私のジャンルは覇権ジャンルでもマイナージャンルでもない中規模ジャンルのそこそこ人気カプだ。
数年ここにいて、数年書いてる。
そこにとある字書きが現れた。なんというか、才能の塊みたいな存在だった。本人は描くのはこのジャンルが初めてと言っているが確実に沢山小説を読んできた教養の感じられる美しい文章だった。ジャンルの感想も美しくて瑞々しく、愛と頭の良さが存分に出ている。
そもそもオタク歴そのものが短いらしい。中学生の時にオタクだったけど忙しくなって卒業してコロナで戻ってきたと言っていた。
だからこういうお付き合いで失礼があったらすみませんというが、すごく人付き合いというか距離のとり方が上手い。そして日常時折見せてくれるが家がガチの豪邸。料理の品数が多い、外食だーって上がってた写真がロブションだった。添えられたぬいが所在なさげに見えた。特に記念日でもないらしい。本人曰くアラサー実家暮らしなのに何も無い時にロブションに行くような生活だからあの文章がかけるのかと納得した。
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そんな人だから信者すごく出来てる。元々いた字書きも絵描きも擦り寄ること擦り寄ること。あの文章を読んだらそうなる。最大手も普段交流なんてしないのに彼女の文章のファンアートを何枚も描いている。そういう読んだ人間を屈服させる魅力がある。アイコンもヘッダーも最大手製だ。
ある日彼女が本を出すことしたらしい。分からないことばかりなので教えてくださいと言えば界隈最大手の字書きが校正に入ると言う。至れり尽くせり極まりない。表紙はどうなるのかと思えば、別ジャンル(大きいジャンル)の人気カプの大手が何故か自カプを描くということになったらしい。意味がわからん。別ジャンル大手が自カプを読んで彼女に惚れ込んで感想を送ったのが始まりだと。その人が絶対本を出せ私が表紙書くと言い張って出すことになったらしい。そんなことある?
それでめちゃくちゃ刷りました。これからこの本をベッドにして寝ますと言ったくらいの量を一瞬で売り切ってしまった。それは後で聞いたが字書き最大手と同じ量だった。要するに完全に勢力争いが変わった。その本は再販してもまた売り切れている。
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活性化したとは思う。彼女の筆の速さに影響されてか字書きが負けじと沢山書いている。
同人女ならわかると思うが、彼女の貰う感想は義理だったりカプの村社会でなく本気のROM専からの感想が多い気がする。それを律儀に返す性格だからまた感想がくる、全て返せなくてすみませんという姿がまぶしい。
書き手にありがちの、書き手としか絡まないとかでなく読み手にもリプを送ったりその考察気づかなかったですとかするからまた好かれる。
これで顔まで綺麗だったら嫉妬で死にそうと思ってイベントに本を買いに行ったらなんというか流行りの透明感が売りの女優顔ではなく、少し前の華がある系の派手系女優顔でもう嫉妬で死んだ。
信者も本の感想に加えて美人が本売っててびっくりしたとか添えてある。実際ほんとそう。綺麗な顔は信仰にも近いものがある。女同士なら尚更だ。
それにはっきりいって年齢層が高いジャンルだから書き手も子供がいるのが当たり前みたいな状態の中、彼女はいないらしい。だからいうか時間にも心にも余裕があるのだというのが感じ取れる。
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文章の才能だけでも圧倒的だった。面白く美しくちゃんとキャラクター性と関係性を大事にした文章だ。特に恋に落ちた時の感情表現が熱烈で美しく、どういう恋をしたらこんな文章が書けるのだろうと疑問に思う。
それだけでも嫉妬してたのに、他の部分まで圧倒的な差を見せつけられてカプまで変えられて悲しい。
そして彼女のよく使う作者は言及してないけどあったであろうグレーな設定は完全に彼女により公式化されている。このカプにおいてこの設定は公式くらい暗黙の了解になった。
私は実はそれがあまり好きではないし、彼女の好きな別カプ(よく自カプ小説に登場する)が地雷だからなんとも言えない気持ちになる。
彼女がよくABとCDと一緒に書くせいで自カプにCD好きが増えた。そしてCDの大手とも仲良くなっている。もう怖い。グレーな設定もCDも苦手な私は日々息が詰まる。
私にも彼女みたいな才能があればこの盤面をひっくり返せたのかと考えることもある。辛い。悲しい。