle/statuses/865446462
うへー……。
http://twitter.com/wideangle/statuses/865447639
結局「俺の」「能力」なのか。
お気持ちはよくわかります。私の書き方が悪かったですね。
そこで期待しているのは所詮は反射的効果に過ぎません。
そこに期待してもいいだろう、程度のもので、それを得ようという強固な目的意識まではない。
そこであえて「これってSF読みが女の子に贈ってしまう地雷なんだよね」と前置きして贈るってのは
どういうもんなんだろうなと。
そこでそういう風俗を面白がることのできる人もいるだろうけど、それがどういう面白がり方かと
考えてみると、あんまりいい結果になりませんよね。
全部好きな作品からのチョイスですよー。
「勉強のため」だったら『天使のたまご』が確実に入るし、そんなリストはそもそも表に出せるものじゃないです。
種明かし……だよね?天然で書かれたものならあまりにも狂気。ネタ文なら種明かしなしの方が完成度高い。
この場合、どちらともとれるような書き方がいいのかなと思いまして。
そりゃそうです。だから「俺の10本」でしかあり得ないし、「他人の10本」が知りたいです。
そして、女の子が主人公のアニメで女の子が感情移入できるものって、かえって少ないような気がしています。
そこの議論こそ、大切ですよね。
全くです。返す言葉もありません。
だから、見せることなく脳内に入れたまま墓場まで持っていくアニメのリストに結果としてなってしまってもいいんです。
順番に意味はないって書いたじゃん/あんなもん「話せばわかる」なんて思ってるやつの方が希少でしょ。
あれこそ正に「見て感じてしゃべる」ためのアニメだし。だからここに入ってるんだし、話せそうもないなら打ち切ればいいだけ/
さっきの増田だけどね。
職が無い人たちも、親に頼ったり、派遣労働などで生きていけるうちは
(セーフティネットがあるうちは)犯罪などを起こしたりはしないだろう。
でもいつまでも続くとは限らないし、体力や親の財力が尽きた順に、
生きるすべを失っていくわけだよね。
それは短絡的に言えば「犯罪」に繋がっていきそうだし、
そうじゃなくても、社会不安は生じていくよね。
それは生産性の低下、競争力の低下に繋がっていく恐れがあるのではないの?
そしてそれは、特権層にとっても望ましい状況じゃないよね。
あと、他の増田に対するレスで書いたけど、「淘汰」と「不必要認定」は別物だよね。
それは欺瞞ではない。もちろん、恋愛などでは「そのときの、そのひとの」評価がすべてだから、
>「怖いから助け合いが必要」というのは内心から論じたことにならないの?
書き方があいまいであったが、セーフティネットから内心を論じるのは難しいということ。
内心に踏み込むのは話の方向性としておかしいのではないかという事が言えればよかった。
「生活崩壊の恐怖」という内心から相互扶助にいたる動機を説明してもいいし、
「+身内だけでも助かれば」という内心を加えても説明はできる。
激しい喉の乾きで突然目が覚める。枕もとの煙草とライターをまぶたも開けずに手に取りカサカサに乾きあれ果てた、割れ果てた、唇にくわえ火を付ける、ここまで3秒だ。
ふた息ほど肺に送り込み喉の乾きが最高調を迎えてから立ち上がり、冷蔵庫の中のうんと冷えたコカ・コーラの缶を開け、流し込むように飲む。
ようやく意識がはっきりと戻ってから今が朝か夜かを確認する。僕は起きた時はここまでしないと喋ることも考えることもままならない。起き抜けの煙草と飲み物、ここまでが見物。この2つで僕はやっと僕という存在になる。察するに今は夕方、だいたい4時といったところか。部屋の中を見回してもいつもと変わった様子は見られない。脱ぎ散らかされた服、いつもどうりだ。汚くて狭い部屋。その通りだ。僕の部屋を末期症状と呼んだのは誰だっけか、そろそろ掃除のしどきかもしれないな。
