2020-07-13

ヨレヨレの子猫を拾った

買い物をしに街に出たら、ヨレヨレの子猫を見つけた。

尻尾ボロボロで、顔も傷だらけで、ガリガリに痩せていて、毛皮はおそらく元は白かったんだろうけど全体的に膿や泥で灰色に薄汚れていた。

ちょうど最近YouTube子猫動画を見るのにハマっていた。動画の子猫は小さいながらとても元気で、親猫に見守られつつコロコロ走り回っていてとても微笑ましかった。

そのヨレヨレの子猫も、動画の子猫と同じくらいの年頃に見えた。あたりを見回しても、親猫らしい存在は見当たらなかった。

このまま放っておいたら、ひょっとしたら長くないかもしれない・・・

うその時には、俺の頭の中には、そのヨレヨレの子猫の責任を持つ以外の選択肢存在すらしなかった。

コンビニにいきチャオチュールを購入し、子猫を捕まえようと奔走した。しかし、ヨレヨレの子猫は警戒心が強くてなかなか捕まえることができず、しまいには狭い路地に逃げ込まれしまった。

あまつさえ近隣住民とおぼしき女性から不審な目で見られる。

万事休す。

まあ、それがヨレヨレの子猫の選択なら、尊重すべきだ。俺だって救ってやろうなんて傲慢な考えはハナから持っていない。ただ、一方的に、ヨレヨレの子猫の責任を持ちたいと思ってしまっただけなのだ

後ろ髪ひかれる想いで路地を見つめていると、近隣住民女性から責めるような声で「あんたさっきからココでなにやってんの」と声をかけられた。泣きっ面にハチとはこのこと。警察なんか呼ばれたらたまらないので、正直にヨレヨレの子猫のことを話した。

すると女性の態度は一変。そういうことなら、と、猫のエサや網をご自宅から持ってきてくださり、捕獲作戦に協力してくれた。相当な猫好きの方らしい。そんなわけで、一度はあきらめかけた俺だが、もう一度ヨレヨレの子猫捜索に着手した。チャンスの女神から、「まだあきらめるな」と言われたような気がした。

しかし結局その後小一時間くらい粘ったが捕獲には至らず、俺と女性がすっかりあきらムードになっていたところ、近隣住民と思しき女性その2が現れた。その1とは顔見知りらしく、その1から経緯を聞いたその2は猫の捕獲機を出してきてくださった。

いわく、「ワナしかけといてやるから、かかったら連絡するよ。」とのこと。

俺はこの時、チャンスの女神から、「いいからこの子猫を飼うんだよ!!!」と言われている気がした。

お互いの連絡先を交換して、そのとき帰宅した。

それから時間後、「かかった」と連絡をもらって、無事に子猫を受け取ってきた。そばで見ると、怪我の傷がなまなましかった。抱いてみると、手のひらに骨と皮しかない身体感触が伝わった。

あらかじめもってきていたキャリーバッグにそっと入れてやってから、協力してくれた女性にしこたまお礼を言い、その足で動物病院に連れて行った。

見てもらうと、命に別状はないこと、しっぽが壊死していること、親とはぐれているあたり、弱視可能性があることなどの診察結果を得た。その場で壊死した尻尾はきりとられた。俺は心臓が縮みあがった。抗生物質と消毒をもらった。

帰宅してから、ヨレヨレの子猫にミルク離乳食をだしてやった。すると、こっちが驚くくらいの食欲で、一瞬ですべて平らげてしまった。切り取られたしっぽの痛みで食欲がなくなりやしないか心配していたが、杞憂だったらしくホッとした。あんまり一気に食わせても胃腸負担になると思っておかわりはさせなかったが、これから毎日腹いっぱいくわせてやるからな、と俺は勝手に、誓った。

腹がはったヨレヨレの子猫は、めちゃくちゃ甘えん坊になった。ゲージにいれるとギャーギャー喚くので、戸をあけてみると、俺の膝にのってくるのだ。さっきまであんなに逃げ回っていたというのに、現金子猫だ。

