はてなキーワード: 谷中銀座とは
夏が近づいたら何かが起こりそうだという気が毎年するのだが、H&Mに行ってアロハシャツと短パンを揃えたくらいではなにも起こらなかった。
いや去年は無職になった。
事業が終了したら部署ごと無くなって、そこにいた人間がまとめてお払い箱になってしまうのは、いわゆる外資系で働いていればよくあることとはいわないまでも、珍しいことでもない。それまではわりに忙しかったので、失業手当でももらいながらちょっとゴロゴロするかと思っていた。
ブックオフで買った本も読み終わってしまって、日暮里の談話室ニュートーキョーでぼんやりしてたら、誰かが傍で立ち止まった。顔を上げるとNが不機嫌そうに睨んでいた。
なんでこんなところで昼間から優雅にメロンソーダ飲んでんだよ、しかもさくらんぼ入り、さくらんぼ、と突っかかってくる。うっせーな無職だからに決まってるだろうが、と返すと、えーなにそれとうとうクビになったの?聞きたい聞きたいと向かいに座ってくる。
他人の不幸にがっついてくるこの女とは、日暮里の西アジア料理店で知り合ったというよりは喧嘩した。床に座ってベリーダンスを見ていたら背中合わせでぶつかって小競り合いになったのだ。
それ以来、なにかと行動範囲がかぶる。谷中銀座の酒屋で角打ちしたり立ち飲みカフェに入ると気がつけば隣に立っており、なんでお前がここにいるんだよ、うっせーバーカと言い合いながら飲んだ。
沖縄に行くぞと言ったのはNの方だった。さっきクアラルンプールから飛んできたこの女はコンサルティングファームに勤めていて、成田への移動が面倒臭いという理由からスカイライナーが停まる日暮里に住んでいる。明日からバカンスなのはわかった。だがなぜ私がお前の旅行に同行しなければならないのか。お前はお前の男とリゾートを楽しめばよい。
そのようなものはいない。またお前は間違いなく暇であるし、もうすぐ夏である。よって明日7時半に京成の改札前に集合すること。あとはすべて手配しておく。
行きの便ではほとんど寝ていた。那覇空港に飾ってある蘭の紫が寝起きの目にぐりぐり来た。
空港で車を借りて安座間港という所まで運転させられた。そこからフェリーで久高島に行った。
島は静かだった。背丈と同じくらいある草木がもっさりと両側に茂る道をひたすら二人でまっすぐ歩いた。何もない。
浜に出ると白い砂の向こうに明るい青の海が広がっていて、誰もいない。大きなヤドカリが木の下から出て波打ち際に向かってゆくのをぼんやり眺めた。
で?
なぜ?
哀れむような目つきでNは大袈裟にため息をつく。
感じろよ。いままで考えてた夏はどうなった? 何か起こりそうと思ってた夏は。考えてたら見送るだけでしょう?
たしかに。もうそういうのはさんざんやってきた。何か起こりそうって感じた瞬間に、自分でガッとつかまえて、たぐり寄せないと、結局いつも同じ。
そう、ガッと。Nは手を熊手のような形に広げて突き出してきた。
その手首をガッとつかむ。もう片方の手でビール瓶を持ってNのグラスに注ぐ。
島の夜は出かける場所もなく、早く寝るしかなかった。部屋の電気を消すと、夜が本当に真っ暗なところに来るのは久しぶりだと気づいた。Nの髪は潮風に吹かれたせいか少しパサパサしていて、洗いたてのシャンプーの匂いがした。肌が触れあうたびに、日焼けの痛みでお互いに悲鳴を上げながらゲラゲラ笑った。
明け方に目が覚めるとほんとうに静かで、東京では知らないうちに騒音を気にしないで生きるようになっていたのだと気づいた。島に来てよかったと思った。シーツからのぞくNの寝顔は普段よりもずっと子どもっぽく見えた。日に焼けた足首には糸みたいに細い金のアンクレットをつけていることにはじめて気づいた。その瞬間、なんだか急に気恥ずかしくなった。
東京に戻ってからもNとは互いの部屋を行き来するような関係を続けたが、大喧嘩をして別れてしまった。もう気軽に沖縄へ行けるような状況ではなくなってしまったが、去年の今頃のことを思い出して曇り空を見ている。また夏が来る。
緑仙が好きだ。以下に、俺が緑仙について知っている事をいくつか書く。
前提として、俺は緑仙全肯定botだというのはわかってほしい。
緑仙の意に沿わないようなことも書くし、メタな話題にも踏み込むが、そこを含めて好きなのだ。
男の娘、両性具有なんでもありのvtuberだが、性別非公開っていう設定は、わりと特異だと思う。
初期の「男の僕と女の僕、どちらだったら好きになってくれますか?」って決め台詞は最高。