とりとめのないことをそこまで考えたところで、僕は自分が泣いていたことに気づいた。いや、正確にいうとさっきまで泣いていたのだ。足元に転がった鏡に顔を写し、見ると目の下に涙が乾いた跡がある。それは、とても妙なことだった。なぜなら泣かなきゃならない理由がない、思い当たらない、仮に嫌な夢や怖い夢。憶えないよね?見ていたとしてもそれは妙なことに分類される。僕は眠れば必ずといっていいほど夢を見、またそれをことごとく覚えているという割合特異な人間なのだ。特別何もなくても、何はなくとも、何かの拍子に涙がこぼれることがあるのだろうか。窓の外では子供の声がする。今、何時?汝、そういえば僕は寝る前、何をしていたんだっけ。
僕は、なんで泣いていたんだろう。僕は何してたんだろう。ねぇ。
TRACK2
何年前?5年前。
僕は浪人生だった。とある大手の美術の予備校に通っていて、それなりに志を抱いてもいた。一体、僕の志って何だろう?愛称は「ダル夫」、同時にそういう悩みを抱え始める年でもあったのだが、最初、風向きはすっかり僕にあるような気がし、そして何かが僕の思うとうりに、旗幟、動きはじめるそんな気がしてもいたのだ。単純に浮かれていたといってもいいのかもな。
その年、僕が夏の捕獲に成功したのは5月ごろだった。
「何してるの?」
「昼寝しようと思って」
「あ、そうなの」
あたりさわりのない会話の中でもとびきりあたりさわりのない、言葉を交した。裃から下。僕は臆病な割にはずうずうしい人間なので、誰もいない屋上のベンチの彼女の隣に座った。これから寝ようとしてる時に、よくしらない男に隣に座られることがどのくらい嫌なことかなんて気に、考えたこともないし、考えてもよく分からないし。なので考えないけどどういう訳か彼女は眠った。
時計は2時を回り僕の居る建物の廻りでは人がせわしなくぐるぐると回る、その証拠にたくさんの音を巻散らていた。カサカサと葉擦れの音。聞こえ出すと。彼女の少し茶色い髪もさわさわとなびきだすのです。とたん、工事現場の騒音も人びとの喧騒も、不思議と遠のき、何も、聞こえなくなってしまった。僕はなんとなく彼女の髪を撫でた。訳もないけれど。
僕は何も確かなことは分からなかったけれど、ショートカットの彼女の髪の暖かさと連動。この世界に、やがて、ほどなく、やってくる季節のことをそっと教えてくれた。
僕は鉛筆をカッターナイフで削る。これは僕にとってとても落ち着く行為なのだ。何故か。別に僕が文明の利器を忌み嫌い、しつこくアナログにこだわっているというわけでもなく、純粋に絵を描くためには、そのためには、字を書くときに比べ長い芯を必要とするだけの話だ。
どういうわけか、というわけで。僕は鉛筆をカッターナイフで削っていた。全部で30本くらいは削ったんじゃないだろうか。この時は時間潰しのつもりで筆入れの中の鉛筆という鉛筆を削ってしまおうと思っていたので、だので、むやみに使うあてのない鉛筆を中心に削っていた。
僕の座っていた場所、もう人の通ることのなくなったアトリエの前の廊下。普通はこの時間はアトリエの中で一生懸命になっているものなのだが僕はそこにいた。ふとした拍子にドアが開き、見覚えのある髪の色が目に飛び込んで。時、綻んで。
「描かないの?」
その髪を知っている。
驚いたことに、僕は隣に座る彼女の名前さえ知らない。驚愕に値。なのにこうしてもう随分と話をしている。
彼女も自分の鉛筆を削っているが、並んでこんなことをしているのは、なかなかどうして変なものだ。僕はもう指が痛い。意味あんのか、だいだい。
「カッテぇなこれ」
「貸して、こういうのは…ほら」
と、その髪。
「うまいね」
鉛筆の木の部分を大きく削り取り芯を露出させた。彼女にそう言うと少し得意そうだった。6Hの鉛筆ともなると、異様に固く、尖らすのにも苦労するのだ。
「ねぇ、ご飯食べないの?」
「うん。俺はあんまり減ってないからいいや。食べたら?」
「…わたしもいいや。お昼ご飯とかっていつも食べないから」
「そう」なんて言っていいか分からなかったからそう答えた。
僕も彼女も結局絵なんて描きやしなかった。なんだか知んないが、かったるくなってしまったのだろう。
その何日か後。僕達は1度だけデートした。
TRACK3
