昼休みに職場のアラフィフのおばちゃん達とTOKIOの山口元メンバーの事件の話題になったのだが、
山口元メンバーを擁護、また被害女子高生を非難するような意見が圧倒的多数で驚いてしまった。
私はこの春に大学を卒業したての新入社員だ。一緒に話した彼女らからすればまさに母と娘ほどの年齢差である。
単に年齢や立場の近い方に肩入れしてしまいがちなだけ、ジェネレーションギャップ、と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。
だが、「山口くんは辞めなければいけないほどのことをしたのか」「そんな夜中に男の部屋に行く女子高生が悪い」という意見にはすこし異議を唱えたい。
という思いでこの記事を書かせていただく。
突然だが、私は男性から少々危ない目に遭わされた経験が思いつく限りでも三度はある。
高校時代、同級生の男子からLINEで急に肉体関係を迫られた。
大学時代にバイトからの帰り道で、見知らぬ男性に絡まれ、逃げようとしたら腕を掴まれた。
サークルの飲み会で、したたかに酔った先輩に襲われかけたこともあった。
これを見た読者の皆様はどう思うだろうか。
「怖い」と言ってくれる声もあるかもしれないが、「なんだ、そんなものか」と思う方のほうがおそらく多いだろう。
「そのくらいで」とは、じつは被害を受けた私自身も少なからず思っているところである。
実際、LINEをもらった同級生から実際に襲われたわけではないし、夜道で話しかけてきた男性からもそれ以上は何事もなく逃げ切れたし、
サークルの先輩に襲われかけたときも周りに人がいたため止めてくれた。
何か痛い思いをさせられたり、強姦されたりしたわけではない。「実害」というほどの実害も受けていないのである。
だが、「怖かった」「嫌だった」という気持ちに偽りはない。
それらの被害に遭った当時を思い出してみると、その状況を「乗り切る」ということのハードルが著しく低いことに気づく。
平たく言えば「殺されなければ何されてもいいから、生き延びよう」くらいの考えになってしまっている。
まず、相手は理性をなくすほど興奮している。下手な言動で逆上させては何をされるかわからない。
きっぱり断ろう、警察を呼ぼう、といったまっとうな考えはなぜか遥か遠くへ行ってしまっていた。
そのため、なるべく従順な態度をとって被害を抑えよう、これ以上エスカレートしなければいい、と現に受けている被害を受け入れてしまう。
被害から解放された直後は、こちらも急に非日常な状態に追いやられて冷静な精神状態とは言い難い。
私の場合は運良くそれ以上の被害を受けずに済んだので(本当に運が良かったと思う)、「これだけで済んでよかった」という安堵感が真っ先にやってくる。
あんなことが本当に自分の身にも降りかかってくるんだなあ、いい勉強になった、なんて能天気に受け流そうとしていた。
それからしばらくは当時のことなんて考えたくもなかった。「これだけ」とは言っても、やはり嫌なことだったからだ。
そして心の傷も癒え、ようやく冷静に状況を分析できるようになった頃に「やっぱりあれっておかしかったんだよね」と気づく。
「あれだけで済んだから」、怖かった、嫌な思いをした、と声を上げるのがなんとなく憚られてしまうのだ。
いっそ強姦を完遂でもされていれば大手を振って(という言い方もおかしいが)「被害を受けた!」と言えるものであるが、
少なからず怖い、嫌な思いをしたにもかかわらず、「そのくらいで……」とも思う気持ちが邪魔をした。
しかも冷静に声を上げられるようになるまでにはずいぶん時間がかかったため、「今更あのときのことを持ち出すのも……」という考えも頭をよぎり、
わざわざ大事にせずに忘れてしまった方がいいんじゃないか、という結論に至った。
これで私は3件ともほとんど誰にも言えず、いわゆる泣き寝入りのままだった。
もちろん警察に被害届も出さなかった。出したところで取り合ってくれたかどうかはわからないが。
こんな経験をしているせいか、私はこの事件の被害女子高生にどうしても肩入れしたくなる。
いくら夜中でも、呼び出された場所が異性の家でも、実際にその状況に陥って初めからきっぱり断れたとは思えない。
キスをされた、と声を上げるだけでもずいぶん勇気が要ったに違いない。逃げずによく頑張った、と称賛の拍手を送りたい。
どんなに小さな被害でも被害には違いないのだから、「そのくらいで」なんて言わないでほしい。
「そのくらいで」と自分でも思っているからこそ、嫌な思いをしても声を上げられずにいる人がいることに気づいてほしい。
どうか心ある大人の皆さんは、被害の声に対し、もしも些細な被害だと感じても「よく言ってくれたね」と優しい言葉をかけられる人であってほしい。
うんち
関係ないかもしんないけど、フェミニストと呼ばれる過激な人たちや、女叩きに勤しんでる人たちの声に潰されて、当事者がとにかく置いてけぼりにされてるなーと感じる。