精神医療についての話題が増田で盛んだ(時期を若干逃した感はあるが)。自分の場合は医者と薬のおかげでサラリーマン生活を続けることができている人間なので、こんなケースもある(ごく普通にある)と知ってほしいと思い、ここに書いておく。
発症は1年半ほど前。メンタルに突如異常が出る。時期によって異なるが、症状は次の3つ。
一晩に3~4回程度目が覚めてしまう。起きて時計を確認すると午前2時や3時だったりしてめちゃくちゃがっかりする。寝不足がひどい。
常にイラついているわけではないのだだが、出社から夕方頃までの間は魔の時間で、ちょっとしたきっかけで怒りが爆発する。会社で同僚に挨拶されただけで突然感情のメーターが振り切れて暴言を吐きそうになる。社会生命がやばい。
これはこの発症当初ではなく半年ほど過ぎた頃から発生。気分がとにかく落ち込む、自分が劣った人間であるという根拠を脳が勝手にひねり出し始める、意味がないと知りつつ止められない、性欲の減退、性的なコンテンツへの嫌悪感、これまで好きだったものへの無関心、等々。人生がまずい。
このままでは社会生活が送れなくなるという危機感が背中を押し(抵抗なく医者に駆け込めたのはTwitterやはてなで「困ったら医者に頼るのは当たり前だ」という判断基準が刷り込まれていた部分も大きい。この場を借りて感謝しておきたい)、これはまずいと認識した数日後には勤務先から徒歩圏内にある心療内科へ予約の電話をかけた。もう1年以上前のことなのに、電話を切った後の「一仕事終えた」という若干の開放感、そしてこれから未知の何かが始まるのだという不安感はまだよく覚えている。
初診は待たされることが多いと聞くが、昼休みに融通が利く職場環境ということもあり、1週間程度で予約が取れたのは幸いだった。医者では簡単な問診が行われた。
Q: これまでもこんなことが?
A: ない。
Q: 原因に心当たりは?
A: ない。ここ数ヶ月で生活がいきなり変わったわけでもない。イライラとは逆に毎年春になるとメンタルが低調になることはあった。
その結果医師が下した判断は「軽度の双極性障害の可能性があります。薬を処方します。睡眠導入剤も一緒に出しておきます」とのこと。人生初の薬物生活へ突入。
薬を症状によって変えつつ、今は双極性障害の薬、抗鬱剤+精神安定剤、睡眠導入剤、便秘薬(抗鬱剤の副作用に便秘があり、それに対抗するため)を1日トータル11錠服用している。
中途覚醒はほぼ姿を消した。イライラも落ち着いた。眠りの質はあまり良くないものの、ほぼ毎日朝まで眠れるようになった。ここのところは1週間のうちダメな気分になるのは0日から3日程度。1回あたり数十分から数時間続くのでその間はつとめて何もしないようにしている(これも仕事にある程度の裁量があるから可能なことではあるが)。
寝る前に服用する薬が多いので、以前は時折楽しんでいた寝酒は諦めた。副作用の眠気にはかなり苦しんでいる。頭の働きが明らかに鈍くなったという実感があり、「自分はそこそこ頭の回る人間だ」という自負を捨てるために苦労している。これは加齢のせいかもしれないのだがそれはそれでつらい。
医者に行っていなければ極度の寝不足によって遅刻太郎・無能太郎のみならず暴言太郎と化していたことは間違いないので、「医者にかからない」という選択肢は最初からなかったと思う。症状は寛解したり(1週間まったく自覚症状が出ない時期もあった)悪化したりと波があるものの、世間の健常者よりも1歩遅れ程度の生活は送れている。
医者行け。