いやほら、昨今の騒動で童貞童貞童貞って文字が並んでるとさ、問題の当事者たちよりも彼らの方が傷ついているんじゃないかって。そう思うと、何か書かなきゃって思ったんだ。
だからこれ以降このワードは使わない。タイトル含め4回も書いちゃって悪かったな。
おれもそうだからわかるんだけどさ、なんていうか、すごくつらい。
所詮性行為をしたことがないだけなんだよ。なんだけど、なんだけど、あのーなんていうかさ、そういうパートナーがいるって、どこかそれが当たり前なんだっていう印象あるじゃない。
それがおれにはいない。そう、いないんだよ。
飲み会の席で「彼女いないの?」「いたことはあるの?」「もしかして童貞?」何度も嘘をついた。その場しのぎの受け答えなんていつだってしてきたけど、この嘘だけはついた場所、回数さえ覚えている。
咄嗟になんとか切り抜けたと安堵した直後、たかだかひとつの行為の経験がないだけで恥ずかしがる自分の弱さとか、普段は明るく豪快に振る舞う自分とのギャップとか、聞いてきた相手はどう思ってるんだろうとか、両親はどう思うんだろうとか、自分は何かおかしいんじゃないかとか、自慰にふける自分の姿をなぜか第三者の視点で見てて気持ち悪いなって思ったりとか、モニターにふと映った自分の醜い顔とか、おかあさんごめん、せっかく学校まで出してくれたのに人並み程度に彼女もできなかったよとか、じゃあ風俗に行ってやるって思って財布見ても金がなかったりとか、こんなことを聞いてくれる人もいないこととか、そういうものが全部津波のように押し寄せてくる。
ちょっとだけ自分語りしてもいいかな。おれ、昔からウルトラマンとかヒーローものが大好きだったの。命をかけてもみんなを守る、そういうのがかっこよくって、おれもあこがれのヒーローたちに恥ずかしくないように生きようと思ったんだ。だから、いつだってみんなの役に立とう、みんなを笑顔にしよう、そう思って生きてきた。そうしていれば、いつかそれを見ていてくれる人がきっといるんだって信じていた。振り返って思うと、いいように使われてきたこともあった。でもそれでも、それはおれの決めたことなのだから、すごくつらかったけど、すごくどうでもよかった。いつかきっと、これさえあればよかった。
ある日、ある女性と出会った。「みんなのために動けるってすごいね」って言われた。ああ、こういう瞬間のために生きてきたんじゃないかなって、そう思った。やっぱりつらくていやだったんだけど、生きてきて良かった。すごく仲良くなった。うれしかった。たのしかった。たのしかった。ふと疎遠になったと思ったら、おれの親友とつきあっていた。別にいいじゃない、そういう仲になりたかったわけじゃない、もちろん嘘だ。性行為なんてしたいわけじゃなかった、嘘だ、彼女と考え得るすべてのことを共有したかった。大好きな二人が一緒になったんだ、おれもうれしい、うれしい、うれしいはずなんだよ。おかしいんだよ、なんでなんだろうね。
その後とある病気を発症してしまった。一生直らないし、常に苦痛が伴うし、遺伝するらしい。休日にデートとか、結婚して子供を作るとか、もう考えられなくなった。
おれは、たとえどんな結末を迎えようと、おれの選択を何より誇りに思う。誰も思ってくれないから、おれが思う。おれは誇り高い。おれは最高だ。上に書いたエピソードを、「彼女の作り方」「モテテク指南」みたいなものに合わせて考えると、いろいろ失敗はあったはずだ。でも、おれの選択だ。おれが選びとった結果だ。誰にも偉そうに評価されてたまるものか。
でも、それとは別に、最初に書いた苦しみはいつだって感じている。これって社会が作っている「空気」というやつなのかな。そういうものの苦しみは、自分がいかに自分を誇っていても感じる。何度も書くけど、つらい。でもそういうつらさを、感じなくてすむような社会を作っていこうって、そういう連中がいるらしい。なんかさ、そういうの、嫌いじゃないんだよね。
前にエマ・ワトソンのスピーチが批判されたことがあった。要は「俺たちの見方ヅラしてるけど、お前いかにも男性的な男とつきあってておれにはやらせてくれないじゃないか」みたいな話だ。正直、わかる。だってつらいんだもん。自分で自分を傷つけるようなことを何度も頭の中で繰り返して、もう何も考えられなくなってるんだから。でも彼女は「私はあなたの仲間で、一緒につらい社会をなくしていこう」って言ってるらしい。言ってること自体は悪くないと思うんだ。
だから、おれはあなたの仲間だ。あなたっていうのは、エマ・ワトソンとか、もっと言うと、はあちゅうとか、田端信太郎とか、これを読んでいる人の仲間だ。こういう問題こそ、えらそうな連中にだけ任せておいてはいけない。#metooだ。でもその一方で、おれはおれだ。誰よりも誇り高く、誰よりもおれが信じる人間だ。自分のことを、たった漢字二文字で表現されることには、何が何でも抵抗しようという者だ。同様にあなたがそのように評価されることも断固として受け入れる気はないのだ。
おれは誰か?おれは、おれだ。何人たりともおれを言葉で縛ることはできない。でも約束しよう、おれはおれやおまえの仲間だ。いいたいことはそれぐらい
わかる。 精神病と発達障害の家系だから幸せにできないって気持ちが強い いい感じになっても、子供の話とか出てくると心が凍る思いするし、出てこなくとも迷惑かけるのはわかってる...
エマワトソンならともかく童貞に味方されても気持ち悪いだけだわ