J子さんの髪の色には変化、少し変わった。どのへんが?あそこのへんが。あ、そこらへんか。
彼女は僕よりも歳がひとつ上で。その上でそのせいも有るのか無いのかそれは分からないけれど、ときおりお姉さんぽい態度をとろうとした。しかしながら、彼女は僕と同じ年度に卒業している。留年したからだ。入院したからだ。とにもかくにも、彼女は何となく僕に世話を焼いてくれてるようだった。
彼女の作ってきてくれたお弁当を一緒にたべながら、僕は彼女に好意を感じたが、それははっきりした形をとる様なものではなかったし、言わなければいけないのであろう一言が僕にはどうしても言えなかったのだ。あるいは彼女はただ親切だっただけなのかもしれないのだし。シット。
何月だったか忘れたがとりあえずは冬のとても寒い日だ。ラッシュアワー時よりはいくらかは空いた、電車から降りてきた僕はそう急がずに改札をくぐり、彼女の姿を探す。姿を捕捉。細かい位置まで指定しなかったのに、彼女はきちんと分かりやすい場所にたった今定刻どうりに立っていたわけだ。
「ごめんね。待たせちゃった?」
「ううん。そんなに待ってないよ、さっき来たから」
「来たね」
「来たよ」
僕はそう答えて微妙な顔つきをした。
なぜ僕達がこの朝などに待ち合わせをしたのか。といういきさつはこうだ。前後するが戻る。
この頃僕の足は予備校から大分遠のいていて、ほっといてたまに行く程度になっていたのだが、たまたまクラスの奴(ボケ)が僕のことを学校に連れて来いと彼女にちょこっとほのめかした。軽い冗談ぐらいにしか僕は考えいなかったのだが、帰りがけ彼女はこう言った。
「何時にする?」
僕は驚く。
「早目に着くようにしよっか、そしたらいい席取れるし。わたし達来るのとても遅いでしょ。だから、変な場所でばっか描いてるから、やる気にならないんだよ。8時じゃ早いか、8時15分は?早すぎる?」
早過ぎるし、展開早過ぎるし。早く過ぎるシーン。
「がんばるよ」
彼女の乗る電車はもうすぐホームに入ってくる。それを知らせるアナウンス。
アーッ、アーッ。…イエスッ、プラットフォーム、ナンバシックス、まもなく打診。
「ちゃんと来るんだよ。いい」
アーッ、アーッ。ンンッ。…イエスッ、プラットフォーム、ナンバシックス、まもなく打診。答えはアイ、シー。
ネクスト・デイ、という呈。
2日目の待ち合わせも同じ時間・場所で行われた。まるで口の中にドライアイスでも入ってるかのように白い息がもわもわと凝固せず出る。当たり前のような話、僕はそんなもの食べたくない。けど、でも。あたりの人という人の口からも同じように白い煙が出ても、誰ももうドライアイスなんか食い飽きたとは言わないので、僕も不平不満を口からは出さなかった。出したのはまさに白い煙だった。
腰の絞られた濃いグレーのピーコートのポケットに手をつっこみ、眠い頭と当惑する気持ちをこさえ、彼女を迎え、姿を残さねぇ。そんな背が高くないというよりは小柄と言ったら正しいくらいなのに、彼女はロング丈のコートが意外に似合った。
と彼女と翳す手。
「そりゃね」
と僕。
言葉少なにそう歩き出す。
「こうやってお互い待ち合わせればきちんと行けそうだね。こういう風にしてればわたしも行くしかないしね」
「俺だって早く起きないわけにはいかないもんなぁ。7時くらいに起きてんだよ俺」
「えらいじゃん」
初めからそうだったけど僕達は相変わらず言葉少なだった。けれど、淡々としているというわけではないのだけど、大はしゃぎするふうでもない。笑いはしても、腹を抱えてゲラゲラと笑うなんてことはなかったようなという記憶で。19才になったばかりの僕と20歳の少女、差異があると、「サイ」が変わるの。そう彼女は20才になっているにも関わらずその印象は少女のままだった。その2人がこんなにも、まるでうっすらと積もった雪の上を静かに歩くように言葉を交すことは、僕にある風景を描かせた。
描く、書くと。
その風景とはこうだ。
(ムーボン、ムーブ、オン。見えるか、聞こえるか。始まるぞ、濃そうな妄想のシーン。)
陽の光がとても弱々しく感じられる。風が強いせいか肌寒い、ここは何処だろう?
