2024-09-14

心の救いになった一曲

人生の中で一番しんどかった職場

独裁者みたいな現場を仕切ってるやつ(以下Nと呼ぶ)がいて、そいつに気に入られない人間は徹底的にパワハラを受ける職場だった。

当時まだ経験も少なかった俺はNには相手にすらされてはいなかったが、俺の直属の上司がなにかのきっかけで独裁者に嫌われたようで、その結果しばらくして飛んでしまった。

すると今度は俺が突然的にされてしまい、そっから地獄みたいになっていった。

上司が飛んだ時は自分担当部分にはすでに色々な遅れが生じてた(嫌がらせでそうなってた部分も多かった)ので

Nには「帰ってもいいよ、この状況で帰れると思うなら」みたいな感じで言われた。

毎日寝泊まりして軟禁状態みたいなのがそこから続いた。

今思えば「帰れると思うので帰りますね」とか言ってそのまま辞めればよかったとつくづく思う。

でも当時の俺は要領が悪く、家に帰る勇気もなかった。

いや、正直言うとその時点ではもう判断能力が落ちていたんだと思う。そして家に帰るという気力すら失っていたと思う。

記憶曖昧な部分が多いが、夜中まで仕事して3~4時くらいに机の下で丸くなって寝る、朝礼が始まったらぼんやりした頭でなにか話してるな~って感じで聞いて、昼くらいまでぼんやりしたまま仕事をする。

昼にビル内の店で昼飯を買って、そのビルに入ってる企業が使えるジムシャワーを浴びる。下着使い捨てにして、何枚かの服を時々ランドリーで洗ってローテーションしてた。

その後は深夜まで黙々と仕事する。夕飯はデスクで食べてると独裁者に「よく飯とか食ってられるよな~」みたいな嫌味を少し遠くのとこで、取り巻きに語る体でこっちに聞こえるように嫌味を言われるのであまり食べなかった気がする。

夜中は人がいなくなるからそん時に食べていたと思う。

(こういう状態は俺一人ではなく、他にも何人かいたと思う)

家には月1くらいは帰っていたとは思うが、なぜかそこらへんの記憶が抜け落ちてる。曜日感覚も失ってる感じだった。

しばらくは仕事だけはとにかく頑張ってやろうとしていたが、途中からはもはやその気力も失っていて、一応やりはするんだがパフォーマンスとしては本来出せる力の半分にも満たなかったと思う。

惰性でただそこにいるだけでもはや自分がなにをしてるのかもよく分からなくなっていた。

会社としてそんな役にも立たなくなった人間を置いておく意味なんてないと思うんだが、なぜかクビにされるでもなくそんな状態仕事は続いた。

3~4ヶ月くらいそういうのが続いていたか、ひょっとしたら半年くらいだったかもしれない。

終わりとしてはそのプロジェクトが終わるということになり、そのタイミングでNに辞めますと伝えた。

Nは最後まで冷たい目で俺を見ていて、その時もニヤニヤしながら「ああそうなんだあ 今更かあ笑」みたいな事を言って自分取り巻きにも誘い笑いをさせてた。

本当に、今の俺なら間違いなく「人としてクソすぎて笑っちゃいました」とか「お子さんかわいいですね写真見ました」とかとにかくなにかしら捨て台詞くらいは吐いてると思う。

ただ当時の俺はあまりにショボくてなにも言えなかった。黙って睨みつけるのが精一杯だった。

仕事を辞めるというときに、好きだった音楽をもうずっと長い間聞いていないことに気づいた。

BUMP OF CHICKENというバンドは知らなかったんだけど、そのタイミングでなにかで一曲きいて良さそうだなと思ってたのでアルバムを買ってみた。

で、職場最後に行った時の帰り道に聞いたのが「ギルド」という曲だった。

人間という仕事をクビになって どれくらいだ

とりあえず汗流して 努力をしたつもりでいただけ

悲しいんじゃなくて 疲れただけ

休みをください 誰に言うつもりだろう

奪われたのは何だ 奪い取ったのは何だ

美しくなんかなくて 優しくも出来なくて

それでも呼吸が続く事は 許されるだろうか

バンプアルバムは良い曲がたくさんあったが、この曲を聞いた時に涙がポロポロこぼれてしまった。

酷い目にあったという恨み、それを打破できず負けてしまった自分への怒り、色んな気持ちが溢れて涙が止まらなかった。

焦って路地裏に入りフヒフヒと泣いたのを今も覚えてる。

この曲の歌詞解釈としては単に働く仕事の歌ではなく「人間という仕事」という、人間が生きることそのものを「仕事」と仮定した詩的なものだと思うんだが、

当時仕事の場で自分人間性まで否定されたような気がしていた俺にはダイレクトに重なりすぎた。

しかしこの曲のおかげで俺は勇気をもらえた。それはこれくらい暗い気持ち歌詞にできる人がいるんだなと思ったからだ。

希望を見出だす歌詞でもあるんだが、その前提としての視点が「どん底にいる自分」としてもろ重なったのだ。

それから社会復帰するまでは何ヶ月も引きこもっていたんだけど、時々この曲を聞いていた。

この曲で生きる希望が湧いたとかそういう話ではないんだが、自分の中にあるふつふつとした得体のしれない暗いもの描写してくれてるようで、そこに安堵があった。

今はこの曲を聞き返すのはなかなか難しい。聞くと泣けてくるしどこか恥ずかしさもある。

だけど仕事における今の自分の基本スタンスを作った原体験、それとリンクする人生の中でもかなり重要一曲になっている。

  • ギルドの頃のBUMP OF CHICKENなら「ホリデイ」「真っ赤な空を見ただろうか」が好き

  • https://www.youtube.com/watch?v=wwVlJfJgWJI   人形アニメPV

  • ギルドが入ってるアルバムってオンリーロンリーグローリーとか入ってるやつかな あのアルバムめっちゃ絶望の中でも希望を見いだせる曲が多くていいよね なんかつらいときいまでもよ...

  • 中島みゆきの化粧はどん底の気持ちになってもまだ人生はやりくりできるという励みになった

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