2013-05-25

リカバード職員やってるんだが。(その2)

タイトルが冗長だったので編集しました)

初めての増田リカバード職員やってるんだが。)がホッテントリ。。。びっくりしました。

リカバード職員という職種や、依存症が回復するということ、逆に回復出来ない依存症者の末路など、色々なところに興味を持っていただけたようで、嬉しい気持ちです。

もちろん一部誤解を招いた部分もありましたが、これは私の力不足に拠るところであります


今回は少しでも誤解を解ければと思い、依存症者が陥っている負のループについて書かせていただきます


私は、生活保護を受けている依存症者がお金を持ち逃げするからといって、彼らがダメ人間であると決めつけることは早計であると考えています

もちろん、これは犯罪ですので、相応の償いは当然するべきでありますし、依存症であることを理由に免罪されるとは思っていません。

ただ、彼らが半ば犯罪行為に及ぶ思考プロセスは以下のようとなり、決して全員がダメ人間であるからというわけではありません。

病気がそのような行為をさせている部分もあるということを理解していただけると、うれしいです。


前提:依存症であること(アルコールギャンブル


飲酒ギャンブル前>

お酒を飲まずにいられない・ギャンブルせずにはいられない(そういう病気であるというのが大前提です)

お金がないとお酒が飲めない・ギャンブル出来ない

お酒を飲まずにいられない・ギャンブルせずにいられない(病気の症状としての強迫観念。本人の意思でこれが止められるなら病気ではない)

しかし、お金が手元には無い。

お酒を飲まずにいられない・ギャンブルせずにいられない(病気の症状としての強迫観念。本人の意思でこれが止められるなら病気ではない)

しかし、お金が手元には無い。

→このループ・・・


ループの間、強迫観念は頭の中から離れることは無く、むしろ積もっていきます。苦しみは増していきます

そして、この苦しみから解放されるために、軽重に関わらず犯罪的な行為生活保護費の持ち逃げ・万引きお金の借り逃げ・・・)に及ぶことがしばしばあります


ここがポイントです。

犯罪を犯してはならないことは分かっているのに、犯罪を犯してしまうほどの強烈な強迫観念の苦しさ」であることが依存症の恐ろしさです。


例えて言えば、高度に訓練された兵士も極度の拷問にかけられたら機密を自白するかもしれませんね。

そういうことです。


飲酒ギャンブル後>

一瞬、ホッとします(酒を飲んで、プハー!うまい!と思ってホッとしたことありませんか?その感覚です。ギャンブルでも依存症者はその感覚を味わいます

そして、依存症でない人は、適度なところで、お酒ギャンブルをやめることが出来ます

しかし、依存症者は1杯目の飲酒や1回目のギャンブルから「渇望現象」を引き起こすこととなります

アルコールであれば、1杯飲むと、2杯目が欲しくなり、2杯目を飲むとさらに3杯目が欲しくなる。

これは基本的に止まるところを知りません。

(だから依存症者は、絶対に最初の1杯、最初の1回のギャンブルに手を出してはいけないのです)

軽度のアルコール依存症者にはそれほどの傾向はありませんが、重度になると連続飲酒発作といって、自分お酒を止めたいのに止められなくなる(血を吐きながら飲むような感じ。頭では酒を止めたいけど、身体が勝手に動いて飲んでしまう)状態になります死ぬことは珍しくありません

アルコール場合、極度の酩酊ギャンブル場合(たいてい)財布が空になるまで(仮にちょっと儲けても、ギャンブルへの渇望現象でさらに儲けようとして結局財布は空になる)やってします。


そして、深い深い後悔に襲われます

後悔の念を抱えた依存症者は、常に周囲の目におびえ、罪悪感を抱えて生きています。(依存症っぽい人の独特の雰囲気ってこういう理由もあると思います


前述の<飲酒ギャンブル前>の状態に戻ります


まり依存症者は

日常的にさらされている飲酒欲求・ギャンブル欲求という、自分意志ではコントロール出来ない強迫観念コントロールで来たら依存症ではない)

・1杯飲んだら(1回ギャンブルをやったら)やめられなくなる渇望現象

ループから抜け出せず、常に周囲の目におびえて罪悪感を抱えながら生きています


話しが少しそれますが、依存症者のこのループ病気であり、依存症者はこのループに対して完全に無力です。

しかし、本人は、アルコールギャンブルコントロール出来るものと信じています

故に、依存症は否認の病気(私はアルコール依存症じゃない!と言い続けて酒を飲む)といわれます

まー、周りはみんな酒飲んでるし、酒飲むのは楽しいし、アルコール依存症者って人間関係も酒で作ってるようなものですし、酒を取ると何も残らないんですよね。。。実は。

からみんな自分病気を全力で否認します。

この辺の、依存症者という病気生き方関係について語り出すと1記事になっちゃうので、割愛します。


閑話休題

これを延々と何年にも渡りループし続けて最終的に肉体的に死に至る病アルコールギャンブル依存症です。

肉体的な死の原因は、病気肝硬変・膵炎・糖尿病・各種ガン・・・から自殺人間関係崩壊による他殺まで様々です。

肉体的に死ぬ前に、社会的死ぬことも多いですが、社会的な死を恐れて自殺するパターンもあるでしょう。

例を挙げていけばいとまがないと思います


前回の増田トラバで頂いた、ネット依存症も同じでしょうか。

ネット依存症には詳しくありませんが推察するに、

ネット世界ゲームなのか、SNSなのか、ネットサーフィン死語?)なのかわかりませんが)に浸ってないといられない強迫観念

・一度ネット世界に入ると、ネットを渇望する現象(ネット接続を切れない→食事や睡眠リズムが狂い、仕事が出来なくなる)

というループにはまり込んでいると推察します。


依存症者がはまり込んでいる負のループについて、ご理解頂けましたでしょうか。


もちろん、だからといって、依存症者の犯罪が許されると思っていません!!!


ただ、

依存症者には、生まれながらにしての依存症者、つまり生まれて初めて飲んだお酒で「渇望現象」を引き起こし、その翌日から強迫観念」にさらされる人もいます

ある日突然、飲酒量が増えて、毎日朝まで飲み歩き始める人もいます

定年退職まで休日しかパチンコしてこなかったのに、定年後、月に100万円ギャンブル突っ込み始める人もいます


明日依存症者はあなたかもしれませんし、隣の「良い人」かもしれないんです。


ダメ人間依存症者になるというのは、すべてが間違いとは言いませんが(もちろんダメ人間もいます)、ごく一部で、大半は真っ当な人です。

それを知っていただきたくてこの文章を書かせていただきました。


アルコール依存症自体、私の病気でもありますし、病気について言語化することは仕事の役に立つので、また何か書きたいと思います


最後まで読んでいただいてありがとうございました。

記事への反応 -
  • 俺はアルコール依存症からなんとか立ち直って、今は依存症者の支援をする仕事をやってる。 依存症から助かりたいと思う奴らのために働いてる。 世間ではあまり知られていないだろう...

    • 初めての増田(リカバード職員やってるんだが。)がホッテントリ。。。びっくりしました。 リカバード職員という職種や、依存症が回復するということ、逆に回復出来ない依存症者の...

    • その依存症の回復方法教えてくれないかな ネット依存症を治したいんだ 性格は暗示にかかりやすいぐらい素直だ どうか教えて欲しい

      • ネット依存症か。それは大変だな。 ネット依存症からの回復の方法をネットで教えるというのもなんだか複雑だ。。。 結論から言うと残念だがネットで全部を教えるのは無理だ。 ...

      • リアルにネット以外の楽しさを見つけるとかしかないんじゃないかな。

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