見慣れた風景と感じるのはきっと有るものがすべて決まりきっているせいなのだろう。僕はここが何処か分かった。学校、おそらく高校だ。びゅうびゅうと風が空想の怪物の呼吸みたいに聞こえるので僕は心細くなりフェンスにしがみつく。その僕の指を固く食い込ませた金網の向こうに彼女が見える。小さくしか見えないが僕の知っている彼女は僕だけが学校と分かり得るぐらいの小ささで建つ建物と僕の中間に立っている。なぜか僕も彼女も制服を着ている。バサバサと髪が巻き上げられ服の皺がとたんに生命を持ったように暴れる、風が僕達の世界の全て、有体から思念体、一切合財何もかもを飲み込もうとしているみたいだった。
「 」
僕は胸が潰れそうになって必死に彼女の名を呼んだけど全てかき消されてしまい、届かない。すると、髪を服を草を巻き上げる耳を裂く風の音、一切の音という音を彼女が遠ざからせてくれた。
あたりにはもう心配する事なんて何もないのだ。
けど、けれど、何で彼女はまだ思いがけず不幸に命中してしまったような悲しい顔をしているのだろう。
(ちょっと調子が悪いのか、そうか。なら、鬱蒼など晴らそうか。そのスイッチを押せ、行くぜ。)
リブート。
その後。
僕は何度か彼女の悩み事のような話に付き合ったことがある。そのたびに快方にむかったように思われた彼女も、それはしばらくするとまたがくんと調子を落とす。こういうふうに言うと冷たいかも知れないけど、そういうのはどうにもこうにも本人次第だ。何とかしたいが、したいが、悲しいけどどうしようもなく本人次第だ。SPみたいに、彼女にへばりついて、いつ降ってくるか分からない災いの流星群から守ってやることもできないし、だいたい、彼女が望むかどうかも不明じゃ現実的じゃないじゃない。
というわけで僕はただ見ていた。
その日も彼女は複雑な表情。僕はと言えば相変わらずも怪訝な顔。それらには触れられずに帰りの道を僕は彼女と歩いた。
「ご飯食べていく?真直ぐ帰る?」
「お腹も減ったんだけどそれよかコーラが異常に飲みてぇよ。どっかに自販機ないかな?」
下がる血糖値、命の危機。
「ここら辺ないね」
仕方がないので彼女の知っている店へ向かった。彼女の指差す先は目的の店の電飾で、その店はばっちりコーラが飲めたのだ。
「行く?」2本目のマールボロに火をつけながら僕は尋ねる。
食事を済ませた僕達は向かい、駅構内へ降りていく地階からは長い。長いエスカレーターに乗っていると改めて僕は彼女の横顔が視界に。そしてきっと僕には何もできないだろうなと思ったのだ。何故そんなことをこんなときに思わなければいけないのかさっぱりだが、僕はその顔を愛いと感じた。ウイ。
またホームへ電車が入って来た。けたたましいブレーキ音とまるで抜けた魂、知性の感じられない雑踏のミックスジュース、もう嫌気がさす、ミキサーから出す、一息で飲みほしてしまいたい、彼女の声が途切れる前に。耳を澄ましたが池袋駅でははっきりと聞こえない。もし今が初夏だったら。その奇跡の力ならば。
「 」
「え?」
僕は憂う。
何であの時みたいに必要なものだけ、必要な声だけ、それだけを抽出してくれないんだ。僕には必要な世界があって、そんなこと勿論はなから分かってる、多分そんなに重要なことは言ってないんだろう?僕はそんなこと勿論分かっているけれど、彼女の表情はそうは見えないし、多分そうじゃない。なんだか胸が詰まりそうだ、僕の傍、彼女の顔が無理やり笑ったみたいに見えた。胸が潰れそうだ。
