不思議なことに、年収がとても低い(280万くらいかね…正規ではない、小売とかそのへんですかね)女性、判で押したようにとても性格がきついのだ。
人間、社会に出たら色々な性質の他者と出会うと思うだろう。違う。ああいう場所にいる女性、シングルマザーとかただの貧乏独身、おい今読んでる独身女性、多分あなたが思っているもう一段階安い賃金で働いてる人だ。
自分はかつて、「そこ」にいたことがある。学生時代、アルバイトとして。ショップ、つまり決まったところで決まったメンバーと働いたこともあるし、日雇いのビラ配り、3束くらい渡されて適当にやっとけと言われたこともある。
まず驚いたのが、上でもなきゃあ先輩でもない人が、ろくすっぽ話したどころか見たこともない人間に「走れ!」「テキパキやれ!」と怒鳴ってくることだ。これこれこうだからこうしましょう、的な前振りは一切ない。そして、その先輩に言う通りやろうがどうしようが特にかかる時間に変わりはない。
経過にアルバイトの関わらない大事な工程がある? そんな話ではない。大きなカッター使って値クーポン券を作るとかビラ配りの担当の場所に立つとかそんな話しだ。しかしどこにいてもそう言う人がいる。そして必ず女性だった。主婦のような感じではない。喫煙所で聞き耳を立てれば、まず主な稼ぎ手であるようだった。
彼女たちは男性、特に若い男性には絶対にそう言わない。若くない男性はたいてい社員だ。そうでなければ特殊な技能、それがなくても単純に筋力がある。大概の女性よりは早くたくさんの荷物を運べる。
彼女たちはフランクな素振りをヴェールにして媚びる。自称弱者男性の皆様はいろいろと思い出しなさるだろうか。ほとんどの場合「あなたに色々言ってくる女性は、ズバズバ言うフランクな自分を売りつけて盛り上がろうとしている」。彼女らには基本的な気遣いとセンスがないのだ。これを言ったら失礼かも、というところをあえて言うことで、あなたの懐に入り込めると思っている。
自分はどうしていたのかというと、「スタッカートの練習をしている」つもりで返事をした。すると何も言われなくなる。雑談が始まれば「へえ〜そりゃまた…」と言いながら曖昧に笑い、仕事を忘れていたから戻るね、というふりをする。知らないところで悪口を言われるくらい、全く構わない。やがて、他の普通の、おだやかな話し方をする若い女性が狙われる。
一生こうなんだろうか、ととても不安だった。しかしそんなことはなかった。学校を出た自分が入った会社は有名どころでもなんでもない。専門職じゃないし、特筆すべきことは何もない。給料もそこまで多くない。インターネットにはお金持ちが多いなあ、と毎日舌を巻くばかりだ。
ただほとんどの人間がまともに学校を出ていて、あの時いじめられていたあの子と同じように、穏やかに話す。
自分はとても運が良かった。「理解ある彼くん」に見そめられるよりも良い結果を引けた。理解ある彼くんとの結婚は、彼のキャパシティを超えてしまったらもう終わりだ。彼が理解ある振る舞いをやめる理由なんていくらだってある。「何となく」ですら、当たり前にあり得ることだ。愛に永遠は決してない。愛などという、曖昧なものは常に存在するものではない。
何にせよ、彼にもたれかからないと生きてゆけない。その点会社ならまだ、よく話を聞いていれば何とかなる。
もしそんな職場に出会えなかったら、自分はきっと、現れない「理解ある彼くん」を求めて病んでしまっていただろう。
あの手の女性。インターネットなんてしていたら見ないくらい学歴、もとい学校歴が低く、暮らせないくらいの薄給で、一日十時間でも十二時間でも働く女性たち。