2019-09-05

なぜ底辺労働者生活保護申請しないのか

たまに貧困にあえいでいる底辺派遣労働者ニュースがあると、コメントで「なぜ生活保護申請しないのか?」と不思議に思う方々がいるので、身近でこういった底辺の人を見てきた人間として事情説明しておきたい。

「なぜ生活保護申請しないのか?」の問いについては、わかりやすい解については「役所が水際作戦をして生活保護申請させないから」という声もある。これも嘘ではないのだが、半径10メートル範囲貧困層を見てきた身としては、「当人たちが生活保護申請する気がないから」のほうが実情に近い。

もちろん申請できる人もいる。ただこちらが何度か「しばらく生活保護申請してみては?」と尋ねても苦い顔をしてはぐらかす方も多い。

この背景には「生活保護申請する際の心的ストレス想像以上にしんどい」というのがある。底辺労働環境は肉体的にも金銭的にもキツイが、それ以上に人間関係でもストレスが高い職場が多い。みんな金に余裕がないと気持ちにも余裕がなくなり、底辺労働者はそのストレスのはけ口として最適なのだろう。日頃の職場ストレス精神的にボロボロな連中に、自分から役所にいって生活保護申請をするのがどれだけ罰ゲームなのかは簡単想像できるだろう。役所良心的なところですらできれば受け付けたくない空気満載で、書類申請の間にも「(生活保護なんかに頼らないで)今の職場転職すればなんとかなりませんかね?」「ご家族にも連絡しますけど大丈夫ですか?」などと細かい圧力をかけてくる。そしてそれらの圧力に耐えきれずに申請あきらめてしまうのだ。

こういった精神的にボロボロ底辺労働者が生活保護申請する最適な方法は、やはり頼れる第3者に同行してもらうことだ。共産党事務所にいってヘルプしてもらうとか、東京だったらもやいのような貧困支援NPO相談するなどして、一緒に付き添ってもらうとなんとかなる。

彼らを見ていて思うのが、自力生活保護申請するにはある種の開き直りというか、図太さ、精神的逞しさがないと難しいということだ。DV被害にあっている人でも、「そこから逃げる」だけでも膨大な労力が必要で、本当に弱い人は逃げることもできずに暴力を受け続けるのだと聞いたことがある。本当の弱者とは、逃げることもできずに誰かも気づかれることもなく死ぬまで搾取され続ける人生を選ぶ羽目になった人たちなのだ

ここまで書くと、生活保護の「申請式」をたたく人も多いだろう。ただ日本に限らずに、民主主義の国というのは自分権利というのは自ら申請しないと実行できないのだ。職場パワハラも、本来なら控除があるはずの取られすぎた税金も、法律上は受けれるはずの行的サービス介護とか)も、自分たちが調べて申請しないと憲法で認められた権利行使することができないのである。人によっては「国が率先して国民健康貧困状態をチェックして、申請がなくても行政から助けの手を差し出すべきだ」という意見もあるだろう。ただそのためには膨大な管理コストと、行き過ぎるとそれこそビックブラザー的な巨大な管理社会と変わらない未来がまっているはずだ。

どこでなにを間違えたのか?と考えると、おそらく義務教育だろう。国民ちゃん義務教育の時点で、労働基準法生活保護などのセーフティーネット存在、それらが憲法によって定められた当たり前の権利であること、そしてそれらの権利がせっかく用意されているのに、自分から申請しないと存在しないのと同様になるという事実を、小中学生の時期に頭に叩き込んでおく必要があったのだろう。

  • あーそれはね ソーシャル・スティグマってやつだよ( ー`дー´)キリッ

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