かなり汚れているし、結構臭うのだけど、その可憐なしぐさにあっという間にめろめろになって、においなんかわからなくなった。

傷に障らないよう慎重にヨシヨシしていると、気づいたら猫は寝てしまっていた。俺はまだどこかフワフワしているというか浮足立っていたので、日記を書いてみたというわけだ。多少落ち着いてきた。

それにしても、膝にのっているのも意識していないと忘れてしまうほど軽い。子猫なのだから当たり前ではあるのだが、それを加味してもガリガリすぎるし、カラスにやられたのかドラ猫にやられたのかわからんが顔も身体も傷だらけだし、しっぽの切り口は痛々しい。

こんな小さな体で、きっといつも体中が痛くて、空腹で、外敵を警戒しながら、ゆっくり眠ることもできずに、一か月以上一人きりで生きてきていたのかと思うと、胸が苦しくなる。しっぽを切るのだって、変わってやれるなら俺が代わってやりたいくらいだった。いまだって痛いはずだ。この子猫の痛みを肩代わりしてやれないことが今一番苦しい。

過去黒猫を拾った時を思い出した。友人の家でみつかったあの子は、怪我病気こそしていなかったが、まだ歯も生えそろっていないような年頃で、親はおらず、友人のあとをずっとついてまわったのだそうだ。友人のご両親は保健所へつれていけと怒ったらしいが、それだけなつかれてしまった友人は参ってしまって、俺に相談をもちかけてきたというわけだ。

あれがもう20年以上前だった。

なんとなく、トイレやゲージなど、一通り掃除はしたものの、処分してしまうのも、すっかり片づけて押入れの奥にしまってしまうのも気が引けて、定位置においたままにして数年が経っていた。

ほんとうに、処分してしまわなくてよかった。と、心から思っている。

この白い猫の名前を考えよう。

  • うちの茶トラを思い出した。拾った時はガリガリで猫カビに寄生虫にもうボロボロで、寒い中毎週お風呂入らなきゃならなくて不憫だったなあ。 なお、今は8キロ超えの巨漢ならぬ巨猫…...

  • トカゲちゃん

  • 元気だしてくれて良かったね。 うちのも生後数ヶ月の捨て猫だった。 最初はオドオドしておとなしい性格だったけど、その後新しく加わったやんちゃな2匹目と一緒に今は元気に走り回...

  • お前素人のガイジだろ? 猫は目合わせると敵意だと受け取るからな 即目を逸らして手を差し出してこちらの匂いを嗅がせろ そうして敵じゃないと示せ なーんも知らんやつが警戒心が強...

  • 白いから おもち わたあめ おむすび すあま らいち しろあん 増田と子猫に幸せがたくさんあるように大福はどうだろう

  • おなまえ「ミュー」ちゃん

  • 猫汚れてるようなら温かいタオルで体を拭いてやってほしい 清潔にするのも健康への道

  • 猫を飼っていたなら知っているかもだけど…食べ物にはほんと注意してあげてな。 チュールやよくみる缶詰めとかは一般食といって、人間で言うとお菓子とかジャンクフードに近い。人...

  • b:id:sekreto YouTubeの設立は2005年なので創作と分かる >あれがもう20年以上前 / ちょうど最近YouTubeで子猫の動画を見るのにハマっていた。 このブコメの意味が分かんない 本文読まずにブ...

  • https://anond.hatelabo.jp/20200713175300 たくさんの反応をいただきありがとうございます!怪我子猫を拾うのは初めてで、割と気負っていました。ということに、皆さんの反応を見てから気づか...

  • 実際猫飼いたいんだけどマジで飼える賃貸て無いよな? 俺も毎日いきなり猫に懐かれてしまったらどうしようとか、このポストの影にダンボール猫がいたらどうしようとかいろいろシュ...

  • 実際猫飼いたいんだけどマジで飼える賃貸て無いよな? 俺も毎日いきなり猫に懐かれてしまったらどうしようとか、このポストの影にダンボール猫がいたらどうしようとかいろいろシュ...

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