「働け」
今日も旦那が言う。でも無理。そんなの無理。だってゴミ捨てに外に出るのだってこわいんだもん。
1年前、私は都会で公務員をしていた。長いあいだ、ずっと復職と休職を繰り返していた。もう限界だった。
周りの目が怖くて、少しでも良くなったら復職していたし、転職もなかなか考えられなかった。
「公務員で恵まれているのに、ワガママだよ。我慢しろよ。私のほうが…」と恨みつらみをぶつけられるのが辛くて。でも、上司から声をかけられるだけで過呼吸になって、もう続けられないと思った。
知人の紹介で知り合った今の旦那にだけ素直に気持ちを吐き出せた。それは彼も一般的に「恵まれている」といわれる職業だったから。その彼が恋人ではなく、いきなり結婚を決意してくれたもんだから、有り難く生まれ育った都会を捨てて、地方都市にやってきたよ。
毎日ゆっくりと日々が過ぎていく中で、少しずつ私は良くなっていった。
でも、まだ、こわいんだ。
人の悪意がこわい。
私がかつていた職場は、市民を助けるような仕事だったのに、パワハラが横行していた。私はそんな中で、真正直にゆきすぎた。仕事を効率化して、空いた時間でいろんな人のフォローをしていた。仕事が早くなるし、市民の満足度も上がっていいだろうと思っていたけど、目立ちすぎた。
上司から小部屋に呼ばれて1日2~3時間は責められることになった。
「余計なことをするな」「マニュアルを一字一句覚えるまで読み返していろ」「この部署に来たばかりの癖に意見するとか10年早いんだよ」「常識知らず」「小学生からやり直したらどうだ」
私が正しいはずなのに、どんどん私がおかしいことにされた。昨日「A」と指示されたことが、指示を変更されないまま「B」になってて、そのとおりにできていないから使えないとされた。会話のメモもある、メールの履歴もある、録音だって録った。それでも、人事も、産業医も、「私がおかしい」と判断した。
そのくせ私がやった成果に首長が関心を持つと、上司たちは競い合うように「私が考えた」「私がやった」と言い張った。
公務員なので、形ばかりの組合は役に立たない。親戚に恩がある有力者に相談した。
「あのね、君以外にもいっぱいそういう人がいる。その中には体力があって裁判を起こす人もいるんだ。でもね、役所はお金があるから、少しでも風向きが悪くなると新しい弁護士に変える。4~5人は変えたかな。その時点でその人は諦めた。お金も時間もとてもかかる。でも何もかえってこない可能性のほうが高い。それでも君は戦い続けるのか?逃げてもいいんだよ。もちろん戦うと決意してくれるなら、僕は全力で助けるけどね。」
私は裁判所というものは間違っているものに鉄槌を下すものではないということを経験上知っている。かつてDV夫との調停離婚をしたときに、奴は精神を患っているからお金を払えないと言い張り、調停員はその言い分を飲んだ。奴の親が社長の会社の給料明細が証拠として採用された(出勤日数が少ないこととお金を持っていないことの証拠らしい)。親から月に100万以上のお小遣いをもらっているから払えないわけがないのだが、お小遣いの証拠を私が示すことができないので、涙をのむしかなかった。
だから今度はしっかり、逃げた。
そうして、はや1年。ここはいいところだと思う。
旦那だけじゃない。旦那の友達もみなホワイト企業だ。みんな定時で帰れるし、残業代もちゃんと出る。通勤時間も1時間以内が当たり前だ。体調を崩せば会社の人が心配をして、無理をしなくていいよと休ませてくれる。
女性のファッションに関しての考えかたや、長男教が盛んなところがかなり遅れているなあと思うけど、それ以外は文句なしだ。
分かってる。
それでも「もし」を考えて、前に進めないばっかりだ。
最初は私が落ち着くまで、と見守っていた旦那も「役所で働け」「ダメならどこかでアルバイトでもいいから」としつこく言うようになった。でもこんな、すぐ落ち込んだり、すぐ気疲れして動けなくなるような人、雇ったほうが困るよ。
昔はこんな風じゃなかったのに、と思って歯がゆいのは私のほうだ。いつになったら元に戻れるんだろう…。くやしいよ。私を追いやった人たちは今日も良い母や父を気取って、笑顔で日々を過ごしてるんだよ。
離婚してから一人でゆっくり考えたら? 旦那の重荷になっているという状態が、精神的にも良くないと思う。 今の結婚生活が、旦那にとってあまりにもメリットがないという事実が、た...