はてなキーワード: 国防委員長とは
既にあちこちで言われてて二番煎じかもしれないけど、思いついたので書かずにはいられなかった。
大洗女子、会長があれだけででーんと構えて碌に仕事しない理由はと考えると、やっぱ「指揮官じゃない責任者」だからなのかなあ、と。他校の戦車道は「最高責任者」と「実質的な最高指揮官」が一致してて、多分最終的な責任はアンチョビ姐さんとかケイさんとかダー様とかカチューシャとかが取るんだろうけど、大洗女子は違う。
大洗女子の最高責任者はあくまでも会長だ。彼女こそが戦車道を復活させ、西住みほを隊長に据え、「戦車道チームの目標」を定めた。劇場版では文科省の官僚と熾烈な交渉を繰り広げて学園艦の命運を賭けた勝負に打って出た。そして事実上、クイズ大会やエンカイウォーなど、後方での作戦指導に関わらない部分の実権は未だに生徒会が握っていることが随所で示唆されている。おそらく、仮にどこかで敗戦することがあったとしたら彼女が詰め腹を切らされていたのだろう。
要するに他校の戦車道チームは基本的に銀河帝国であり皇帝おん自ら指揮を執るのだが、大洗女子は自由惑星同盟なのだ。西住みほの立場はヤン・ウェンリーであり、チームの戦術を担当してはいても最終方針についての決定権はない(この辺が、同じく上から口説き落とされて指揮官に就任しているけど実際にはチームの目標とかの決定権も握っていそうなドゥーチェとの違いか)。その西住みほの率いるチームに会長が一車長として参加しているのは、ヤン艦隊にウォルター・アイランズ国防委員長が分艦隊司令官として参戦しているようなものだ。
仮にそんな状況が生まれたとして、ではアイランズ委員長はどう振る舞えばいいのか。いちいちヤン提督の作戦指導に口を出すべきか? 一艦隊司令官として任務に精励すべきか? おそらくは、「艦橋の司令官席でおとなしくして、ヤン提督の指示にハイハイと従っておく」辺りが最も穏当な解なのではあるまいか。彼が本格的に艦隊指揮に乗り出すのは、ハイネセンに帝国軍が迫ってからでも遅くはない。
そう、プラウダ高校に絶体絶命の死地まで追い込まれて初めて、これまで致命的なノーコンにも拘らずずっと砲を預けてきた河嶋桃と交代したように。
こうして見ると大洗女子の戦車道というのは「最高責任者と最高指揮官が分離しながら、前者が後者の指揮下に入っている」という極めて特殊な事例なわけで、そういう特殊状況下における最高責任者の振る舞いとして、彼女のあのグータラっぷりは実はパーフェクトなのではないか。彼女が裏で暗躍し、かつ試合では作戦指導に何も口を挟まずにきたからこそ西住殿が雑音に悩まされることなく「やっと見つけたわたしの戦車道」をのびのびと追求することができているわけで、あれは実は理想的な前線と後方の関係を築いているのでは(守護天使が勤労意欲に目覚めて以降のアイランズ委員長とビュコック提督との関係的な)。単に「そういうキャラ」として片付けるのではなく(もちろんそういう面もあるんだろうけど。彼女典型的な「有能な怠け者」だよね)、こういう視点で見てみるのもいいんじゃないかなと(車輪の再発明になっていたら恥ずかしいので穴掘って埋まってます)。
なお他のチームも妄想してみると、サンダースは膨大な物量をうまく捌けるだけの官僚機構(資材班とかそういうの)が他所よりも発達してそうだから、ケイさんの役割は元ネタの国における大統領と完全に被ってそうな。快活さで人を惹きつけ従うべき理念を示し戦略の道筋も示すけれど細かい点はアリサみたいな部下が指示する。黒森峰の場合はそういう後方の仕事が完全に戦車道に従属してるプロイセンみたいな感じなんだろう。指揮官はあくまで試合の巧拙で選ばれるという。プラウダはカチューシャ的には有能な独裁者による恐怖政治を敷いているつもりなんだろうけど実際はどうなのかな。実力で一目置かれてるんだけど見た目と振る舞いの幼女力の高さから戦車道チームのマスコットとして扱われていて生徒たちの感覚としてはそこまで恐怖政治ではなくむしろ癇癪持ちの妹みたいに思われているとしたら、なんかこう、良くないですか(むしろ副官の方が怖いけど彼女はロリコンカチューシャに忠実なので恐怖政治にならずに済んでいるギリギリのバランスの上にいる感がある)。アンツィオはアンチョビが最高責任者であり最高指揮官でありお母さんなんだよなあ。