2011-05-09

原発推進者にみる既視感

震災の影響で福島原発が爆発を起こし、甚大な放射能汚染を引き起こしている。

それまでの「絶対安心です」という宣伝文句は嘘だとわかり、その上に、万が一の事故への対策がほとんど取られていなかったことが暴露された。

そして、東電政府の、事故後のあまりに不誠実な対応と嘘の上塗りに、私たちの原発への信頼は地に落ちた。

人々は不安に駆られている。

これから原発建設は、事実上可能になるだろう。


ところが、この段階に陥っても、まだ、

原発は本来なら安心だ」

東電幹部に人材が枯渇していた。原発自体の安全神話崩壊したわけではない」

福島原発は、たまたま外部電源が低地にあったのが悪かった」

地球温暖化を止めるためには、原発が絶対必要だ」

などと主張している人々がいる。

そして、原発をこれから建設し、原発で発電を続けようと訴えている。


崩壊した神話にすがりついて、滑稽な主張を繰り返す、一流の専門知識を持った人々……。

彼らの姿をどこかで、つい最近まで見かけた気がした

デジャブ(既視感)だ。

なんだったっけ?


思い出そうとして思い出せないもどかしさ。

隔靴掻痒とはこのことだったが、つい先日、佐藤優の本をたまたま読んでいたときに思い出した

彼らの態度は、ソ連崩壊したにもかかわらず、

「本来の社会主義は違う」

ソ連経済が傾いていたときに、それを立て直す人材たまたま得なかっただけ」

ソ連の体制は、本来の社会主義国家のあり方と異なる」

資本主義の弊害は明らか。それを改めるためには、社会主義革命が絶対に必要だ」

と、いつまでも主張している社会主義者たちと同じじゃないか


理想がいくら高邁であろうと、それが地に落ちれば、人々は顧みない。

しかも、地に落ちたあとに知ったその実態はあまりにも醜悪だった。

恐怖による支配、ノーメンクラツーラの無法ぶり、嘘で塗り固められた報道破綻した財政、ずさんな会社経営環境汚染、人心の破壊エイズ蔓延……崩壊した社会主義国の実態はおぞましいものであり、そして、世界社会主義革命への幻想を捨てた。


原発も同じだ。

いったん事故が起こると、一県が壊滅状態になり、膨大な被災者が出ることが判明した


加えて、日本世界有数の地震大国であり、その周辺に、敵意と高度な軍事力を持った国を持つという特徴がある。

そのような危険土地に、原発という危険な施設を建設すること自体、おかしな話だった。


しかし、事故が起こりさえしなければ、現実に目を背けていられた。

でも、もう、事故は起こってしまったのだ。


その上、その実態たるやひどいものである

燃料となるウランを採掘するために、産出地の土壌が汚染され、採掘者や周辺の人々の健康に大きな悪影響を与えていること、

内部で働いている人々の被爆管理がかなりいい加減であること(それは現在の作業員への扱いをみていてもよくわかる)、

つまり、弱い立場の人々を食い物にしないと、原発は存立し得ないということ、

全発電量に大きな割合を占めているといっているが、これはレトリックで、原発は発電量を調整できないので火力発電などを調整した結果だということ、

原発地球温暖化を防止するというが、放出エネルギー3分の1は発電に使われずに排熱として海水を温めており、結果、膨大な海水温の上昇に貢献していて、むしろ地球温暖化貢献していること、

なにか起こって被害を受けても、責任者責任逃れに終始し、責任を取るつもりがないこと、

廃棄物をうまく処理する方法は確立されておらず、処理に莫大な費用が必要なため、時間が経てば立つほど、指数関数的に予算が増えていくこと等々……。

そして東電が、まるでソ連のKBGのように、情報を遮断し、われわれに真実を隠してきたことも。


わかればわかるほど、原子力発電というのは問題だらけじゃないか


ソ連崩壊したあとも、あの手この手社会主義者たちは言い訳を繰り返す。

社会主義という思想自体は悪くないといい、それまで褒めたたえたくせに、旧社会主義国罵倒し、そして、残り少なくなった社会主義国へすがりつき、ようやく命脈を保っている。


最近、異常な天災地球を覆っている。

管理技術レベルが未熟な国家でも、原子力発電所建設計画が数多く進められている

自然災害人災かどちらかが原因で、甚大な原発事故が、近いうちに世界のどこかでもう一度、起こるだろう。

その時には、世界中脱原発に向かう。

確実に向かう。

日本は、その尖兵となっただけなのだ。

事故が一度起これば、その被害が甚大なものであることがこれだけ証明された以上、脱原発は、世界の流れになるのだ。


しかし、その段階にいたっても、原発推進者たちは、

原発は安心なのだ」

と、性懲りも無く、題目のように繰り返しているに違いない。

今も社会主義共産主義を信じている人々のように。

  • 万が一の事故への対策がほとんど取られていなかった 東電や政府の、事故後のあまりに不誠実な対応と嘘の上塗り 万が一の事故への対策は取られていた。過剰設備と考える人間もい...

