コロナが日本にも上陸しだして職場の営業時間をどうするか、上司たちが話し合っているころ。3月。
抗うつ剤として薬を処方された丁度1週間後のことだった。
仰向けになっていると苦しく、うつ伏せで胸を圧迫すると逆に安心感が出てくるので日中はずっとうつ伏せだった。
流石にトイレに行くときはベッドから起き上がることができたが、用を足したらすぐさままたベッドに潜り込んだ。
夜泣きはひどいし、座っているよりも横になっている方が楽だった。
見知らぬ誰かが駅のホームで自分を突き落としてくれないかなと考えることも多かった。
でもそこまで深く考えておらず、食欲もまぁまぁあったし働きすぎて疲れてるのかなと思っている程度だった。
年が明けて2月末。どうしても死にたくてツイッターで自殺を募る投稿にリプライを送ってみたり、ホームドアの無い駅のベンチでぼーっとしていた。
死にたかったが、死ぬためのエネルギーがどうしても足りない。体はだるく、胸に見えない何かがつかえていて苦しい。無気力で自分の身の回りのことがすべてどうでもよかった。
職場の先輩が自分の好きなゲームの話題を振ってくれてもどうでもよかったし、上司のジョークもクソどうでもよかった。
全部に曖昧な返事をして仕事のやらなきゃいけない事だけ淡々とこなしていた。
死ぬためのエネルギーが足りないならある程度このだるさや息苦しさを取り除かなければいけない。
実際には見えないけれど、粘度の高い黒いオイルのようなものが胸からずっと流れているし、うっとおしい。
そこで死ぬためのエネルギーだけでも確保するために心療内科へ行った。
入院となるとお金はかかるし、職場もひっ迫していてあまり休める状態にないから「入院はちょっと…」と困って見せた。
抗うつ剤をもらった。1週間ほどで効果が出るのでそれまで辛抱して飲んでみてくださいとのことだった。
そうしてその1週間後、自分の体は全く動かなくなってしまった。
職場には「体の調子が悪いのでお休みさせてください」と連絡した。体調が悪いという言い方は何となく合わない気がしたから。
「12月頃から声がすごく小さくなったし、あまり笑わなくなっていたから心配していた。ゆっくり休んで」
とのことだった。有給もいっぱい残っているし、1週間有給を使って休みを消化した。
丁度コロナで来客も少ないため、職場は大して問題がなかったのが救いだった。
抗うつ剤の効果は凄まじく、胸から流れていた見えないオイルは量が減り、ゆっくりと体が動くようになった。
気分の落ち込みはだいぶ解消され、「今どうしても死にたい」から「まぁ不慮の事故で死ねたらいいな」くらいまで軽くなった。
抗うつ剤の副作用で眠くなるというのもあるが、気分がそこまで落ち込まなくなったので睡眠もまぁまぁとれるようになった。
休み明けの出勤、上司たちに心配されながらも以前より声がしっかり出るようになった自分を見て安堵の表情を見せた。
本当に安堵の表情だった。みんな心配していくれていた。
コロナで営業自粛をするも、逆にコロナ渦で多忙になった部署の手伝いなどで毎日出勤はしていた。
4月5月頃はそれぞれ毎月3日ほど休んだ。6月には1回。7月、8月にもなると容体が安定して毎日出勤できるようになった。
9月頃になると気圧の変動が大きくなったのを体感するようになる。
今まで気圧の変化で頭痛やだるい等感じたことなかった体の調子が気圧によって左右されるようになった。
気圧が落ちてくると息苦しく、じわりと胸からオイルが垂れてくる。
横になっている方が楽だった。
心療内科の先生曰く、今まで気圧に左右されなかった人も、うつ病になるとバロメーターとして気圧によって調子が変わる体質になる人が多いそうだ。
あまり関わりのない職場の人から嫌がらせを受けてまた調子が落ち込む。
うつになる前よりストレス耐性がなくなっていることも実感した。
ついでに、嫌がらせを相談した先輩からは「増田の愛想の良さが原因じゃない?w」というような
働きすぎで鬱になったの?
1回派手にブッ壊れると、心の防御力の上限が下がるね。 見た目修復出来たように見えてちょっとの刺激でズタボロになる。