2020-08-29

28年前に出会ったゲームと再会した

小学校低学年の頃、温泉旅館ゲームコーナーで遊んだゲームと、つい最近再会した。

当時、私の家族は年に一度、伊豆温泉旅館に2泊3日で旅行をすることになっていた。

毎年行くそ温泉旅館ゲームコーナーに、それは置いてあった。

男がどこかの施設階段を猛烈な勢いで駆け下りる姿、海が干上がって砂漠となった地球風景3Dステージで自機にロックオンされて轟音とともに撃ち落とされていく敵。いつも微妙ゲームしかなかったゲームコーナーにあって、一際目立つシューティングだった。

デモを見ていて心を動かされたのは、私ではなくて当時中学生だった兄のようだった。

普段まったくゲームセンターに出入りしない2人にとって、ゲームのものはとても難しく、兄の力をもってしても2面までしか進むことができなかった。

兄はなにより曲に感動したようだった。後日、サントラを購入して一緒に聴いた。

数年後、それはセガサターン移植されることになる。かつての感動をもう一度、と始めたゲームは、「覚えゲー」であり、家庭用シューティングはたくさんプレイしていたので、ラスボスにたどり着くまでに時間はかからなかった。

だが、ラストに衝撃的な演出が待ち構えていた。ラスボスの背景は、宇宙の創生から人類誕生戦闘機戦車ゴミの山とそこに埋もれる日本人形、こちらを見つめる猫、と目まぐるしく変わり、倒すと地球が真っ二つに割れて終わるーー。

2人ともこれを「真のエンディング」とは思えず、ラスボスの倒し方を巡って話し合い、色々と試してみたが、どうしても地球は滅亡した。

結局なにがなんだか分からないまま、ゲームからは離れていった。

やがて自分中学生になる頃には、兄は大学生になり、一緒にゲームをすることもなくなった。毎年の家族旅行もなくなった。複雑な事情父親最後の数年間は一緒に行くこともなかった。

思い出の旅館も、負債を抱え込んだ挙句事業再生の名のもと、名前経営者もコンセプトも変わり、跡形もなくなった。

そのまま忘れ去れるはずだったが、高校生になる頃、ゲームの別の側面を知ることになっていく。

あるとき何気なくネットゲーム名前検索してみると、演出が高く評価されており、カルト的な人気があることを知った。2chでは主人公になりきったマニア書き込みが人気を博していた。

自分も引きずられてのめり込んでいった。兄が買ったのとは別に出たアレンジサントラを買い、ライナーノーツに書いてあるストーリーを読み込み、曲を聴き込んだ。

絶望的としかいいようのない世界観、それに比して明るい1面の曲。

人類侵略者を叩く反撃作戦停戦交渉を前に永久に凍結された。それを拒否して暴走し、一人立ち向かう主人公

作戦名には「純然たる自由」とあった。主人公を操るプレイヤーが1面で聴く曲は「born to be free」だ。しかし、自由をもぎとろうと行動した結果、最後地球割れる。なにが自由で、なにが不自由なのか。

地球割れるのが実は心象風景なら、そうならないで済む未来は、どうしたら実現できるのだろうか。何が正しくて、何が正しくないのか。

大学受験に失敗したときも、つきあっていた彼女と別れたときも、サントラを聴いた。

社会人になってしばらく離れていたが、一年ほど前から、なんとかしてまた実機をプレイしたいと思うようになっていた。なにぶん古い上にマニアックで、なかなか見つからない。レトロゲームを扱うゲームセンターが、基板を所持していることも知ったが、同じ会社が作った名作シューティングが稼働していても、このゲームが稼働しているのは見たことがなかった。

と思っていたが、先日ついにゲームセンターで稼働しているのを見つけた。温泉旅館で実機に触れてから28年ぶりの対面だった。

当時のままのゲームがそこにあった。完全にステージ同調するサウンドも、真っ二つに割れ地球も、そのままだった。サターン版では正確に移植できていなかった部分も、当たり前だがちゃん表現されていた。

サターン版をやり込んでいた記憶が蘇ってきて、2回目にはワンコインクリアすることができた。

しかし、懐かしいと感じるのは、2面までだった。

2面終盤の難所で撃墜されながら、自分は何を求めてこのゲームをしているのだろうと自問し、答が出ないので、今日もそのゲームセンターに通っている。

  • 自問し、答が出ないので、今日もそのゲームセンターに通っている ますだ。。

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