自分が昔住んでいた街に、安くて速くて量が多い、店内は暗い感じのこじんまりとした中華料理屋があった。
自分が最初訪問した時は流行ってるとはいい難い。主人が一人で捌ける量の常連がいるような店だ。
店主はメニュー開発が好きなのかいろんなメニューを季節限定で提供していた。
その一つが冷やし担々麺だった。
その店は、細麺のちぢれ面に、濃厚なゴマダレと、ラー油。そして、麺の上にこんもりもられたキャベツの千切りと肉味噌といった感じの冷やし担々麺だった。
一人暮らしで、肉より野菜のほうがコスパが悪いことを知り、野菜をほとんど食べない自分にとって、まるでその冷やし担々麺は夏を健康的に乗り切るオアシスのようなものだった。
この店との出会いは、入社したての自分をランチに誘ってくれた社長が連れてきてくれた。社長もこのお店の常連だった。
ちょうど引っ越しをした場所から徒歩で2分、会社からは徒歩で10分というアクセスの良さで自分はよくこの店に通った。
顔も覚えられて、着席すると水を持ちながら「いつもので?」と聞いてくる。いつものというのは担々麺+ライスのセットだ。ここの担々麺は酢が聞いて一度食べたらやみつきだ。
店主は、カウンター越しよく話しかけてくれた。自分がポロッと「最近、名古屋の方では冷やし担々麺っていうのが人気らしいっすよ。一度食べてみたいっすわ~」と言ったことがきっかけで店主なりにいろいろなレシピをみたりして作ってくれたのだった。
店主はメニューに出す前に「つくってみたんだけど、どう?」と無料で一回食べさせてくれた。初めて食べたから他のと比べられないけどとても美味しかった。
特に野菜がたくさん乗ってヘルシーだった。これでライスとセットで600円なんだから信じられない。自分は毎日のように冷やし担々麺を食べた。
メディア取材がきて、店は大繁盛、担々麺が美味しいお店と話題になった。自分も大繁盛して嬉しかったが、流石に平日に待機列に混ざるわけにもいかず、土日の人が収まってきた時にまだ昼を食べてなかったら行くぐらいになっていた。
それからどんどんと自分はその店に行かなくなった。店の雰囲気が落ち着けなくなったからだ。
それから、転職をし、社長に報告したら「最後に一回いっておくか!」とそのお店で送別会を開いてもらって、引っ越しをした。
今年の8月入った頃に店主が倒れた。そしてそのままお亡くなりになった。
社長からその報告を受けたとき、お世話になっていたから葬式ぐらいは…と思ったがやはり距離的に厳しいこと、お盆前の仕事の仕上げがあり行くのは難しかった。身内でもないから有給も取得しにくいし。
そして、このお盆に実家に帰った帰りに、香典を渡して、仏壇を拝ませたもらった。
前の会社の社長に連絡を取り、じゃぁ家まで車で送っていくよと送ってもらった。
店主の家に行くと奥さんがいて、香典を渡し、お店の方は、段々と人が増えていたので従業員を増やすために息子に戻ってきてもらい引き継いでいた、今はバイトを何人かいれていて営業はできるという事で営業はしていた。
お店の方に行くと前よりは落ち着いたものの、待機が2組ほどいるようだった。社長と待機列にはいった。
店内は息子さんと、女性の店員一人が切り盛りしているようだった。
女性の店員が注文を聞きに来る。社長はいつも担々麺とライスだ。
自分はメニューをひと眺めして冷やし担々麺とライスを注文する。
5分も待たない内に運ばれてくる。提供スピードは相変わらずだ。その冷やし担々麺をみてびっくりした。
あれ?おかしいなって顔をしていると、社長は思い出したようにいった。
「増田くん、よく店長と野菜が高い高いって話してたよね。店長ね、増田くんが注文するとき、なんでも野菜多めにしてくれてたんだよ。俺も冷やし担々麺何回か食べたこと有るけどキャベツ盛りは増田くんの特別オプションだったんだ。」
その話を聞いた瞬間、涙がボロボロとでてきた。
遺影を見たとき、いっつも笑ってる店主の顔が見えたとき、その写真が動き出して「いつもので?」といってきそうだなと思ったが涙をこらえた。なんというか、実はどこかにいて、店主と社長がドッキリでもしかけてるんじゃないかって思ったぐらいだ。
社長のその話と、キャベツが盛られていない冷やし担々麺を見たとき、「あぁ、店主は本当に居なくなったんだな」って実感をした。
それをみた社長も泣いて、笑っていた。
キャベツの乗っていない冷やし担々麺の味は、全然わからなかった。わからなかったけど、代わり映えしないようにおもえて安心する味だった。
無理言ってでも葬式に出ておけばよかった。
そんな後悔しても遅いんだけどね。
あぁ、せめて、店主に冷やし担々麺のレシピ教えてもらえばよかったなぁ。エビチリ、麻婆豆腐、青菜炒め、いろんな中華料理のレシピを教えてもらったんだけど、なんで冷やし担々麺のゴマダレは聞かなかったんだろうな。
まさか食べ物の増田で泣くとは思わなかったです。 いい話でした。ありがとー、
これ嘘松でしょ 何度も行ってるのに自分の担々麺だけキャベツ乗ってるのに気づかないとかありえないし、周りが気づいて変な雰囲気にならないのもおかしい
どうでもええやん。小説の最後にいちいち「これはノンフィクションです。実在の登場人物とは云々」って書いてないと怒奴?
ううん。 そうじゃなくて、フィクションと言わない限り そういう優しさとか思いやりとかが実在しませんってことを実証してしまうわけ。 仮にそんな優しさを探しに行った人がいたら...
「同じ優しさを広めたいと思って行動した人」って何?寸分違わず「同じ優しさを広める」ことってあるの? 「道案内」もべつにしてなくない?あ・ほ・か?
あなたのその言葉、自分に向けられたらどう感じますか? あなたが出来るだけ相手に不快を与えようと選んだ言葉は 最終的に嘘だと虚しい結果に至った場合でも開き直れるように また...
観察例がひとつあれば何か立証できると思ってる人?逆に観察例がなかったら非存在を立証できると思ってる人? 大丈夫か。
人間によって「観測」されるまではこの世の現実は存在しない
ほんとそれ EM菌の有用性は人類にはまだ未知の領域からきているので健康にいい も観測されてはじめて有効といえる
誰々の話でした、でまた聞き紹介など情報の二次利用をする方もする方の立場も守ることができるのに 情報の利用者に観測点の情報の特定を押し付けてしまうことになったり 理論上よい...
コミュニケーションとは権力。権力とは秩序。秩序のために下位順列はひたすら従うのみであります ただネットは従わせようと相手のバックグラウンドを伺う事は多々あれど、徹底的に...
anond:20180820222809
まぁ、なんかこう書けばフックがあるよね!って感じが露骨だわな。現実に体験した人間の熱量みたいなものがないし。どっかのアフィライターが「俺にはこんな力があるんだぜ!ドヤ...