2017-08-09

私の家はけっこう貧乏なんだけど

私の家は年収から考えるとけっこう貧乏な方だ。それでも色んな人に甘やかしてもらったか幸せ暮らしているという、私の家族の自慢話。

私の家は父、母、姉、私の四人家族。父は中小企業会社員、母はパート、姉は新卒社会人、私は大学一年生だ。

私が父の年収を知ったのは去年の夏だ。東京私大に行きたいと父に相談したところ、私大に行かれると実はお金が大変だからできたら国立大に行ってほしいと言われた。もうとうに50歳を過ぎた父の年収は300万円代だった。これが子供のいる家庭においては、普通よりちょっと少ないということは私にも分かった。私はそこで初めて、自分の家が実はけっこう貧乏なんだということを知った。母はよく「うちは貧乏から」と笑っていたし、勿論お金持ちだとは思っていなかったけれど、まさかそこまでだったとは。母は貧乏ラインが高いなぁなんて思っていた。私は18歳になるまで知らずに生きてきた。

私の実家は北の方にあって、一軒家だ。私の家はお小遣い制ではなかったけど、欲しいものは基本、何でも買ってもらえた。本も洋服も。遊びに行く時にはお金をくれた。そのお金の残りを貯めて、よくゲームを買った。たまの休みの日は母と日が暮れるまでゲームをした。物欲はそこまである方じゃなかったから、それで十分だった。少し足りなくても、あとはお年玉で上手くやりくりすれば難なく一年過ごせるくらいには余裕があった。そのお年玉も余って今では40万ほど貯金がある。母は料理上手なのであまり外食はしなかったけど、それでも誕生日にはかなり美味しいお店に連れてってもらった。本格カレーが食べたくなったら食べに行った。学校で忙しくなる前は海外旅行も何回か行った。一年に一回は家族旅行をした。姉は大学留学をした。短期と長期、二回も。私の家はどちらかと言えば少し裕福な方なんじゃないかと思っていた時期すらあった。

でもよく考えたら、小学生の頃から母は一日中働いていた。私は小さい頃病気がちだったから、薬代もけっこうかかっていたと思う。中学生になって病気が落ち着いてからも、母はずっと働いていた。それでも朝ごはん夜ご飯は必ず一緒に食べてくれたから、あまり働いていた印象がなかっただけなのだ。姉は実家暮らしだが、大学時代から家にお金を入れていた。祖父母は家電など大きな買い物の時必ずお金を出してくれていた。親戚も会うたびにせっせと私たちお小遣いをくれていたように思う。私が親戚で一番下の子どもだったこともあるのだろう。父だって毎日必死に働いていた。何の疑問も抱いていなかったが、つまりそういうことなんだろう。私が当たり前だと思っていた生活は、周りの大人必死に働いて維持してくれていた生活なのだろう。それまでずっと、気づかないでいただけなのだ

私大、ごめんね。力なく呟いた父はいつも通り頼りなげだった。

もっと早く言ってくれたら、もっと我慢したのに。

首を振ってそう言ったら父は、我慢させたら頑張る意味がないでしょうと笑っていた。

そっか、ありがとう

姉と母とは仲がいいが、父にはあまり良くしてあげられない。嫌いなわけじゃないが難しい。でもこの時ばかりは、素直にそう言えた。

私は四月から都内国立大に通っている。田舎から出てきて一人暮らしバイトはしているが、学費は父が出してくれている。家族に言わせれば貯金しなさい、だそうだ。いいと言っているのに、家族は毎月仕送りもしてくれる。それも一般的に見たら決して多い額じゃないんだろう。でも月に一回送られてくるダンボールいっぱいのカレーや米、日用品なんかの金額を足したら、決して少なくもないはずだ。

次の月曜日、二ヶ月ぶりに実家に帰る。バイト代ほとんどが貯金から滅多に手をつけないけれど、この間少し引き出した。そのお金高速バスの予約をとった。そしてその残りで、父の好きな東京ばな奈、母の好きな鳩サブレー、そして姉が好きな化粧品ブランド限定商品を買って帰るつもりだ。

そういえば、大学の成績はまずまずだと思う。テストの手応えはばっちりだ。レポートはどうかな。少し自信がないけれど。これから先も休まず通って、早く立派な大人になりたい。早く働いて、今度は私が家族旅行に連れてってあげるのが夢だ。母は死ぬまでに一度フィレンツェに行ってみたいらしい。私が何回だって連れて行ってあげたい。

今回はお金に限って書いたけど、どんな面から見ても私の家族は素敵な人ばかりだ。私はそんな家族が大好きで、今から会うのが楽しみでしょうがない。早く帰りたくてうずうずしている。

私の家はけっこう貧乏なんだけど、

私はたぶん、かなりの幸せ者だ。

  • 増田の物欲のなさもあるかもしれんが、欲しいものを買ってもらえるのはけっこうランク高いで 国公立でも大学までOKってのもいい方。 つか両親は家庭の経営が上手いな!

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