今回は少年ジャンプ+
没個性なギャグ漫画が何かとは一口にはいえないけれども、本作は数週間後には存在そのものが記憶からなくなってそう。
これといって特徴のないプロットに、ギャグ漫画的なキャラを押し込めた感じ。
プロットそのものに面白みが皆無だから、キャラクター紹介以上の意味を持っていない。
台詞回しとか、ツッコミポイントを無理やり作って何とか体裁は保っているけれども。
別につまらなかったというつもりはないけれども、ジャンプ+は掲載作品が多くてギャグやコメディも粒ぞろいだから、それで培われた基準から見ると、このレベルの作品はどうしても下から数えた方が早い部類になってしまう。
プロットに関しては、まあそういう作品だと割り切るなら可もなく不可もなくって感じ。
妖怪と人間のカオスな状態をちゃんと描いているシーンが少ないから、どうも舞台装置的な感はする。
気になるのは構図とコマ割の方かな。
ヒロインとかの顔面ドアップのコマが多すぎるのと、コマにキャラやセリフもろもろ詰め込んでいるから全体的にページが窮屈に感じる。
作家の見せたいものと、構成上見せるべきものの配分がちょっと悪いかなあ。
巨大化したヒロインたちの構図にいまいち重厚感がないのは、巨大なものを効果的に見せるための原則がないからだと思う。
巨大なキャラを主人公との対比のみの絵で済ませてしまっていて、影のつけ方とか独特な構図だとか、分かりやすい背景を置いて対照的に見せるだとか、そういうのがおざなりになってる。
主人公のことごとく裏目に出る不幸体質から考えて、その主人公が可愛いと思った相手がタダ者ではないことは明白だったし(そこにもうワンクッション置いてミスリードさせようとしているのは評価したい)。
超常現象の壮大さに対して、問題は主人公のごく狭い範囲での解決に終始しているあたり、ジュブナイル的というか。
構図や、キメ絵を合間にしっかり挟んでいて、絵的に中だるみしにくいよう配慮している。
本作の問題解決の決め手は卓球なわけだけれども、ちゃんと卓球での勝負シーンも派手に描いていて手を抜いたり誤魔化したりしていない。
決着そのものは描かれていないけれども、そこは描く必要がないってことを割り切っているあたり、構成力もあると思う。
ループの原因と、主人公がそれを脱却するために奮闘するのが対照的になっているのも良い。
終始、男視点で語られるけれども、極めて女性的な物語ではある。
いや、別にジェンダー論をあれこれ語るつもりはないし、この作家が女性かどうかは知らないけれども。
自己の感情の向き合い方とか、傾向の話として、レディース漫画チックっていう印象を持ったってことね。
そういう漫画って、「自分がどう思えたか」っていうことがそのままアンサーに繋がりやすい。
そこに行動は必ずしも直結せず、なんなら自分以外の当事者の言動は必要以上の意味を持たないこともある。
主人公の兄やその妻は人格を読み解きにくいよう描写されていて、セリフで断片的に語られこそするものの、実際は何を考え、どう行動しているのかってことは最低限。