2022-08-01

うつ病は心の病気じゃなくて脳の病気」ってやつ

最近やたらと「うつは心の病気ではなくて脳の病気」という言い回しを聞く。

これには主に二つの理由から反対したい。


まず第一に、現状では身体の臓器の病気こそ、「甘えや怠け」という自己責任論は適用されているからだ。

うつ心の風邪」という喩えに対して甘えや怠けだと言ってくる人達は多分、身体風邪に対しても同じように言ってるでしょ。自己管理不足だとか何とか。変えるべきは身体風邪に対する扱いの方であって、うつ風邪にたとえる事の方ではないと思う。


現に胃や腸や心臓病気に対し、世間食生活の乱れや運動不足アルコールといった原因を見出だし、生活習慣病として自己責任論で個人を責めているじゃないか

婦人科疾患はもっと酷くて、適切に婦人科を訪れてピルを飲みさえすれば全ての不調は解決するのでそうしないのは自己責任と言わんばかりの風雪が流布されている。


「心の病気」とされているうつは、現状まだマシなんだよ。長時間労働やら職場人間関係やら将来への不安といった外部的事情も、一応は考慮してもらえているから。

これがもし、完全にただ「脳という臓器の病気」としてだけ扱われるようになったなら、おそらく外部的な事情は完全に無視されるようになると思う。

今の生活習慣病のように食事睡眠運動といった物理事情のみが原因とされて、

うつ病になったのは脳に悪いものばかり食べていたからだとかゲームばかりやってて十分な睡眠を取らなかったからだとか、当人自己責任のみで見られるようになると思う。

治療についても「脳の病気」という言葉でもって物理的な面のみが強調される結果、薬を飲む事だけが解決法とされて職場環境改善へのモチベーションは失われるだろ。


まあ、上記だけならまだ大したマイナスじゃない。もっと問題なのは下記の点。


第二に、脳という臓器に対する偏見スティグマの強さを理解していない。


さて、「脳に異常がある人」と聞いた時、あなたはどんな印象を受けるだろうか?

おそらく、「何をしでかすか分からない人。暴行殺人などの犯罪者予備軍」という印象を受けるのではないだろうか?


勿論、脳以外の、消化器や循環器といった臓器の不調にだってネガティブイメージは付き物だ。だけど脳に特有なのはそれが意志決定機関だという事。

「腸に異常がある人」だったら、「すぐ下痢になって仕事に穴を開けるかもしれない」。「心臓に異常がある人」だったら「仕事中倒れて死んでしまうかもしれない」。という、あくま消極的ネガティブイメージにすぎない。「脳に異常がある人」のような、犯罪に直結する積極的ネガティブイメージはない。


そして、「心」といった場合には脳の機能のうち、内面的な部分が主に想起される。

うつ病」と言われて人々が想像するのってあくまで、無気力引きこもり自殺といった自傷的なイメージであって、突然暴れだすとか人を殺すというイメージを持っている人って多分ゼロじゃない?

それはうつ病が「心の病気」と思われているからであって、「脳の病気」となったら多分変わると思うよ。

現状、うつ病が精神疾患の中でも比較好意的に見られているのは、「心の病」というイメージから来る内向的自傷的な印象によるものだろう。自殺引きこもりはしても他害はしないというイメージ

うつは甘えや怠け」と思われるのと、「うつ犯罪者予備軍」と思われるのと、どっちがマシかといったら前者では?


それに、「心の病気」という言葉には、「あくま一時的ものであり、適切な治療をすれば完治する」というイメージがある。「脳の病気」と言い切ってしまう事で、「一生治らない」というイメージに繋がりそれが社会的排除に繋がると思うよ。今の『発達障害』がそうであるように。



……まあ、正直、うつ病って精神疾患の中では世間からの扱いは断トツ好意的から

統合失調症発達障害と同じく脳の欠陥扱いされて痛い目を見ろよ、我々と同じ目に遭うがいい、って気分でもある。

  • うつは甘えとかいうけど 透析なんかは自己責任っていわれないんだよな むしろ批判されたら超センシティブにわめき立てる 透析は生活習慣や病気や遺伝によるものだから? うつ病だっ...

  • うーん君も過労で脳みそ破壊してみたら心じゃなく物理的に壊れてると理解出来ると思うんだけどね

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