2020-08-28

結局のところ。

安倍晋三という人は非常に凡庸で、具体的な政治指針もなく、しかしその時その時の流れに上手く乗ってなんとなく生き残るタイプ政治家であった。

それは彼が一番最初に脚光を浴びた北朝鮮協議拉致被害者帰国の時もそうであったし(彼はそれまでに北朝鮮問題に深い興味を示したという記録も伝聞もないが、以降はずっとあの青リボンをつけている)、

その注目度から幹事長に大抜擢され、官房長官さらには首相にまで上り詰めた。

しかしその政策小泉政権継承したもので、彼の独自性ほとんどなかった。もっとも前任者があまりにも政治家として強い個性の持ち主だったということもある。

だが、政府自民党ともに彼にその統率が取れていたとは言いがたく、政治家、とりわけ首相の適正には疑問がつきまとった。どうにかまとめ上げられたのは、自民党になんとなく漂う保守思想とそれを具体化した「美しい国」という空虚スローガンがあったからだ。

だがあいまいとした政治思想だけで日々の政治が回るわけもなく、様々な政治問題が噴出。現役農水相自殺などというトップクラス政治暗部が明るみになったところで、参院選敗北。自身は病に伏して一度表舞台を去ることとなる。

1度目の華々しい舞台は、あまりにも役者不足、という結末に終わった。

だがそこで政治生命が終わらなかったのは、血統のなせる技と祖父譲りの悪運なのか。

民主党政権機能不全に陥ったところをとどめを刺す形で震災発生。この社会不安から生じた反民主2000年代回帰の流れ(いわば振り子運動である)に乗る形で、周囲の反対を押し切って総裁復帰・そして首相に返り咲く。

そして今日再び病に倒れる形での辞任を表明した。

この第二次政権ははたして、どんなものであっただろうか。まだその総括は出来ないかもしれない。

政権立直後、目に見える形で株価バカみたいな上がり方をした。株価先導の形で企業業績は回復し以降6年景気を押し上げた。大量の金を市場に注ぎ込む金融政策は一つ結果を出したとは言える。

しかし結局くだんの3本の矢は揃わずじまいで、このコロナでこの政策はいよいよ手詰まりである

これも含め、本来であれば政府政権与党一丸となって一環した指針の下、さまざまな政策を大きく動かさなくてはならなかったが、結局政権初期以外そういう形はほとんど見られなかった。

結局のところ、安倍晋三首相は同じことを繰り返しただけではなかったのだろうか。首相として各所への人選は悪くなかったが、配置した人材ほとんどコントロールできず適切な機能を与えることが出来なかった。

本来であれば各省の歩調を合わせ利害関係者の調整を行うべき内閣官房(官邸)は、各職が見えない権力を握る中、政府内のただの権力装置に成り下がり、効率的かつ効果的な施策の支障を来すまでになった。

首相本人が制御を行うでもなく、その権限を適切に行使することなく、その権力装置自体権威化して好き勝手に行動してしまう。第1次と第2次問題点の違いはそこに突き詰められそうだが、それは結局、共通して安倍氏本人が役者不足であったのだろうという印象だ。

まりにもなにも背景が見えない凡庸な彼の素は結局、政権交代直前野田元首相との党首討論の時のあの、終始自分判断を先送りし他者判断をゆだねる彼だったのではないだろうか。

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