「バイバイ」
電車が行ってしまったあとには言葉を遮るものは邪魔も何もない。だけどきっと遅かったんだとは思う。彼女は誰かに救いを求めたかったのだろうし、あのいやらしいノイズがかき消したのは、彼女のなんとなく悲しげな顔に含まれた聞かなきゃいけない一言だったかも知れないのに。そしたら途切れないのに。
「ふぅ…」
僕はため息をひとつついてみた。人とすれ違う。
あくまでも推測だ、多分僕の考えすぎなんだろう。
でも、僕に何かができたんだろうか。何だろうか。見当つかない、それは分からない。
ねぇ、笑ってよ。
止めてぇよ。
TRACK4
「なぁ、花火大会行かねぇ?俺の友達の女の子も来るんだけどさ」
昼ご飯時で人の多い通路に,5・6人もかたまり地べたに腰を下ろし、カップラーメンOR出来合いの弁当、貧相な食事を僕らは済ました。それぞれ煙草を吸ったりジュースを飲んだりと全身からやる気を排出していた。
「あ、俺行きてぇ。女の子来るんでしょ。何人来んの?」
「多分3人くらいは来るんじゃねぇの。行かない?」その場の全員に振るのは主催。良い返事下さい、と同意求め。
「行く行く」
「女かぁ女かぁ」
「俺は無理だな、無理無理」
めいめい自分なりの反応を示し、僕はデニム地のベルボトムのパンツで灰に汚れた手を拭きながら尋ねた。
「そんでその花火はいつよ?」
それは皆が知りたい重要な事だ。
「今日」
結局一緒に行ったのは僕だけだったとか。
僕が挨拶をすると2人の女の子も同じ要領で続けた。1人はショートカット、割合奇麗な娘。もう1人はロングのパーマの表情の豊かな娘。有体に言えばそういう子。僕はニコニコ。
「良かったね、ちょうど人数あって」
僕がそう言うと彼はあまり同意はしなかった。聞いた話によると田舎に恋人がいるとのことだ。そうは言っても毎日モチーフとにらめっこしていて大分クサッていたところなのだ、遠くの恋人は恋人じゃない。4人は電車で目的地へ向かった。話をしながら。
目的地がもう目の前という頃まで近づくと、僕とロングの娘はすっかり仲良くなった。いざそうなると最初に感じたファースト・インプレッションも変わり、「ケバイ」も「チャーミング」に変わろうというものだ。僕はそういうところが調子良いようだ。
「次の駅で降りるよ」彼の指示で僕達は降りた。
僕にとっては見知らぬ街で、駅から出たとたんに潮の香りで、満ちるような海辺の街に降り立つとダウン。僕はロングの仲良くなった彼女と並んで、先導する友達の後をついていった。途中、道で擦れ違うのは真っ黒に日焼けしたサーファー風の男女ばかりで、
「サーファーしかいないのか?もしかして」
と、誰に言うともなしに言うと、
「なんか、あたし達だけ格好が違うよね、みんなショートパンツにビーサンとかなのに」
「俺なんかめちゃくちゃ浮いてるんじゃない。Tシャツ小せぇしパンツの裾開いてるし」
「そしたら、あたしも浮いてる。だって格好似てるじゃない」
