2015-09-26

http://anond.hatelabo.jp/20150923114800

簡単に説明。みんないってるけどネーム大事

まず、絵が下手でも面白いマンガがある、ということは絵の上手さは関係ない。

では何が面白さの源かというと、それはネーム

じゃあ、ネームっていったい何なのか、ものすごく抽象的に言えば、それはいつ、どれくらいの情報を見せるか、という技術

マンガに限らず、面白い話には、適切な情報を伝えるための定型がある。

 

そしてマンガ快楽とは視線快楽

視線の動かし方で、読者に気持ちよさを伝えられる。単調な画面は(多くの人にとって)つまらない。

気持ちよく視線を動かし、肝心な箇所では気持ちよく情報が入ってくる。これがマンガ面白さの基本だ。

マンガ情報

マンガでいう情報とは、キャラクターや状況・世界観説明だったり、話の展開など。

からいろいろな技法でこれらを装飾はできるが、まず基本のこの部分ができていないとつまらない結果にしかならない。

からネーム大事

ネームより前の基本段階に設定とかテーマかいろいろあるじゃん、ていうのは面倒くさいのでナシで。

 

あと肝心の「絵」も情報なのですが、これは複雑すぎるので省きます

レイアウトはどうか、ベタ・空白の割合は、線の太さ、ストロークの数は、トーンは、、、)

アニメゲーム出身の人は何が違うのか

要するに上記の、「いつ、どれくらいの情報を見せるか」の方法がぜんぜん違う。

 

マンガアニメと違って、ただ見てるだけでは話が進まない。読者自身コマを順番に追い、ページをめくって、物語を組み立てていく必要がある。

そのためには、読者に対し、ページ内でどういう順番でコマを見ていけばよいのか、コマの中の情報はどう受け取ればいいのか、わかりやすく示す必要がある。

マンガ家は普段からこのことに心を砕いているが、アニメゲームの作者は違う。彼らは、アニメゲームでの情報の見せ方に心を砕いてきた人たちだ。だから違和感が出る。

視線誘導

マンガ視線快楽と書いた。では読者の視線はどう動くか、どう動けば気持ちいいか。

 

視線がどう動くかは、基本的コマ内のポイント、表情や台詞、擬音などの「点」を順番に見る。

ちなみに視野というものは広いので、どこか一点のポイントを見ながらも、同時に次に視線を動かす先のポイントを探している。もともと視線スムーズに動きたがっているものなのだ。だから、これらをわかりやすく見せる必要がある。

 

また、視線の角度(ポイントの配置)がゆるやかだと時間を長く感じ、急だとすばやく感じる。

からアクションシーンでは鋭角に、会話や日常シーンでは鈍角になるよう視線誘導する。

 

このように視線誘導情報提供が一体化されることで、読者はマンガを楽しく読めるのだ。

もう少し具体的にマンガの話

見開きの場合マンガのページは右ページの右上から話が始まり左下に情報が流れる。そして左ページの右上へ続き左下に流れ、ページをめくらせて同じことを繰り返す。

ページの流れと同様に、コマ内でも情報は右上からまり左下に行く。

コマ役割

マンガは、読者に能動的にページをめくらせなければいけない。

から、左ページの一番最後の、ページをめくらせるためのコマは、話の次の展開が気になるコマにする。

起承転結でいう「転」が左ページ最後コマになる。

そして右ページの一番最初コマは前のページからの流れと、そこから展開が続くコマにしなければいけない。起承転結の「結」と「起」。

 

そして途中から見てもある程度内容がわかるように、最初コマ(または複数コマ)は5W1Hが(最低限)わかるコマになる。

 

マンガは1ページ5~7コマが基本。1ページ5コマと仮定した場合、見開きページでは1コマ目が「結」「起」、10コマ目が「転」になるようにコマごとに情報を振り分ける。

(ここでいう起承転結とは、物語内のサブエピソードやシーン毎の小さな起承転結。これが連続して大きな起承転結になる)

適切な情報量

ネームとは、いつどれくらいの情報を見せるか、ということだと書いた。では適切な情報量の目安は何か。

それは物語一定リズムを保てるかだ。

リズムのずれた音楽は聞いてもらえない。マンガも同様。他のメディアも同様。話はリズムが大切だ。

 

しかし、音楽映像と違って、マンガは読者の時間支配できない。

そこで視覚情報多寡リズムを作る。リズムのある文章、の絵バージョン

 

そしてリズム一定では退屈で、バランスを考えアクセントも入れる必要がある。こうして大まかな情報量の配分が決まる。そして細かく検討していく。

 

アクセントにする箇所は他と差別化するために、情報を増やすか、逆に情報を搾る。

ゴマ場合、前のコマは小さくしてアクセントを引き立たせる。密度の高いコマの前は密度を少なくする。その逆もまた然り。

 

他のコマリズムをうまく保てるように並べればいい。

 

これらを先ほど書いたページの内容に合わせて配置する。こうしてコマ割ができる。

おしまい

長々書いたが、超大雑把にこんな感じだということです。

ここからさらコマ内のレイアウトがあります

最初に省いた絵の情報量問題などもあります

また単純にネームの話にしても、物語情報の部分は上手くいってても、レイアウトや絵の選択を間違える、とかいろいろあります

(「驚愕のシーンで顔のアップ」という場合、どの程度のアップか、絵の密度キャラ視線の向き、汗の位置、台詞の有無、など)

そうなってくると、もう複雑すぎてわけわかんなくなるので、個別作品を掘り下げていくしかないです。ただ、そういう「絵」の情報の選択の基礎になるのは、やはりネーム(何をどう伝えたいか)です。マンガ家によってもネームの扱いが違ったりもしますが。

 

ネームって大事からこそ、マンガの話をするときは大雑把に扱うのではなく、丁寧に語って欲しいものです。(どやぁ)

記事への反応 -
  • ・・・どうして違和感があるんだろうか。 近年、デジタル作画化が進んだ結果、やたらトーンを使って 画面が黒くなるというなぞの風潮があるのもそうだけど、 コマワリのテンポ感...

    • 簡単に説明。みんないってるけどネームが大事! まず、絵が下手でも面白いマンガがある、ということは絵の上手さは関係ない。 では何が面白さの源かというと、それはネーム。 じゃ...

    • http://anond.hatelabo.jp/20150923114800 アニメ場合 違いは色々あるが、アニーメーションに限らず映像作品は場合流れの中で安定する様に絵コンテを切る。この理由は静止させて中割までのコマを...

    • 「間」の取り方がおかしいんじゃない? なんかパキパキしすぎちゃってる感じ。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん