2021-07-19

小山田圭吾と"正義の拳"

私はコーネリアスこと小山田圭吾熱狂的なファンだ。中学生の時、たまたまフリッパーズギターの「シングルス」を手に取ってからそれからずっと小山田圭吾が好きだ。彼の曲も、佇まいも、ファッションも、生き様も、ずっと尊敬し、参考にしてきた。ツアーも幾度となく参加した。好きすぎてメールアドレスにもしていたし、待ち受けも「POINT」のアー写だった。

もちろん今回の大炎上元ネタになっているQJも知っている。というか、15年以上前に件の記事を知って、本当にこんなこと書いてるのか?とあちこち古本屋を巡って手に入れた。現物実家の棚にある。

そんな彼が東京オリンピックという"失敗が約束された"イベント音楽担当すると聴いた時は心躍った。ようやくオリンピックを(一部だけでも)肯定することが出来る!見るという動機が出来る!と、とても嬉しく思った。

彼のイジメについての記事2chの古くからコピペとしても存在していた。彼のスレッドが立つたびに連投され、また、いじめについてのスレッドが立つたびに書き込まれていた。誰の執念かは知らないが、そんな書き込みが広がるにつれ、「ウンコーネリアス」と呼ばれていたことも知っている。熱心なアンチの賜物。しかし、そんな揶揄など、まだ可愛いものだった。

東京オリンピックの「失敗」を心のどこかで願う人々が、政治家運営者ではなく、彼を次のターゲットにした。そして、火がついた。

このオリンピックをどうにかして失敗させたい人、イジメに対してどうしても許せない感情を持つ人、コーネリアスアンチ運営に女がいないと叫ぶフェミニスト菅政権反対派、反自民自分が参加予定のイベントが潰された人達自称人権派の方々、話題に乗っかりたいだけのご意見発信人、ガヤツイッタラーストレス発散したいだけの暇人などなど、SNSの標的が彼になった。色々な理由を付け、「イジメ反対」という大義名分を掲げると、1番叩きやすいのが小山田圭吾だった。

私は、ネット上で燃え盛っていく炎を見て「なぜ?」と思った。なぜ彼が40年も前に行ったイジメでこんなに叩かれなければならないのか。贖罪をしてない、謝ってない、気分が悪い、嫌な気持ちになった、という意見散見された。いやいや一体何様のつもりなんだ?と。知る必要もない情報を得て勝手に嫌な気分になる。嫌な気分になったらその当人匿名で叩く。いじめられた当人でもなく、その場にいたわけでもなく、30年前に雑誌に語った40年前のいじめの話をぶり返され、人格否定され、そして作品をも否定される。

叩いてる人達がやっていることは彼が過去個人に行ったイジメ以上のリンチだ。

謝罪文を載せると「辞任しろ」の嵐。謝っても許されないSNSリンチ。「イジメ反対」という大義名分を盾にしていとも簡単に行われるハラスメントの数々。海外メディアへのチクリ。

日本中の人々が叩いてる相手は、ただ1人の日本人だよ。ただ1人のアーティストだ。正論論破は1番簡単暴力だと誰も気付かず、いや、気付いてないフリをして自分意見を通すために叩き続けた。正義感という名の拳で何万という人達が1人の男を殴り続けた。

そして先ほど、小山田圭吾オリンピック音楽担当を辞任した。

良かったね。

もう誰も正直に生きることの出来ない世の中が、オリンピックの後に待っているよ

  • どう理屈づけてるのかまじわからん。程度問題?!だの公共性だの税金だのが言い分みたいだが。

  • 今回はパラリンピックのテーマソングでもあったから、選手側としてはこの件知ったらいい気はしないだろうなとは思うよ

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