そんなことを話しているうちに波の音のするところまで来てしまった。多分、僕は相当うかれていたんだろうと思う。だって波の音がする。潮の香りもする。僕のような人間にとって、海という所は、そう簡単にほいほい来れる場所ではないので、しかもそれが、もう目の前とあっては高揚せずにいられるものか。浜辺に降りるには多少なりとも道なき道を行かねばならぬもので、僕達も慣例に従い膝丈くらいの草を踏み倒して進んだ。16ホールの編み上げブーツは砂利だろうと草だろうと蹴散らして行ける。爪先にスチール入りの頼れるタフガイは彼女の履いていたサボ状のサンダルとは違い、あちらはどう見てもタウン用なのでそれが理由かどうかは知らないのだけれど、結果、我々一行の中で彼女は遅れぎみだった。
「ほら」
差し出す手、手出して、握り返して、そのまま固く封印。
僕の手を握る彼女の手の平は汗でじっとりにじんでいた。
花火なんてない。いらない。
クラスメイトの彼は相当がっくりきたらしくご機嫌斜めでショートの娘の相手すら放棄している。その娘にも悪いんだけど、本当に悪いんだけど、僕とロングの彼女は楽しんでいた。途中で買ってきたビールを開けひとしきり、
「ちょっと海の方いってみない?」
と彼女は言った。
僕達は軽く走りだす。別に急ぐこともないのだけど何故か足早に。渚は玉砂利を転がした様な音だけをたて、波が僕の足の下にあるものを掴もうかと、否かといった感じで近ずいたり遠のいたりする。
「わ」
ふいに勢いのある波が靴のソールを濡らす。
「靴脱いで足だけ入っちゃおうかな」
「いいね、そうしようか」
紐を解いてブーツをほうり投げ、サンダルを脱ぎ捨てるとジーンズの裾を捲り上げて。ちょっと悪いことをするみたいな顔をちらと僕に見せて。確信犯の顔、隠し得ぬと、一歩、また一歩と沖の方角へ歩を寄せると、いともあっさりと捲った裾が波に晒され、「ひゃぁ」と背中を撫でられた様な声を彼女は発した。うかれた僕達にピークがやってきて水をかけたりする行為をとらせ、あろうことか渚を走らせた。ここで擬音、もしくは無音、体だけはムーブ・オン。手をしっかりと繋いで。はぐれないように。
そのとき、彼女の悲鳴が聞こえた。知らないうちに波がさっきよりも満ちて僕達の靴が波にさらわれかけた。僕は悪の魔王からお姫さまを救出する、まるでブロンドの王子。白馬にまたがり魔の手ののびる靴たちをひどく格好良く助け出すのだ。彼女は、幸せに暮らしましたとさめでたしめでたし、といった顔をして笑った。 一番最後に僕も何も特別なことはないようなフリをして、そして笑った。
二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。
TRACK5
話はそう簡単じゃない。人生は長く複雑である。というのがまさに一般論だぜ。
僕は中央線に乗っている。僕の用事はパーマをかけたロングのあの娘に海で借りたハンカチを返しに行くと言う至極下らないものだが。だがもちろん、世の若者が往々にしてそうであるかは僕の知ったところではないんだけど、僕の用事がそれだけであるはずがない、僕は彼女に会わなくてはいけない。いや、会うべきだ。
待ち合わせ場所のファーストフード店で、コーラを飲みながら過ごすこと数分。彼女はやってきた。奇麗な茶色のタートルネック、サマーニットにジーンズという出で立ちに画材道具の入ったトートバッグを抱えて。気持ちの良い笑顔と一緒に駆け寄ってくる。本当ならばハンカチなんてここで渡せば用事はそこでフィニッシュなのだが、あいにくと僕はおみやげを持参していたのでそういうわけにもいかないのだ。おみやげの名称は下心っていうんだけど。そこら中で見かけんだろ?
