年々少しずつやり方が変わっていくが、代表的なものを紹介する。
詐欺に使うTwitterアカウントを大量に作り、しばらく適当なツイートを行って育成する。育成するのは、詐欺をするために即席で作られたアカウントであると思われないようにするため。半年以上育成すれば十分活用できるアカウントが出来上がる。
これは、次の手順で行う口座準備のために行う。偽造は業者に頼むのが確実だが、自分で行ってもよい。ただし、その場合はラミネート機を自腹で購入して使う必要があるなど、割と手間がかかる。一番理想的なのは、赤の他人の免許証などをこっそり撮影して、それを複製することだ。こうすれば後工程で詐欺がバレた場合でも、その赤の他人が容疑を一身に負ってくれるようになる。この手順はTwitterアカウント育成と並行して行うのが良いだろう。
偽のチケット代金を振り込んでもらう口座を準備する。この時に身分証明書が必要になるが、今は楽天銀行などが「身分証明書の写真アップロード」でも口座開設可能にしてくれてるので、そういう敷居の低い銀行を活用しよう。これもTwitterアカウント育成と並行して行う。
電話番号を相手に伝えることは、相手を安心させて騙しやすくするために重要なファクターである。そこでプリペイド電話の出番である。これも、ソフトバンクあたりは「身分証明書の写真アップロード」で契約可能にしてくれているので、そういうキャリアを活用しよう。ここまでを手順1が終わるまでに並行して終えているのが理想的。
Twitterに「都合が悪くなったのでチケットを譲ります。希望される方はリプください」と書き込む。値段は定価+送料を上限にするのがポイントである。下手に高くするとダフ屋と思われ、別の意味で怪しまれる。ターゲットとしては、今なら安室奈美恵の最終ライブツアーあたりが最も食いつきが良い。一日に何十人も釣ることも可能だろう。
ここからが本番である。何十人~何百人と来ているチケット譲渡希望者というカモ1人1人に、丁寧な応対を行う。すぐにお金を要求せず、最初はターゲットにしているアーティストの話をしておき、「この人はファンだけど本当に都合が悪くていけなくなっちゃったんだな」と思わせるのが理想的である。手順4で準備したプリペイド電話の番号を教えて電話させることも効果的だ。一方で、絶対やってはいけないこととして、「相手の名前を間違えない」ことが挙げられる。相手の名前を間違えると、同時並行で複数人と取引しようとしていることがバレてしまい、詐欺ではないかと怪しまれるからだ。
頃合いを見計らって、取引の話を始める。手順3で作っておいた口座にチケット代を振り込むように要求する。これに対して、相手が代引郵便を要求してきたら断固断る。郵便や宅急便の不達が問題となっている昨今では、この問題を伝えて代引を断るのは割とたやすい。それでも代引をしつこく要求してきたら、「すみませんが他の方に決まってしまいました」と一言告げて取引を打ち切るのが良い。その分実入りは減るが、下手に怪しまれて詐欺がバレるよりはよっぽどマシである。ここまできっちり行えば、連日10万円以上のお金が口座に振り込まれるようになるはずだ。
偽チケットの対象としているライブイベントが近くなったら、少しずつ口座からお金を引き出す。引き出すのはもちろんATMだ。1日あたりの引出し上限枠をめいっぱい使おう。ライブイベント当日までは詐欺だと断定されないため、そこまでは口座が凍結されることは先ずない。当日の開演時間まで引出しを続けよう。
ライブイベントの終了時間を過ぎると、一連の出来事が詐欺であることが確定する。この1日~数時間前あたりから「チケット詐欺に遭った!このTwitterアカウントに騙された人は他に居ませんか?情報ください!」と騒ぎだす人が出てくるので、手順5から使ってきたTwitterアカウントとは別のアカウントを使い、その被害者とコンタクトを取り、自分も被害者だと偽った上で冷静な応対を行う。詐欺に遭ったことで混乱している被害者から見たら、詐欺師の冷静な応対は非常に頼もしく見えるはずだ。そして、「一緒に警察に行ってくれませんか?」と言ってくるようになれば完ぺきだ。詐欺師の元に次々と被害者達から連絡が来るようになる。
手順9でコンタクトを取った被害者達に、「警察に相談してきました」とウソの報告をする。その中で、「今の情報だけでは被害届は受け付けられない。○○と○○をそろえてもう一回来てください、と言われた」と付け加え、通信ログなどの証拠が揃えられないと警察も動けないと連絡する。これをやるだけで、被害者の8割は引っ込んでしまう。あと2割は残るが、同じように「警察に行ったフリ」をしておけば、1か月後には詐欺師に対して誰も何も言わなくなる。手順5を正しく行っていれば、被害者1人あたりの被害額はせいぜい数万円なので、被害者のほうが追いかけるのを早々にあきらめてしまうからだ。
おめでとう、あなたは数百万円の小遣いを得ることが出来たはずだ。
これがプロか…