お互い喧嘩とも言えないような言葉を2つ3つ投げかけあっただけなのだ。
ただ、その言葉の一つ一つにはそれまでに積み上げられていたあまりに多くのストレスが込められていたのだ。
結婚して5年。2人の子供は親の命令に背くことで自尊心を築こうとする時期にあった。
そんなことども達をうまく誘導せんとし、嫁は散々の手を尽くしたのだろう。最近ではちょっとしたことでもすぐに大きな声を上げるようになったのだ。
そのことを悔やんではまた優しい素振りを見せ、そんな母親の姿に増長した子どもたちはまた母親を怒らせた。
わたしはといえばそんな嫁に少しでも楽をさせてやりたいと家事には積極的に参加し、嫁が実家に帰りたいといえば喜んで送ってやったものだ。
嫁は専業主婦である。とはいえそのことで労働の優位を語るつもりはない。
嫁は文字通り24時間を家事に追われる生活を繰り返し、寝ても覚めても子どもたちから逃れることが出来ないのだ。
だからせめて仕事から帰った後の家事には参加しているし、仕事に出る前も子どもの幼稚園の準備をひと通り手伝うようにしている。
休みの日も無駄に過ごす事のないように子どもたちを連れて外に出ては、それこそ休むことなく過ごしているのだ。
嫁もそんな自分を気遣ってか、家事に対して愚痴をこぼすようなことはない。
目の前で子どもに対する感情を乱しても、見事な早さでリカバリして見せるのだ。
まだ子どもたちが目覚める少し前、自分たちの支度に追われる朝のことだ。
どちらが先に仕掛けたわけでもない。どちらかが何の気なしに放った言葉に、どちらかが何の気なしに返したつもりだったのだ。
お互い投げかけあった言葉は書き連ねるほどでもない大したことのない言葉だ。
ただ、互いがそれを思いやりというストレスからやっとの思いでひねり出した言葉でもあった。
そうして互いに投げかけられた言葉にお互いが言葉を返すことが出来なかったのだ。
目覚めた子どもが母親を呼ぶ声で、会話を続ける機会は失われてしまった。
そのまま仕事に出たわたしは、日中何度となく謝りのメールを入れようと考えていた。
しかし、お互いが思いやりの上で口にした言葉に謝る理由を見いだすことはできなかった。
ともすれば、そうやって謝ることで有耶無耶にしてしまおうとも取られそうな気がしてしまったのだ。
そのまま時間ばかりが過ぎ、結局家に帰るまでで何も出来ないままでいた。
そうして玄関を上がると予想していたよりも遥かに明るい声で「おかえり」の言葉が響いた。
なんだ。わたしだけが気に病んでいただけなのかもしれないと、一人そっと胸をなでおろしたのだった。
夕食時も何事も無く過ぎていくようだった。
相変わらず言うことを聞かない子どもたちと、怒っては優しさを見せまた怒り出すことを繰り返す嫁がそこに居た。
わたしばかりが勝手に気に病んでいたのだと改めて考えていた時の事だった。
まるで見たことのないような嫁が姿を見せたのだ。
テレビの出演者に向かって話しかけるかのような声で意見を言い、まるでテレビの中に参加しているかのように内容に同調し、感情を露わにしているのだ。
芸能人の色恋沙汰に対しまるで評論家の様に意見を飛ばし、テレビの中で窮地を迎える人間に向かって知人を心配するかのように声を上げているのだ。
わたしがここにいることなんてまるでかまうでもなく、まるでどこか世界の垣根が崩壊してしまったかのような姿だった。
そこには今まで慎ましやかにわたしと世間に対する意見を交わしていた嫁の姿はなかった。世に言うおばさんが突如として目の前に現れたのだ。
まるでバリバリと音を立てて、嫁という女性の皮を破っておばさんが生まれてくる姿を目の当たりにしてしまった気分だった。
どうしてそんな心理的状況に至ったのか、そのメカニズムは全く持って理解できない。
しかしわたしには自分と世界の境界を曖昧にすることで、自らのストレスを少しでも軽くしようとする姿にも見えてしまったのだ。
そう思えば、わたしはそれを受け入れようと思った。
それほどのまでのストレスを解決できないでいたのはわたしであるし、これもひとつ、嫁のあるべき姿に違いないのだから。
きっとこれからもこうして何かしらのストレスとぶつかる度に嫁の中で少しずつ世界との垣根が壊れていくのだろう。
その度に皮を破って新しい生物が生まれ、それを繰り返した挙句にヒョウ柄を身にまとおうとも頭髪を紫に染めようとも、わたしはそんな嫁を受け入れようと思う。
それこそが結婚という契約に刻まれている遵守事項であり契なのだ。
いつか自分も今のスキンを捨て新しい生物として生まれ変わるのだろうか。
頭髪が抜け落ちる本数が減らないのはもしかしてそんな予兆なのかもしれない。
そんな不安を抱えながらも、世の中に対する疑問(おばさんはうまれながらにしておばさんなのかという命題)がひとつ解決した記念にここに記す。
わたしにとって書くことは贖罪です。
あなたはとうのむかしにおっさんに変わっていたんじゃないの・・・
女性を「女性」と「おばさん」の二つに分けて、後者の事を見下してて、でも自分は嫁がおばさんになっても受け入れてあげるよ、結婚ってそういうものだから仕方ないよね、っていう...
