昨日の私は散々だった。
朝から受験生なのにゲームで遊んでる妹にキレて、親と揉めた。そのあと自分の進んだ学部と本当にやりたかったことが違うって改めて思って、一人で泣いた。本当は化学の研究がしたかったんだ。でも家にお金がないせいで、私の頭が悪いせいで、自分がやりたいこともできなくて、今のままで生きてても意味ないって。
親に、妹の成績が良くないから国公立は無理でもう私立に行くしかない、って言われて、呆然とした。
国公立大は安いから国公立大に行ってね。あの時親にかけられた言葉を思い出した。私はやりたいことを諦めて無理してやりたくもない公務員を目指して国公立大に行ったのに、どうして、ずるいじゃん、妹は好きなことできるのに、私は?って思って一人でわんわん泣いた。
しばらく泣いたあと、全部捨てちゃえって思って持ってた鞄とか服とかプリントとかもういらないものを全部捨てようとした。そうしたらプリントでさっくり指を切ってまた悲しくなって泣いた。
そのあと腫れた目でバイトに行った。メイクのノリも最悪だったけれど、バイトでも散々だった。
使ってる機械の調子がおかしくなった。さらにパソコンの調子も悪くてお客様を待たせた。
後輩がミスしてお客様がブチ切れて、収拾がつかなそうだったから対応変わったら女だから弱く見えたのか知らないけどめちゃくちゃに言われて人格まで否定された。今まで生きてきた二十年弱全部否定されたみたいで、やりたいこともできてないって午前中に自覚して号泣したのを思い出して吐きそうになった。クレーム対応終わった後にはトイレでこっそりまた泣いた。レジに戻った時にミスした後輩が笑いながら声かけてきて本当に殴ろうかって思ったけど、馬鹿みたいだったからやめた。
最後の精算が全然合わなくて帰れなくて最終バスを逃した。お陰で普段なら高いからって使わない地下鉄に揺られて帰った。自宅に一番近い駅から歩いても良かったけど、その時は一時間弱歩く体力と心なんてもう残ってなかった。
ガタガタって地下鉄に揺られてる時、本当に死のうかなって考えた。線路に飛び込もうかなって思ったけど、降りた後に乗ってきた電車が終電だったことに気づいて、もう電車は朝まで来ないんだってわかって、こうまで死ねないのかって思って駅のホームでまたポロポロ泣いた。
つらくて苦しくて、死にたくなった時、こういう時私は暴飲暴食をする。別に吐いたりとかはしない。たくさん食べて気持ち悪くなってそのまま横になれば気づいた時には寝ていて、余計なことを考えないですむから。
駅を出た後、いつものローソンじゃなくてどうしてもセブンに行きたくて、普段行かない方向に行った。カップラーメンと、パンが四つ入った100円くらいのやつとシフォンケーキを選んだ。家に帰れば買い置きの冷凍うどんが二人分くらいあったはずだし、十分だろ、って思いながら。
レジに行って会計をしてる時、店員さんがすごい大きな声でなんか言ってて。最初裏にいる人に話しかけてるのかって思ったんだけど違った。こっちに視線が向いていた。イヤホン外してすいません何ですかって言ったら、店員さんが笑顔で「芋餅、食べたことあります?」って聞いてきた。
いやなんのことだよ?って思って、へ?って言ったらもう一回同じ言葉が返ってきた。
「な、ないです。」
「よかったら食べませんか?今サービスで無料でおつけしてるんですけど!」
日付が変わったあたりのコンビニなのに店員さんがすごい笑顔で。はい、って言うしかなくて。そのあと本当にいいんですか?って聞いたら大丈夫です!って言われてその笑顔が眩しくて。
「なんか最後に良いことありました」
「どうしたんですか?」
「今日のバイト散々だったんです、機械壊れるしクレーム対応するし終バス逃すし」
そんな愚痴なんて初対面のコンビニ店員さんに言っていいわけなかったけど、店員さんはそりゃ大変ですねー!って笑ってくれた。
店を出て、レジ袋の中にあった芋餅を手に取った。すごい温かかった。
行儀悪いけど、歩きながら袋を開けて一口食べた。チーズ入ってた。
めっちゃ泣いた。日付変わって12:30すぎ、まだ20歳にもなってない女がチーズ入りの芋餅を食べながらボロボロに泣いたなんて恥ずかしすぎるけど。でも時間帯的にすれ違う人もいなかったから、人目なんて気にしなかった。
この時気付いた。死にたいんじゃなくて誰かに話を聞いて欲しかった、笑って欲しかった、気遣って欲しかったんだって。
親にも妹にも死にたいだなんてことは言えないし、学校の友達にだって家庭環境のこととか貧乏って言って不幸アピールなんてしたくなかった私はずっと心の底にもやもやを溜め込んでいた。吐き出す場所はあって、それはツイッターだけだったけれど、それでも私の周りには私より不幸な人がいっぱいいて。自分はこんな程度で甘えるなって追い詰めてた。
それでも、こうやって、ありのままを見て、笑って励ましてもらいたかったんだって。誰かに。
今日だって死にたい。というか、これからもいつだって死にたい気持ちは消えはしないけれど、それと同時に、芋餅をくれた店員さんの顔も絶対私の中から消えることはないと思う。