個人的にはオークションサイトなどで目にするタイプの転売屋は最悪だと思っているし、そういう商品を買ったこともない。
その上で、しばしば転売屋とセットでやり玉に上がる「転売屋から商品を買う人」の是非について思ったことをちょっと書きたくなった。
言うまでもなく、大半の商売ではお金を払えない人は客とはみなされない。
ところが逆に、金ならいくらでも出せるという人があらゆる物を好きなだけ手に入れられるかというと必ずしもそうではない。
その極端な例が政府が配給制度をしいて供給量をコントロールしている場合だ。配給品はいくら金を持っていたとしても決まった量しか手に入らない。
このようなとき、お金を出せる客とお金がほしい生産者がマッチングすると、闇市が生まれて闇相場ができる。
ひるがえって今のプラモとかPS5とかiPhoneとか他のなんでも小売りの世界について考えると、売値についてはたいていメーカーの思惑で一定範囲に決まっている。
金をたくさん出せば必ず手に入るという状態ではない。「金なら出すから何とかしろ」という人たちはある意味客層として想定されていない。
供給量に不安があって、客の手元に金があり、ネットによって売り手と買い手のマッチングは秒でできる。
そんな今は闇相場を作ろうとする力が強く働いていて、転売屋はそれにタダ乗りしているだけじゃないかと俺は思う。
※厳密な話をすると闇商人としての転売屋は配給米を闇市に流しているような輩であって過去の闇商人たちよりも数段タチが悪い
日本の配給制度と闇市を巡る問題については、とある裁判官が闇市の利用をよしとせずに配給食料のみで生活して餓死した事例がよく知られている。
べつにプラモが買えなくたってPS5で遊べなくたって死にゃあしないけど、金はあるのに金で解決できないフラストレーションに公式は応えてくれない。
じゃあ転売で買うのは正しいかって言ったら正しくは無いんだが、自分の需要を認めてもらえない人たちにとっては法に触れるわけでもなく自己解決の手段の一つである。
そもそも転売屋を滅ぼすことはできたとしても「転売でもいいから入手したい」という需要を滅ぼすことはできない。
それが人の夢、人の望み、人の業だとえらい人も言っている。転売は結果に過ぎないんだよ。
公式の供給が有限で、かつ一般販売しか想定されていない商品では、闇市の発生を防ぐことはたぶんできない。
「暇がない、金ならある」という人がいる限り、売らんかなとする輩によってすぐに闇相場が形成されることになる。
不幸なのは一般販売に関わる参加者全員が、今やその闇相場の影響を受けていることだ。
いま転売屋から商品を買っている人を責めて転売屋から買うのを止めさせるよりは、その需要に応える転売以外のルートというものを考えてみたほうが幸せになれるんじゃないかな。
知人に実際に転売に手を染めていたものがいて一度口論になったことがある。
このような手合いは自分をごまかすための理論武装を多重に備えているので、その場で論破できるなどとは考えないほうが良い。
依頼があって瀬取りする商人とネットオークションで活動する転売屋の差はここにある。
「俺の代わりに買い物してきてくれ」と頼まれない限り、転売屋のサービスの需要はゼロのままであり彼らが手にするべき真の価値は無である。
販売価格が卸価格に比べてずっと高ければ、誰かが市場のパイを一切れさらっていったということであって供給側にとっても隠れた損失がある。