何に落ち込んでるのかよくわからないが、妻に永遠に女性でいてほしかったのか? 自分の献身と責任をことさら強調してるけど、やってることの是非はともかくとしてその動機はけっこ...
長い自分語りお疲れさまです 「そのことで優位に立つつもりはない」って笑うしかないわ。 奥様お疲れさまでした。あなたの夫はもうろくじじいです。
長い自分語りお疲れさまです 「そのことで優位に立つつもりはない」って笑うしかないわ。 奥様お疲れさまでした。あなたの夫はもうろくじじいです。
文章ひとつひとつに自己陶酔が滲み出ててキモい。
何を言ったのか気になるー!
まあ端的に言って家庭というものは人間を劣化させてそのエネルギー差分で駆動するシステムだよな
タイトルと内容が合ってない。30点。
また女性様の察しろ案件か
それって「女性が女性を諦める瞬間」じゃなく、 「男性への気持ちが冷めきってしまった瞬間」だと思うよ。 「ああ、もうこいつはATM扱いでいいや」と割りきった女の姿というか…。 ...
このブクマのつきかた、ほんとみんな家庭に疲れてたり女を捨ててると自覚しててそれにコンプレックス持ったりしてるんだな、という感じだ。 FBとかtwitterとかでは、ずっとずっと欲し...
Facebookやってる知り合いが最近ツイッターでメンヘル裏アカウント作ってたし なんていうか疲れた人からそういう流れになるんじゃないですかね
ブコメの連中が今日の藁人形を見つけたようです
女性をあきらめたんじゃなくて、お前を諦めたんだよ。 お前さんと会話して、お前さんと世界を気づいていこうとしていたのに、 お前さんのほうをずっと向いていてくれたのに い...
諦めんの早すぎだし、仮に諦めるにしてもいい齢こいた大人が何も言わずにいきなり態度変えて「私もう諦めたから」みたいなこと言い出すのはダメだろ。子供かっつー話。
ブコメ勢の他人事認定っぷりが謎だ。 お前らのやってる事ってこの妻と同じだろ。 テレビの赤の他人に向かって話しかけるのと、ネットの赤の他人の記事にブクマつけてコメント付ける...
「死刑囚とその悪辣ぶりを声を荒げて罵る窃盗犯やレイパー」みたいな感覚じゃないの? 知らんけど。 その記事は読んだけどどうだっていいと思ったよ。何で皆さんキレてるのか分から...
みな叩きまくっているが、 素直に名文だと思う。文才がある。 http://anond.hatelabo.jp/20150623111621
退社し、帰路につきながら目に付いた記事を読んでいく。自分の好きなカテゴリーは新着・一般・暮らしが主だ。でも今日はなんだか夫婦とか家の話がやけに目に付いた。 嫁が女性を...
笑ってしまったけど心臓を掴まれたような気持ちもした。 それは自分がこの女だったらと想像して切ない気持ちと、普通でよかったという気持ちと、人間の多様性を感じたからか。 映像...
http://anond.hatelabo.jp/20150623111621 沢山の方に反応を頂けたことは素直に嬉しかった。 その上で、多くの方が勘違いしていると感じたのは、わたしは当然いまでも嫁を愛しているしこれから...
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同じように、夫を「私の崇高なる家庭という宇宙の登場人物の一人」という認識でコントロールしようとする女もいっぱいいるよなあ。 夫が夫の人生を生きているなんて1ミリも考えてな...
何でディスられてるの?世の独身男性に対する注意喚起でしょ?
家の嫁もそんな感じだったな。 小さい子供達と過ごす専業主婦は社会との接点も減り、様々な感情がどうしても内へ向かってしまう。 そんななかで起こった理解者であって欲しい夫との...
どーでもいいっちゃいいんだが、 1週間前に既に大炎上して、ブコメもトラバも山のようについているエントリに 1週間経った今になって、目新しくもなんともない同じ事言ってるのが炎...
そう。ただ書きたかっただけ。 だから他のブコメもトラバほとんど読んでない。多すぎて面倒くさいし。 書いたことを役に立てて欲しいとか影響を及ぼしたいとも思ってない。