2020-07-19

作家なんてなるもんじゃないな

自分はかつて作家になることを志して夢破れた(そこそこ夢が叶いそうなところまでは行った)自分が、一昨日あたりに出版業界増田たちが書いた文章を読んで思ったことを書く。

以下長々と書いたが、一言でまとめると、「あー、やめといてよかった」


https://anond.hatelabo.jp/20200716012131

まずライターをやってる増田文章。これを読んで思ったのは、作家というのは自分が思っていた何百倍もくだらない仕事だったのだなということ。

作家を目指していた頃、自分でも「甘いよなあ」とは思いながら夢見ていたのは、筆一本で身を立てる職人生活だ。しかし、今時はオンラインサロンYouTubeをやらざるを得ないくらいに、儲からない仕事になっているらしい。

もちろん、当時から出版不況だとは言われていたし、作家になれば世情に媚びた文章を書いたり、執筆以外の仕事もやらざるを得ないことは分かっていた。しかし、オンライサロンだのYouTubeだの、ここまでくると、もはや作家というより「売文ネット芸人」だろう。

これからますます作家は顔も私生活晒して、芸人じみた生き方をしていかざるを得なくなるのだろう(専業でやる場合だが)。そこまでして数百数千の読者を抱えても、生活は並の会社員にも及ばない。ようやく文章を世に出せたと思ったら、Twitterだのブコメだので頭の足らない連中にゴミみたいな感想を書き散らされる。想像するだに身の毛がよだつ。

作家たるもの自分の書いたもので少しでも世を変えたい、そしてあわよくば、歴史わずかでも爪痕を残したい、という夢想をするものだと思う。程度は人それぞれだろうが、少しは作品を後世に残したいという思いは持つだろう。だが、今では作家の書く文章など、無数の娯楽の中の一つに過ぎず、ただただ消費されるだけのものだ。それも、一部の物好きが消費するだけで、ろくに金も産まない。断言するが、かつての大作家たちのように何十年何百年と読まれものなど、現代作家からまれることはない。残ってせいぜい五年か十年か。

無数の駄文ネット上に書き捨てられ、毎日のように駄本が出版される現代作家の書いたものが世を変えたり、歴史に残ったりすることはあり得ない。現代に書かれたもので、後世振り返られるものと言えば、おそらくドナルド・トランプツイートくらいだろう。「作家の書くものには言葉の力がある」などと言われる。だとするなら、「言葉の力」で世界一喜一憂させ、株価を動かし、世界情勢すら変えかねない、トランプこそ現代最高の作家だろう。業としての作家には、何の影響力もない。歴史にも残らない。何ならアルファツイッタラーの方が遥かに影響力がある。これが現実だ。

まり自分が夢見ていた作家像は、徳川埋蔵金と同じくらいの馬鹿げたものだったのだ。仮にこんな馬鹿げた夢を持ったまま業界に入っていたらと思うと背筋が寒くなる。絶望して生きていけなかっただろうな。


https://anond.hatelabo.jp/20200716203604

さて、次にこの編集者氏の文章だが、「いい本を多くの人に読んでもらう、それが編集者仕事だ」という矜持が僅かでもあれば、意地でも言わないようなことを言っている時点で終わっている。

もしも、作家になれていたとして、こんな人に偉そうなことを言われるのだと思ったら…こんな業界に身を置かなかった自分賢明だと思う。


https://anond.hatelabo.jp/20200717110714

最後印刷会社増田

もしも自分作家になって、それなりに自由ものを言える立場だったになれていたとしたら(無理に決まっているが)、こういう低い立場に置かれた人たちのことなど知りもせず、「搾取はいかん!」的なことを書いていただろう。自分搾取構造の一部になっていることな気づきもせず。

自分を顧みもせず、綺麗事を言う作家どもが如何に醜悪かは、皆さんよく知っていることと思う。Twitterを見れば、「よくもまあ、そんな偉そうなこと言えるよなあ」という腐れ作家どもが山ほど見れる。そんな人間にならなくてよかったと、心から思う。


いやあ、本当に、作家になることなど諦めてよかった。作家目指してあれこれ努力していた頃、「馬鹿言ってないで就職しろ」と言ってくれた両親に感謝したい。下手にチャンスが近づいていたため、当時は親を恨みもしたが、今では感謝の念しかない。

