2021-03-25

男性モテたさと本性と

我が内なるフロイト先生は言っている。男は誰しもモテたいのだ。思春期になれば流行りの歌の歌詞ような恋愛がしたい。あわよくばお金持ちになって女の子チヤホヤされたい。マンガアニメに出てくる主人公はみんなかわいい女の子チヤホヤされているし、欠点はあってもありのまま主人公のことを愛してくれる。そんな夢みたいなことは無理かもしれないけれど、僕だって真面目に頑張っていれば、いつかそこそこ稼げるようになって、そこそこの女の子と人並みに恋愛をして、結婚できるに違いない。僕の父親だってうだつのあがらない人間だけど、結婚してそれなりの幸せ享受しているのだから

だがその願望は叶えられない。世の中は不況お金持ちにはなれないし、誰もキモくてお金がない僕をチヤホヤなんてしてくれない。当たり前だ。女の子だって人間なのだダメなやつよりかっこいい男のほうが好きだ。彼女たちはダメな君をチヤホヤするために生まれてきたんじゃない。彼女たちには彼女たちの人生があるのだ。もし女の子チヤホヤしてくれたとしたら、それはほぼ確実に彼女の打算があってのことだ。当たり前だ。

大人になるっていうのは、本来そういう当たり前のことに気がつくことだ。世の中の女性は君のママじゃない。人生の頑張りに対して与えられるご褒美でもない。恋愛っていうのはお互いが自立した人間として、相手のことを尊敬して認めあうことだ。女性だって君みたいなのではなく、カッコよくて甲斐性があって優しい男の方を選びたいに決まっているのだ。

女もまた人間だ。世のフェミニストが口を酸っぱくして言い続けているのは、ただそれだけのことだ。言われてみれば当たり前のことだ。けれども、人並みに恋愛がしたかったふつうのさえない男がこれを認めるのは耐え難いほどの痛みをともなう。それは子どもの頃には当たり前に訪れると思っていたささやかな夢、人並みに頑張っていれば誰でも叶えられると思っていた、ありふれた夢が崩れ去ることを意味するからだ。

そんな君の心を見透かすように、twitterでは悪魔が囁いている。悪魔は言う。お前がモテないのはお前が悪いんじゃない。悪いのは世の中だ。頑張っても頑張っても金持ちになれない世の中だ。悪いのは女だ。とくにあのフェミニストかい性格の悪い女たちだ。お前がモテないのはたまたま時代が悪くて金がないからなのに、あいつらはお前みたいな金がなくてモテない男のことをバカにして楽しんでいる。あいつらの言うことなかに耳を貸さなくていい。あいつらは俺たちが生まれ時代のせいでどれだけ惨めな思いをしているか、まるで知らないのだ。

経済音痴リベラルや男を攻撃するしか能のないフェミニストとは違って、不景気日本社会を誰より憂う悪魔知的ですらある。心の弱い君は悪魔の誘惑に負けてしまう。実際にはチヤホヤしてくれる女の子の代わりに、悪魔ダメな君を甘やかしているだけだ。だけど、君には悪魔言葉真実を語っているように聞こえてしまう。実際社会貧乏だ。フェミニストは男が社会優遇されていると言うけれど、僕たち男だって貧乏社会被害者だ。悪魔の周りには、この僕の被害者意識共感してくれる仲間がいっぱいいる。彼らと一緒にフェミニスト揶揄していると、まるで昔から友達とイタズラばっかりしていた子供の頃に戻ったようで、正直他の誰と過ごすよりも居心地が良い。

でも、もちろん悪いのはフェミニストじゃない。悪いのはそうやって身勝手な弱さを他人のせいにして、無関係なーそれも君と同じように社会に傷付けられているー女性攻撃して傷つけ、憂さ晴らしをしている君だ。頑張っていれば向こうからやってきてチヤホヤしてくれる都合のいい女性なんて、景気が良かろうと悪かろうと初めからアニメアイドル流行りの歌の中にしかいやしない。

大人になるというのは、子どもの頃の夢が叶わぬ幻想であることを受け止めて、悪魔と手を結ぶことなく、目の前の人間と対等な関係を築いていくということだ。子どもは男を男として、女を女として見ていて、異性を自分と同じ存在としては見ていない。その意識を変えるのは本当に大変なことだ。小手先の「改革」では変えられないとはどこかで聞いた言葉だが、少しずつ学んでいくほかはないだろう。

  • オ~レなんかもっと、ガンバレばきっと、 オ~ンナなんかジャンジャンも~てまくりィ、 やっぱマニュアルどおりにみつめてそんでもって、 マンション!マンション! どぉ~なっちゃ...

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