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アジア開発銀行(アジア開銀、ADB)は、11日に公表した「2012年版アジア経済見通し」で、近年の急速な成長によって、アジア諸国で貧富の差が拡大し、地域の成長と安定を阻害しかねない要因になっていると指摘した。ただ、この問題は各国政府が歳出の優先順位を修正することによって対処することが可能であるとし、非効率な大衆迎合的政策に結び付きかねない社会問題を防ぐために、教育や医療への支出を増やしたり、良質な雇用を創出し、インフラ(社会資本)に投資して都市と地方の不均衡を是正すべきと述べた。
リポートは、もし地域における不平等が過去20年間、安定していたならば、その期間に2億4000万人、2010年のアジア地域の人口の6.5%相当が貧困から脱却できたはずだとしている。
しかし、実際には地域の経済成長が加速するなかで、不平等は拡大。
総所得に富裕層が占める割合は過去10年間で拡大。大半の国で、5%しかいない富裕層が総所得の20%近くを握っているという。
「不平等は成長の基盤を弱める可能性がある。不平等が一段と深刻化すれば、社会的なまとまりが弱まり、ガバナンスの質が劣化、非効率な大衆迎合的政策への圧力が増し、中期的成長が抑えられる可能性がある」としている。
貧富の格差を測る代表的な指標とされるジニ係数は、1990年代初頭以降、人口が多く、地域の高成長をけん引している中国、インド、インドネシアの3カ国で大幅に上昇した。
リポートは、財政政策が貧富の差の是正に寄与するとし、すでにフィリピンが実行している教育・医療分野で最貧困層を支援する対策など、より適切に対象を絞った社会保護スキームを各国政府が策定し、それにより多くの資金を投じるよう提言している。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK811043220120411
アジア諸国では5%の富裕層が総所得の20%を握っているが、日本では1%の富裕層が総所得の20%を、アメリカ合衆国では1%の富裕層が総所得の40%を握っている。