ほんとうに凄い!
これは凄いことだ。
何故かって?
今までのMOBA(マルチ・オンライン・バトル・アリーナ)とは全く違うからだ。
マルチオンラインバトルアリーナとは日本語に直訳すると「多人数ネット対戦式集団処刑場」だ。
MOBAの本質は「ゲームが上手い奴らがゲームの下手な奴らに敗北の烙印を焼き付けに行くゲーム」だった。
RTSが「どっちがゲームが上手いのか完全に白黒をつけ、一生消えない挫折を刻み込みあい続ける」というゲームだったのを、チーム戦にすることで一度に5人の心に傷を植え付けられるようにしたのがMOBAなのだ。
MOBAの勝利条件は相手陣地の破壊であり、それは言い訳のしようがない完全敗北を意味する。
勝負に負かした相手を試合のルールの元で完全に踏みにじる行為がシステムに組み込まれているのだ。
「10分間に多くの点を稼いだほうが勝つ」
これによって「いや……あのポイントが入れば勝っていた」「あと10分やってれば俺が勝ってた」「集団戦1回負けただけ」などの言い訳が無限にできるようになった。
そんな言い訳が出来ないほどの大差がついた場合は「レート詐欺の初心者狩りにあった」と言えばいいので、ユーザーの心は完全に守られる。
凄い。
今まではレーンで負け、集団で負け、陣地を守れず、強力なタワーに守られながらもボコボコにされ、もはや完全に負けたと言わされてきたのが、今度はいくらでも負けてないと言い続けられる。
なんて優しい世界。
今までのMOBAにおいては視界の管理だのレーンの責め合いだのジャングルの管理だのと煩わしい要素が無数にあった。
それらが上級者~初心者までを細かく切り分け、プレイヤー達は自分たちの屍によって格差社会のピラミッドを作らされてきた。
タワーもない。
ただプレイヤー同士が競い合うフィールドがあり、狩られるだけの野良モンスターがいて、ダンクするだけのゴールがある。
レベリングし、相手プレイヤーと戦い、たまにゴールを割って点数を稼ぐ。
それだけでいい。
煩わしい格差を作るためだけのシステムに邪魔されることなくのんびりとゲームだけを楽しめる。
まさに理想だ。
そうかも知れない。
だがそれでいい。
作戦なんていらない。
ゲームなんて遊びだ。
ゲームで仕事がしたいならポケモンなんてしてないでDota2でプロになれ。
・死にそうになったらキッチリ逃げるか味方に仇をとってもらうために削るかハッキリさせよう
これだけ守ればいい
もしもこれがLoLだったら「チームビルドではタンクの数がNでキャリーがXでジャングルがAじゃないと……」「(俺以外の)誰かがワードに金使わないと負けるよ」「なんでジャングルバフ管理してねえんだ」「ラストヒット奪うのやめろ」「ラストヒットちゃんと取れ」「俺が取れそうもないときはちゃんとラストヒットお前が取れ」とあーだこーだクッソくだらんゲームとしての面白さを底上げする役に立ってるんじゃなくて単にプレイヤーにランクをつけて誰が敗北者かを決めるためだけに作られたような要素が山ほど出てきてゲームを楽しむ余裕なんてない。
・人数差を生み出せそうなときには上手く集まろう
・無駄死にを避けてチームのキルレをあげよう
だけでいい。
神ゲーだ。