彼女、FMの部屋は一般的なワンルームから比べると少し広めで、あまり物がないせいか当時僕が住んでいた部屋とどっこいぐらいの、な、はずなのにもっと広く感じた。備え付けのキッチンの小さな開け放した窓からは小気味良いまな板を叩く野菜を切る音が空へと帰り、その間、僕はただ彼女の後ろ姿を眺めていた。
手慣れているとは言い難いものがあった。が、毎日自炊しているというのもままんざら嘘ではなさそうではあった。借りたハンカチを返すだけで手料理が食べられるなんて僕は全然知らなかったけれど、割とメジャーな潮流に乗った、そんな不問律らしいとの噂は聞いた。女の子からは何はなくとも、必ずハンカチを借りることを是非おすすめしたい。
出てきた料理は手の混んだ代物ではなかったがそれだけになかなか感動的でもあった。味よりもむしろこの事実、リアリティが僕を満腹にさせる。その後、僕たちはマットレスの様な寝床でごろごろと転がり、何を話すでもなくうだうだ雑談していただけなのだが、僕が帰るためにはそろそろ私鉄の電車の時間が近ずいてきていた。ここで。僕はけっこうな勇気とカロリーを消費しなくてはならない。
「あ、もしかしたらうちの方へ行く私鉄がもう間に合わないかもしんない。やばいな、多分今からじゃ終わっちゃうかも」
本当にもう正気の沙汰ではない、この白々しさといったら。真っ白だよ。
「どうしよう」
こんな風に反応を伺うのももう最悪だ。
「…いいよ。泊まっていっても」
まさに、まさに。嘘をつくのは大変な作業である。でも無理も道理も通った。押しの一手、おっしゃる意味が分かりません。
TRACK6
僕と僕との会話。
『気分はどうだい?』
「ああ、すこぶる良いね。まるで風が僕に吹いているみたいだね、別に強がりじゃないよ。だって、そうだろう?もはや何の憂いもない」
『そう?』
「そうだよ。見ててみなよ、きっとうまくいくから。そういつまでも同じことは繰り返されないさ、アンラッキーだなんて言わせないね、君にもだよ」
『別に運は悪くないよ』
「立ち位置の問題なんだよ。僕はここなら平気さ。大丈夫。ノープロブレムだね」
『そうなの?』
「そうさ。僕も捨てたもんじゃないだろ?」
『どうだろう?』
暗転、という呈。
TRACK7
同じ布団の中、僕も彼女も眠れていない。大分個人的な話へと突入し、立ち入った空気が男と女を意識させる。いや、意識せずにはいられない。話の途中で彼女はごく自然に寝返りをうち、肩を下にして僕の方を向いた体制をとった。その鮮やかさに感心する。明鏡止水、拳法の極意。きっと僕の寝返りはとてつもなくみっともないんだろうから。
向かい合った体制の均衡がふいに破られ無我夢中できつく抱き合う、が、彼女は僕の足を自分の股にきちんとはさんだ形に。一枚上手だ。僕は自分のイニシアティブの存在をないがしろにするわけにはいかないのであえて言わせてもらうが、僕達は破ってはいけない沈黙を破るように同時にキスをした。同じ心音、同じタイミングってことだ。正確なところは僕が気づいたときにはすでに彼女の舌は僕の喉内に潜りこもうという意気込みであったがとりあえずそういうことだ。そこから彼女の前の彼氏の話が始まる。
長いので省略。
「うん」
曖昧に、何も言うまい。このスタンスはとても便利だ、いつも僕を助けてくれるのだ。言うべきことなんか在りはしないんだから。たかだか、僕らの歳などでは。
「あたし、けっこううまいよ」
「前の彼氏より大きい、してあげよっか?」
と舌舐めずり。
