2015-06-15

男32歳、命運尽きて漏らしてしまった・・・

6/14のことだ。仕事が終わり、かねてより約束していた飲み会大阪某所であった。

酒に弱い自分も、今日は久々だからとそこそこ飲酒もし、解散後も日本橋の店やカフェを巡って楽しい時間を過ごして実家へと家路についた。

最寄り駅を降り、駅舎を出て歩きはじめ、自宅までちょうど半分くらいに差し掛かった頃、急に猛烈な便意を催した。

今まであまり感じた事のない、急激な下痢の予感。飲み会での飲酒飲食、その後のカフェでのコーヒー摂取がかなり負担になっていたのだろう。

 

深夜でもあり、周りに人気はほぼゼロ。もしこれが自宅そばでなければ、迷わず茂みに飛び込んでそこで放出する事も出来たが、生憎と遮蔽物も無い住宅地

いくらなんでもそんなところでのグソは出来ないし、万が一ご近所に視られたら…無理な注文であった。

これまでも間の悪いタイミングで催し、限界ギリギリで難を逃れた経験比較的あった。今回も何とかなるだろうと、お尻の筋肉に喝を入れて自宅に急いだ。

しかしこれがいけなかった。判断力も鈍っていたのであろう、あまりに急激に動きすぎてしまったのだ。

アルコールも回っているせいか、一歩一歩がとてもしんどい、ぜーぜーと息も上がってきた。

自宅前に立ちふさがる20数段の階段が非常に恨めしい、なんとか耐えきり、登りきった。

後は30数メートルまっすぐ進めば、実家が見えてくる。視界にそれが入ったとき、安堵感からふっとお尻の筋肉が弛緩してしまう。

突然、むりゅむりゅっとひり出されてくる感触に戦慄する・「ああ・・・!あああああああっ・・・!!!!!」

無意識にお尻に手を当てて走る、もうなりふり構ってられない、とにかく走る、ちょっとくらい出てしまうのは仕方ない、とにかく鍵を開けてドアを開け、便所に駆け込むその一心だった。

自宅前のポーチに辿りつこうとした時だった、遂に粘ついた下痢状のモノがいよいよ溢れ出す感触が尻全体を覆い、太ももを伝って、靴の中にぬるっと入る感触を覚えた。

わず夏目漱石先生うんこを漏らしてしまったくだりが頭に思い浮かんだ瞬間であった。

終わった、全てが・・・

汚れきったお気に入りの白いズボン、まだ新しかったベージュの皮靴、おろしたての靴下、全て見事に下痢便に染まってドロドロであった。

深夜なので、誰も外に居ない。放心状態でそれらを脱ぎ捨て、下半身裸の状態で、そばの排水溝で残りをすべて出し切り、もはや一人ではどうにもならないと悟って実家インターホンを押した。

父親が出た。事の顛末を伝えて助けを呼ぶ。静かに出てきてくれ、後始末に使う雑巾ビニール袋、水遣り用ホースなどなどを府一派りだしてもらい、下半身を洗い流した。

複雑な表情を浮かべつつ、時折怒りが抑えられず私の頭を殴りつつも、後始末を献身的に手伝ってくれた。全く頭が上がらない、情けない気持ち、消え入りたい気持ち感謝気持ち、アタマがぐるぐるした。

先に寝ていた母親と妹も起き出してきたので、全てが露見した。さすがに外には出てこなかったが、翌朝から今に至るまで一言も私と会話を取ろうとしない。家の中ですれ違うと露骨に避ける。妹にいたっては、私を汚物を見る目そのものであった。

父親にはここ最近の外出、生活態度からありとあらゆるお叱りを受けた。元々、あまりに出来の悪い息子なため、こういう事態になると日頃押さえている言葉が続々出てくるのも致し方なく、私はただ無言でうなだれ続けるしかなかった。

漏らしたブツの後始末すら、自分一人でやりきれず手伝わせたのだから、全く以て情けないの一言なのである風呂の中で思わず、ほろりと泣いた。とにかく情けなかった。そして唯一叱ってくれる父親に対する感謝も。

その夜は全く眠れず、夜が白み始めた頃を見計らい、暗すぎて出来なかった後始末の残りを、一人庭先で手早く済ませ、汚れ物はすべて新聞紙くるみビニールを何重も被せ、ちょうどゴミ収集日という事もあり、ゴミ捨て場に。

記憶を総動員し、漏らし始めた当たりの場所もくまなく調べ、落ちていた汚物を回収し、雑巾水入りバケツで手早くアスファルトをこすり続け、水を流し続けた。懇意にしているご近所さんのそばで零していたのだから、間違っても放置なぞ出来ない。

とにかく人が起き出して出てくるまでの短時間勝負であった。

全てをやり終え、もう一度風呂に入り直した。上がった頃、父親が起きてリビングで待っていた。

表情は相変わらずの渋面だったが、日課の新聞を読み終え、外に出て汚れや臭いがまだ目立っていないか、共にチェックをしてくれた。

なんやかんやで気を回してくれる父親の存在が、本当にありがたく感じた。恐らく、今日の出来事は一生、言われ続ける事であろう。

願わくば今後、この私の失態が、笑い話に出来るようになるよう、少しでもマシな息子になれるよう、頑張ろうとちかいつつ、その朝も出勤した。(終)

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