まずスタンスをはっきりしておかないといちいち面倒なコメが付くので言っておくが
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ということであのポスターの絵柄だが、
その前にまず、かつて「鉄道むすめ」というコンテンツで、東京メトロのキャラクター「駅乃みちか」が扇情的なエロい表情をしてるから云々ということで炎上したのを覚えている者も多いだろう。
その「駅乃みちか」を描いたイラストレーター・伊能津が、今回のコラボ元となった「ラブライブ!サンシャイン!!」の公式絵師であるのは、オタク諸氏であれば既知のことだと思う。
なるほど、伊能津という奴が戦犯か、などと言い出すのは拙速にすぎる。まあ聞け。
伊能津のイラストだが、彼は公式サイトやpixiv垢を持っていないようなのであまりウェブ上に公式絵の露出がない。ここは「鉄道娘PickUP!!」のイラストを見ることにしよう。鉄道むすめのサイトで「キャラクター紹介」から「PU2013」~「PU2015」あたりは全キャラ伊能津なので見てみるといい。なお「駅乃みちか」は「etc」のところにいる。
さて、彼のイラストを見てみると、彼の絵の特徴は「陰影表現」にあることがわかると思う。径の大きいブラシを用いた繊細なグラデーション影がどのキャラクターにも用いられている。
鉄道というコンテンツの特性上、色の濃いパンツルックのキャラクターが多いが、折り目やしわなどが見事に表現されている。
上半身を見てみると、素材までわかりそうなくらいに皺と陰影が描き込まれている。伊能津という絵師は陰影のマジシャンなのだ。
炎上した「駅乃みちか」は修正後のイラストが掲載されているが、上半身の立体感と塗りつぶされたスカートの落差の酷さがわかるだろう。
鉄道むすめの他の伊能津絵を見ていると、パンツルックのキャラで股に皺が寄っている絵もあるのがおわかりだろうか。京阪京津線の「石山ともか」や伊豆箱根鉄道の「修善寺まきの」などで顕著だが、なぜこうなるかというと、腰部に皺や陰影がないと、上半身やパンツの裾とのバランスが取れないのだ。だからしっかり陰影を描き込むが、これらの絵で「パンツが透けてる」などと見えることはない。「駅乃みちか」の修正前の絵の股間の陰影も、今回事故った西浦みかんのコラボ絵に比べたらそれほど違和感はないのではないだろうか。
なぜかというと、あくまでグラデ影だからだ。グラデ影の使い手、それが伊能津である。
ところで、伊能津は電撃G'zマガジンなどでラブライブのピンナップイラストを手がけている公式絵師である。公式に掲載された絵はないが、ぐぐってみればいくつも出てくるだろう。
それらのイラストにも熱のこもった陰影表現がなされているのがわかる。アイドル衣装も私服姿もあるが、それらすべて共通しているのは「グラデ影」だ。
アニメのキャラクターデザインを担当した室田雄平が描き下ろしている絵もあるが、違いは一目瞭然、室田の一枚絵はアニメのそれ、陰影は色トレスを用いたくっきりした影である。
室田は「アニメーター」であり、伊能津は「イラストレーター」なのだ。
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さて話は西浦みかんのコラボ絵に戻るが、あの絵を描いたのは誰だろう?正解は現時点では存在しない。(してたら教えてくれ)
これから書く内容もあくまで推測であるから、間違ってることがわかったら恥ずかしくて削除するかもしれない。
例の絵をよく見てみよう。股ぐらの濃い影ではない。上半身だ。制服の上半身には、アニメの原画としては過剰なほど影が描き込まれている。電撃G'zの室田絵と比較してみるといい。彼はここまで影を精緻に描いてはいない。それが悪いという話ではない。アニメの絵は必要最小限の手数であることが重要だからだ。
とすると、この絵は伊能津の絵なのか?だから股間に影が描かれたのか?
私の想像では、半分正解、半分ハズレだ。
つまり、伊能津が描いた原画を、アニメ調にクリンナップして出来た結果が西浦みかんのコラボ絵、というのが私の想像である。アニメ調の絵になる際に、特徴的なグラデ影は色トレス風のくっきりした影に変換されたのだと見ている。
変換する際に必要なのは「しきい値」だ。どこまで影じゃなくて、どこから影か。彩色者に指示する際に「ここから影」という線を引く。それがトレス線だが、相手は繊細な階調表現のグラデ影だ。単純に色の濃さで線引きしてしまっては当然不自然になるだろう。どうすれば不自然に見えないかを考慮する必要がある。
ここで「原画で暗かった箇所に影を入れる」を脳死でやってしまった結果が、あの股ぐらを強調した影ではないかと思っている。
鉄道むすめのパンツルックの子でも、もっとも暗いところに単純に濃い色を塗ったらどうなると思う?おしっこ漏らしたみたいになるのだ。
あの部分の陰影は繊細に扱うべきであり、あんな風に塗ったら「パンツの形が浮き出てる」って思われてもしかたないだろう。