返事はあとまわしにして僕はマウントポジションを取り返す、そして彼女のくりんくりんとうねるライオンのたてがみみたいな髪の毛を見つめていた。彼女はしっかりと現実を見つめている、だけど僕に見つめられるのはその髪ぐらいのものだ。ひどくうつろなまま彼女の服に手をかけひとつひとつボタンを外しにかかり、ワン、トゥー、スリーで3つまではずしたところで彼女がブラジャーをつけてないという当然のことが分かったが、かまわず全部はずした。ワン、トゥー、スリーで出るのは鳩ばかりとは限った話じゃなく、ハッとする。乳房だったからね。
でも僕はぜんぜんダメだった。
うん、とも、ううん、とも言えなくなってしまった僕に腕をまわし、そんな僕をよそに、
「なんか、あたし、したくなっちゃった」
「あたし、したいよ。しない?」
もはや疑いようもなくなってしまった。セックス。
「よそうよ」
10秒経過、残り20秒。10秒。5秒。持ち時間は無常にも、少なくなる。こんなときには異常に早くだ。
オーケーと気軽に言えたらどんなにか楽だったか知れない。軽く堕落へ踏み込む覚悟もできていたはずだ、なのに、僕はダメだった。ぜんぜんダメだった。一体何の為だった?
胸の内、頭を抱え。イエス、ノー、オー、ノー。いや、不能なんだよ。
「僕が恋愛に縁がないのは、踏み込むのが苦手だからです。ぼんやりしてるし、どうも自分からいくのは苦手で。
かといて、向こうから告白されるほどモテないし。ほんと、駄目っすよね」
まさに自分がこういう人間すぎて思わず吹いてしまった。
ちょっと「いいな」、と思った人がいても、今まで自分から行動を起こしたことがない。
このあたり、本当にダメだな、と思うところなんだけど、それまで築いた関係を失う怖さが大きすぎて。
それを変えることができずに今まで生きてきた。
もともと恋愛に積極的でないというのもある。
一人だけに多くの時間を割くのって何か窮屈だなと思ったり、
そもそも、人の深いところまで踏み込んで排除されるのがとてつもなく怖かったり。
思春期に恋愛でない場所でそういう体験をしたことで、人に対する根本的な諦めが自分の根本にあって。
でも人を信じたい、人に信じられたいという気持ちは人並み以上にあって、
純粋なのに疑心暗鬼というバランスが取れない精神状態になることがままある。
だからあまり込み入った人間関係にならないようにしてきた。
高校の頃、それなりに上手く友達付き合いをやってきたつもりだった。
けれど、卒業してから当時の友達と会うことはほとんどなかった。
大学ではもうちょっと改善されて、今でも当時の友達とはよく遊ぶ。
異性の友達もいるにはいる。でも、男女の関係になることはないだろうと思う。
異性関係で言えば、自分は「向こうから告白されるほどモテない」人間だ。
何度かフラグのようなものはあった気はするが、それも踏み込まずスルーしてきた。
そして、今、久しぶりに、「いいな」と思う人がいる。
もうそろそろこんな自分を変えなければ、と思いつつも、やっぱり踏み込んだあとのことを考えると立ちすくむことしかできない自分がここにいる。
あーもう。
法律関係の公式な文章で、日常用語的な意味の善意を表現する必然性はないんじゃないかなあ。意図に言及する場合はもっと具体的なところまで言及しないと意義がないと思うし(それも判決とか解釈論とか、あえて微妙なところに踏み込む必要が出る場合だけであって、規約とか契約ではまずしない)、漠然とした表現は疑義のもとだから避ける。必然性のない文言は入れない。
そこに出てくる例文も、修飾無しの単なる「第三者」にした方が適切だと思う。そうしないと「善意の第三者」以外の第三者の行為をどうするかとか、その第三者が善意であるか否かの判別は....とか、余計な要素を持ち込むだけだ。