最近は性別の話題になるとどっちでも良い、興味がないと切って捨てることが多い。
たしかにどっちでも「良い」のは間違いない。それでも気になっちゃうのは、ファンのサガだ。
緑仙の性別が気になるのは性指向、男と女どっちが好きか、に関わってくるからだ。
このことについて考えると気になって眠れない。
わりとふわっとした言い方で明言を避けていたが、こないだのツイキャス配信で
「男でも女でもどっちでもいける」と言ってくれた。
そのためにデビュー予定だったVOIZを抜けてSEEDsから出ることになったと言う。
元VOIZの二人(春崎エアル・成瀬鳴)とは、どういうわけかいまだ両者わだかまりがあるらしい。
緑仙曰く「こちらから絡みにいっても、うまくかわされてしまう」そうだ。
俺は泣くだろう。
緑仙が公開する自分の話はミステリアスというか、人を食ったものが多い。
緑仙の前世について検索しようとすると、大概上位に来るのは仙河緑と、こないだの身バレ配信についてだ。
デビュー3ヶ月の時にも似たような身バレ配信をやってることを考えると、これらは特定避けの効果をねらってのものではないだろうか。
ネットリテラシーつよつよの緑仙なら、その程度のサジェスト対策はしてもおかしくないと思う。
緑仙は身バレにはとにかく慎重でほぼ完璧に対策を立てているようだ。
完全に想像だが、これは性別特定を嫌うのと関連してるかもしれない。
そういえば、文化祭配信にしても谷中銀座に詳しい件にしても、住所バレにはそこまで気を使っていない印象がある。
それに対して性別を判定されるのを嫌がって筆跡すら晒さないのだ。
今俺が気になっているのは、性別がどちらか、という問題よりも、何故ここまで性別不詳にこだわるのか、という謎だ。
そしてこれは、おそらく絶対に明かされることは無い緑仙の魂のパーソナルな部分だ。
想像するしか無いし、想像するほどに緑仙を愛おしく感じるのだ。
まあそういうわけで、緑仙の魂について想像を巡らせてみよう。
多くの人が、ニコ生ないしツイキャスの歌い手出身では無いかと考えていると思う。
だがこの可能性はかなり低い。
緑仙はデビューから一年近く経過し、サブスクはこれを書いているたった今10万人に達した。
緑仙は声や歌のレパートリーにかなり特徴があり、特定の層を直撃する。
前世に僅かでもファンのいた歌い手であれば、そのファンが緑仙にたどり着かないはずがないのである。
また、緑仙はデビュー時まともなマイクを持っておらず、歌動画もエレコムのスタンドマイクで収録したという。
ここまで機材の貧弱な「歌い手」は流石に珍しいのではないだろうか。
逆に緑仙が最初から持っていたのは2台のマッキントッシュとアドビソフト群のライセンスだ。
ゲーム配信用にWindowsを買ったのはごく最近。初期には動画編集の作業配信も行なっていた。
流石に高校生には無理があるのでは? と思うのだが、お年玉を貯めて買ったそうだ。
緑仙は配信にかかる資金をポケットマネーから出す場合、「動画編集の在宅アルバイト」で稼いでいるという。
そしてにじさんじに応募する際、田角社長に公式サイトのダメ出しをしたという有名なエピソード。
これらを考え併せれば、クリエイターとしてのポートフォリオを持ってオーディションに参加したと考えるのが自然だと思われる。
あといくつか、どうでも良いことを。
緑仙は、「歌が上手いというより上手く見せるのが得意」「頭が良いというより頭をよく見せるのが得意」という言い方をたびたびする。
その実例と考えていいと思うのだが、緑仙は趣味のブックオフ通いや図書委員というのもあって読書家のイメージがある。
でも読書家というには漢字がよわよわで、読んだ本の話もほとんどないことから考えて、活字はあまり読まないのではないか。
その分漫画の話になると止まらないので、かなりディープな漫画読みだというのは伺える。
初期緑仙は貧乏学生感を出そうとしていた節があり、ファッションはシンプルなデザインのもの、シャンプーは一番安いやつと言っていた。
最近は着るものは流行り廃りのないデザインで上等なものを長く着る主義、シャンプーは美容院で買う、と微妙に路線を変えている。
国内旅行に頻繁に行っていたり、都内や大阪の美味しい店に詳しかったりといった、暮らしむきには余裕があるような話題が増えたので整合性を取ったのかもしれない。
記憶を頼りに殴り書きしたので、もしかしたら事実に反することも書いたかもしれない。
気が向いたらソースを付けようと思う。
以上だ。