    • 何書いてもどれだけ書いてもいいのが増田なんじゃね。 元増田がポエムだとしたら、こいつのは落書きってとこか。 専門家にもいろいろいるじゃん。 水蒸気爆発を「爆発弁の働きによ...

    • 事故への対応も、いい点はつけられないにしても、まったく最悪の無責任さというわけではなかった。 ぉぃぉぃ。 廃炉前提のアメリカの支援打診を断るとか、いろいろと情報は出てる...

      • 三日目くらいに東電が撤退していたら無責任だったという意見にも気軽に賛成できるんだが。 廃炉前提のアメリカの支援打診を断るとか、いろいろと情報は出てるぜ? その情報が本当...

    • バカかと。 こういうこというのを読むと、現地で一生懸命がんばっている東電の関係者や、自衛隊に申し訳ないと思わないの? といつも感じる。 彼らはこうやって、責任をとっている...

      • 東電の役員だって、批判されながら、テレビで記者会見をし続けているでしょ。 役員報酬のぎりぎりまでの減額が終わっていないでしょ。

      • 「東電の関係者や、自衛隊」の方は尊敬するし、感謝してるよ。 東電の「(下請)関係者や、自衛隊」の方はね。

      • 東電の役員だって、批判されながら、テレビで記者会見をし続けているでしょ。 テレビ記者や被害者に罵倒されることが責任をとったことだって?w 欧米諸国なら刑事裁判にかけられ...

      • 横だが バカかと。 こういうこというのを読むと、現地で一生懸命がんばっている東電の関係者や、自衛隊に申し訳ないと思わないの? といつも感じる。 彼らはこうやって、責任...

      • 求人と違い「福島原発で作業」 大阪・西成の労働者 http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050801000622.html さすが、日雇いを使って問題解決とは、果たしてる責任が違いますなw

  • 化石燃料と原発以外に、経済性や賦存量でめぼしい資源が無い。 原発は危険だからリスクをマネージメントする必要がある。 リスクのマネージメントは可能。福島第二と女川は乗...

    • 福島第二と女川は乗り切った。 問題は、福島第二と女川で福島第一のような問題(電源喪失の後冷却不能状態が持続)が発生しても乗り越えられたかどうかで、答えは出てないのだか...

      • 福島第二と女川は、言ってしまえばラッキーだっただけなのだから、それを例示しても何も解決しない。 福島第一と福島第二・女川を比較分析することで、より安全性の高い原子炉を...

        • 問題は「炉の安全性」なんてもんじゃないんだと書いてるだろ。 炉が安全だからといって、根本的な対策(本当にダメになったときどうするか)が話されなかったのが、今回の敗因だろ...

          • その「安全極まりない」炉が非常事態になったときどうするかが今回試されて、完全敗北だろうが。 これなー。電源のバックアップがないとかいう凡ミスで完全敗北だもんなー。 ス...

            • ごく初期に、冷却ポンプの燃料切れに気付かなくて冷却水がしばらく入ってませんでしたってへっ ていう報告もなにげに上がってたしね。 非常事態に動揺するあまりそんなミスも起き...

              • もっと遡って電源車の規格が合わなかったってのもあるけど、津波直撃して夜中に停電して真っ暗の原発で、電源直結する場合どこの機材はどの規格とかマニュアル化されてなきゃ、動...

          • 予定通りに天井、外壁の順に吹き飛んで格納容器守ったし、建屋の設計・施工はいい仕事したと思うが?

  • 元増田だけど。 原発推進論者と、社会主義者の類似点を指摘したところに、新しさがあると思ったのに。 そこにだれも注目してくれないのが、とても悲しい。

  • これは次にベーシック・インカムや負の所得税などのような政策で同じ展開になると断言する。

  • 左の人は総じて、原発反対の人が多いという印象。 震災が起こる前から

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