牛丼チェーン店での「ごちそうさま」をめぐるマウントの取り合いの件で、少しだけ体験談を
Aは創業者が多く年配の方が多い団体で、Bはその後継者が会員の8割を占める組織、Cは地方でそれなりに成功した人が集まったグループだった
それぞれ「定例会」というものが月に数回あり、そこでは会食を伴うことがほとんどで、定例会後はそのまま夜の街へと繰り出すことも多かった
それぞれの組織で若輩者だった私は、先輩方についていき酒の飲み方を教わったり、美味しいもののご相伴にあずかったりして、いわゆる「夜の街の作法」を学んだのだが、ここでもグループごとに明確に差があった
まずAの団体では、会食時に「いただきます」「ごちそうさま」は欠かさず、給仕をしてくれるホテルのスタッフへも感謝は忘れない
思うよりも先に口が「ありがとう」を再生しているかと思うほど、周囲に生かされてきたという謙虚さがまず先に立つ
夜の街でも粋な飲み方が多く、訪れる店のランクもその地方ではかなり上流の方で、着物を来た女性が上品に接待してくれ、飲み物もこちらから「どうぞ」というまで口にしない
店が混み始めるとサッと会計して退店する
次いでBの組織だが、結論からいうとここが一番ゴミ溜めレベルで品性が低かった
彼らはお礼や謝罪を口にすることは自身のプライドを傷つけると思うのか、たとえ飲み物を絨毯にこぼしても「おい、拭いといて」の一言で済ます
食事前に私が「いただきます」と手を合わせると「給食じゃないんだからw」と揶揄されたこともある
そして夜の街ではキャバクラを梯子し、それぞれの店で飲み散らかし、大声で女性の容姿を罵り、まさに傍若無人の振る舞いだった
Cのグループでは、地元では少しばかり名が通った「名士見習い」レベルの方が多かったが、ここでは職種ごとに品性の差が激しかった
BtoBの商売をしている方や士業など、オフィシャルな席が多い人ほどAの団体メンバーのような所作が徹底されていたが、BtoCの商売、例えばコンビニ経営者や飲み屋のオーナーなどはBの組織にいる者と大差なかった
お金を持っている分、Bよりも質が悪い場面もあって、口に合わない料理は大声で貶し、その際に「この前エクシブで食ったステーキの切れ端よりもまずい」だの「こんな酒、1合2万の酒を飲み慣れてるから飲めたもんじゃない」と付け加える
彼らの口から「いただきます」はおろか「ありがとう」という感謝の言葉も聞いた記憶がないし、全ての返答は「おう!」「おーう!」で済ます点は、言語野が機能していない可能性と野性味すら感じるレベルだった
この状態で夜の街に繰り出すのだから、女性スタッフを触ろうとするは序の口で「おい、この後ホテル行くぞ」と値段交渉を始めたり、それが叶わないと「なんだこの店!最悪だな!」と騒ぎ、同席するこちらが赤面するような行為のオンパレードだった
話を戻すと、たとえ二者の関係性に商取引が介在していたとしても、誰かの手間をかけさせたり食材への感謝がある人は、収入がどうであれ「いただきます」や「ごちそうさま」を言うし、他者への感謝は心の隅々まで染み込んでいる
一方、その段階への発育途上の者ほど、自身の実力を高く見積りすぎて横柄な態度を取り、なんならそれを仲間と認定した人へも強要したりする
低所得者ほど「ごちそうさま」を言うという指摘は一理あるかもしれないが、あまりにも見ている世界が小さすぎて、まるで知見を伴っていないことに恥ずかしさを感じる
「こちそうさま」や「ありがとう」というコストがかからない行為で好感度は上がりこそすれ、下がることはないはないのだ
周りよりも一段高い位置に立ち見下ろしたい者たちへ、品性はお金では買えないが、お金を使い他者から学ぶことは可能なのだから、自身の実力を見極められない者こそ一度謙虚に周囲を見回すことをおすすめしたい