現在は、小さな会社のしがない社員だが、それなりに楽しくやっている。幸いコロナの影響も少なく、将来の不安は小さい。ステイホーム中は嫁と楽しく過ごすことができた。作家業なんてしていたら、この安心感は得られなかったろう。金もなければ、結婚もできていなかっただろうな。

「こんな文章書いて未練たらたらだな」と思われるかもしれない。確かに、未練が全くないとは言わない。一度は目指した夢だったのだから。だが、「やめといてよかった」もまた本音なのだ

夢を追って叶えていたら、もちろん得るものも大きかっただろうが、失うものはそれよりも大きかっただろう。そこそこ安定した生活家族のいる安心感、これらがないまま今の年齢になっていたら…。死んでただろうな、間違いなく。

腐すような書き方をしたが、作家諸氏には本当に頑張ってほしい。大変な時代と思うが、工夫して乗り切っていただきたい。乗り越えた先には、明るい時代が待っているだろう。知らんけど。

記事への反応 -
  • 印刷会社の者ですが 事前人気に頼らざるを得ないというのはわかります。 確かに刷り部数の決定は駆け引きというか…当初は3万部という話が、出版社内の営業と編集で争った結果5000部...

    • 自分はかつて作家になることを志して夢破れた(そこそこ夢が叶いそうなところまでは行った)自分が、一昨日あたりに出版業界の増田たちが書いた文章を読んで思ったことを書く。 以...

      • そもそもにして額縁に入れて飾りたいほどの美文も書けないのに文章で食っていこうというのが良い根性してるよ。ライター・作家志望者

        • 別に一般読者は美文とか求めてないと思うよ…。

          • 国語ができればみんな文章書ける日本社会で、美文をぶち上げるくらいの特出した技芸もないのに、ヘロヘロとミミズののたうちまわりを印刷して飯食おうなんて。現場作業員のおっち...

            • 売文屋がメシを食う絶対的法則!1太い客先2業者と癒着する勇気3うまい立ち回りーこの3つね!面白いとか感動させられる、時代に爪痕を残すとかではない。

            • 売れる小説の文章は読みやすさが一番でしょ。 気取った美文の小説なんぞいるか? いやあってもいいけど主流じゃないよね?

              • 秀でた技芸の一つの例として美文を取り上げただけであるので、アスペさんはそこに拘らないでいただきたい🖕🖕(👁👄👁)🖕🖕

      • プロとか気張らんでも ここでショートショート載せてる人もいるし 気楽に書いてもいいんじゃないの?

      • >自分はかつて作家になることを志して夢破れた(そこそこ夢が叶いそうなところまでは行った)自分が、 ここだけ直してほしい…。 冒頭一行目からこんなミスするって何なの 内容は...

        • そらもうマウントが行間から漏れてますからまつ毛ですし

    • そこまでやってんですか…あくどい。 日夜お疲れ様です。

      • 銀魂の作者とか印刷屋にマジで嫌われてるらしいしなぁ 締め切り破りで ジャンプの番組で見たけど、印刷屋の人が可哀想すぎてマジで引いた

      • くそみたいな漫画家と くそみたいな編集に くそみたいな扱いをされる それが下請け印刷屋

      • ツイッタ~で文句垂れてる漫画家ほど、こういう印刷屋とか業者にクソ対応してそう。

    • 元増田からここまで読むと納得

    • >https://anond.hatelabo.jp/20200717110714> 我々業者は、作家さんの花見の席取りや、作家さんの趣味の観劇チケット取り、打ち合わせで行きたいとリクエストのあった予約制飲食店の予約…な...

    • こっちの印刷会社増田のとこまで読むべき 言ってる意味がわかる https://anond.hatelabo.jp/20200717110714 出版社増田は言葉へたくそすぎか?

    • こっちの印刷会社増田のとこまで読むべき 言ってる意味がわかる https://anond.hatelabo.jp/20200717110714 出版社増田は言葉へたくそすぎか?

    • 印税10%って作家からしたら安いけど、作ってる人がいて売ってる人がいて材料費もかかってるんだよな。 ネットだと作家側に立つ人多いけど。

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