絶叫したのは一人だけど、同じように周りを唖然とさせたのは更にもう二人いる。
三人とも若い女性で、高学歴。最近高学歴の若い女が怖いのは、この三人の影響です。
A子は新卒で弊社に入社した一年目の女性社員で、人当たりもいいし、性格も控えめで丁寧。隣の部署なので直接やり取りする機会は少ないけれど、悪い印象は無かった。ところが先日、彼女がオープンスペースで先輩社員の指導を受けている声を聞いた。
断っておくが、弊社はデスクはあるものの、集中したい場合などにオープンスペースを利用したりするだけで、決してこの子がいるから来たわけじゃない。少し離れた席だったので、最初は二人が座ったのも気づかなかったほど。そんな中、すすり泣く声と共に
「私はもっとできるのに、なんでこんなに退屈でつまらない業務ばかりさせるんですか?」
という声が聞こえた。驚いてそちらを見ると、先輩社員は改まった顔で
「どのデータがどういうロジックで抽出されていて、その数値の傾向を見ることで業務知識も深まる。まだ実業務に入って二ヶ月だし、この辺りの勘所は覚えてほしい」
と。なるほどなあ、という感じ。
A子の部署は決して花形部署ではないけれど、堅実で数字に強い社員だけが入れる部署だ。
中途でも新卒でも、狙って入ることのできる部署ではない。A子もそれは多分自覚しているはずだ。辞令の時にもきっと役員から言われているだろうし。
「じゃあ先輩がやればいいじゃないですか!私はもっと負荷が大きくてやりがいがあって、誇れる仕事がしたいんです!!」
おっと……。これ以上の立ち聞きは無用、と、適当に空いている会議室を予約して、その日はオープンスペースを後にした。
この子はとても明るくて、おっとりとしている。お嬢様なのか、ちょっと心配になることもある。
と、私は割と最近まで思っていた。多分周りもそうだと思う。それが、先日仲の良い同僚と飲みに行ったときに、B子が今腫れ物扱いされている、と聞いて驚いた。
あのB子が?と疑う私に、同僚が話してくれたのは、B子は事あるごとにやれ「パワハラだ」「セクハラだ」「軽んじられている」と、人事と上司にメールをするらしい。
ただ、私たちの感覚がおかしくて、彼女の感覚が正常なのかもしれないとも思った。私が新卒の頃は、業界的なものもあって、新卒は飲み会に行くと脱げだのなんだの言われたり、お触りがあったりしたから。だから私たちの「普通」は今の時代に合っていないのかもしれないと思う。だから、どう思うかじゃなくて、何があったのかを確認した。
パワハラだと訴えた内容は、B子の作ったメールの添削を先輩社員が行って、「こういう時はこういう言い回しを使ってね」と指導したそうだ。それがパワハラだったらしい。またある時は、B子が更新したファイルを、上司が先祖返りして上書き保存してしまったらしく、それを知ったB子が更に上書き保存をかけようとしたところで、先輩社員が「一旦別名保存にしてくれ」と依頼したところ、「改悪されたのは私なのに!なんで私がそんな事をしなくちゃいけないんですか!」とご立腹。…なるほど。
セクハラの件は、B子の歓迎会の席で、隣の席に座ったベテラン社員の距離がやや近く、タバコが臭かったことが該当したらしい。近さの感覚は人それぞれなので言及しないけど、まあ、なるほど。これが感覚の差か。
私の中でB子は本当におっとりとした子、というイメージだったので大変驚いた、と共に、どこで何を言われているか分からないから、なるべく近づかないようにしようと思った。
C子はやや我が強いけど明るい子で、素直。
しかしこのC子、任せた仕事の納期が守れない。もしくはとんでもないクオリティで提出してくる。
スケジュールに無理があったか、スキル不足かと思って、ヒアリングをしてみた。他の業務との兼ね合いや、作業中に困った点、行き詰った点はどこか、と聞いてみた。そうすると、他の業務は今殆どなく、作業的には得意な分野だと言う。じゃあなんで?と思って、C子の指導をしている先輩社員に相談した。(C子は去年の新卒なので、先輩社員の指導はもうほとんど受けていないし、業務の確認も受けていない)
私が指導役に相談すると、彼は小さくため息を吐いて「多分、居眠り」と零した。
居眠りかあ。そりゃ眠くなるよな~~~~~。と思ったんだけど、いやいや、どんだけ寝たらあのクオリティになるの?と思って深堀り。そうすると彼は「人事や上にも相談してるんだけど」と前置きしてから、彼女は三時間くらい無断で外出して戻って来なかったりする。実際に睡眠障害の診断がおりていると教えてくれた。病気なら仕方ないか、と思ったものの、仕事がストレスで睡眠障害を患っているなら、仕事を休んでしっかり療養した方が良いのでは?と思う。それは彼も思ったようで、無理して辛い思いをするなら、少し休んで自分で「大丈夫」と思ったら戻ってくるのもありだよ、と諭したらしい。ところが彼女は「それはできない」の一点張り。先日また数時間姿を見かけないからと携帯に連絡を入れたら、「辛くて外で泣いてました」と返事がきたらしい。
仕事の99%は雑務さ(キリッ