表題の通りなのだが、自分はどうも好意を好意として伝えられないタイプのようだ。
そのため昔から「偉そう」「生意気」「上から目線」「何様のつもりだ」と、この手の類の悪口は散々言われてきた。
指摘されて素直に改善できるなら世の中警察はいらないんじゃないか?とすら思う。
それに敵がいればそのぶん少なからず味方もいるわけで、自分はその人間関係を大切にしながらここまで生きてこれた。
じゃあ外野のヤジにいちいち耳を傾ける必要もないだろうよ。そのスタンスで三次元の推しを応援してきた。
推しが何の界隈なのか、どうやって出会ったのか、などは全て省略するが、
自分はともかくある推しに興味を持ち、接近したくて現場へ通うようになった。
その現場はまだまだ過疎な場所だから、何度か顔を出せばすぐ認知され、推しと二人で絡む時間がどんどん増えた。
推しはいつも丁寧に、それでいてフレンドリーに声を掛けてくれる。
客とパフォーマーの関係を飛び越えて、時に友人のような、時に恋人候補のような接し方で夢を与えてくれる。
そんな甘い蜜を吸って期待しない人間がいるんだろうか。いや居ない。
自分はいよいよ「推しの為に尽くしたい」と願った。そして布教活動を始めた。
ツイッターの応援垢を作り、推しの知名度が上がるような投稿をする。
現場の様子をレポートし、撮影許可が出ている場所なら自費で投資した良い機材で撮影し、無料で閲覧できるようにする。
差し入れは小袋包装の分けて食べられるものを。或いは推しのロゴ入りオリジナルグッズを。推しだけでなくスタッフや関係者、現場を共にする他の演者にも。
物販も当然、推しのグッズを大量に買い、顔を売るために配る。推しのアカウントにリプをして士気を高める。
そうこうしている内、推しとの距離感はどんどん縮まっていった。現場へ行けば向こうから歩み寄ってくる。プライベートな話もする。
他の客の所へ行って構わないと告げても、なぜか側を離れない。それどころか推しは日常の弱音などを聞かせてくる。
推しの好意はひしひしと感じていた。また推しの周りにいる関係者からも同様に、好かれているのが分かった。
他の客と自分とでは明らかに接し方の差があった。言ってしまえばVIPだ。
そこで自分はもっと推しを売り出すためにはどうしたらいいか、推しのパフォーマンスを高めるにはどうしたらいいか、持ち得る限りの知識を全振りしてアドバイスをした。
更に関係者達へのリプを積極的にするようにし、推しを宜しく頼むという気持ちで冗談をかましながら場を賑やかせた。
今考えるとこの頃から少しずつ、推しの様子が変わって来ていたのかもしれない。
ツイッターの投稿は途絶え、自然とリプやファボを出来なくなった。時々ふらっと投稿がありここぞとばかり応援リプをすると、以前のフレンドリー感はなく、明らかに事務的な対応。
現場へ行けば会話はするが、以前の活気がない。何か悩んでいるのか、元気を出してくれと声を掛けても手応えがない。
そんな日々が続いたある日、公式アカウント上で不特定多数へ通知が放たれる。要は、スタッフ気取りの迷惑行為をやめろ、周囲に迷惑をかけるな、無礼な発言をするな、特別扱いを期待するな。
それに対する推しや関係者のコメントはどう見ても自分を指しており、はっきり言ってカッとなった。
なぜ今になって爆発させた?まずそれが最初の感想だ。なぜ、嫌なら嫌だったとその場で言わなかったのか。お前のそれは迷惑行為だから、有害行為だから慎めと、なぜ言わなかった。
そしてそんなに不愉快だったのにも関わらず、だったらなぜ接触したのか。推しもその周囲もだ。VIP席に座って期待しない方がおかしいんじゃないのか。
テキストで喧嘩をしたってラチがあかないと、次の現場へすぐさま乗り込んだ。そして件の知らせについて話がしたいと上へ伝えた。
関係者曰く、グッズ作成も撮影もその他なんやかんやもこっちは頼んでいない。ファンとパフォーマーの線引きを勘違いされたら困る。改善されないなら現場に立たせられない。
また、年下からアドバイスや指示をもらうのも気にくわない、そんな趣旨の事も。
結局推しとは直接話せなかった。
それ以上のオチは特にない。自分はすっかり熱が冷めて、出禁にならずとも自然と現場からは足が遠のいた。キツネにつままれたような心地は少しする。
勿論自分が舞い上がって熱心に通っていた、ただそれだけの話と言えばそうだ。だが、そうさせたキッカケはパフォーマー側にあるというのはどうしても書き添えたい。
なお内容はフェイクをまじえている。
ストーカー,セクハラの思考そのまますぎて創作としか思えない