2016-12-23

エスタック炎上CM人権侵害へのエールだと思う

たとえば、モーニングアフターピルというものがある。

これは受精卵の着床を防ぐホルモン剤通称であり、避妊に失敗してから72時間以内に服用すれば、「望まない妊娠」を高い確率回避できるとされる。

欧米ではドラッグストア店頭で手に入るものもある一方で、日本ではまだ医師の処方がないと購入できないこの薬。これがもし、そこらへんのマツキヨとかで手に入れることができるよう法改正がなされたとして、こんな広告が打たれたらどうだろうか。

「まだ妊娠なんかしなくないかダメって言ったのに、彼にどうしてもって言われて中で出されちゃった……そんなときでも安心薬局で気軽に買えるこのアフターピル飲んで、今日も彼と楽しくデート、行ってきます♪」

エスタックCMは、だいたいこんな感じのことを言っているように思う。少なくとも私はそう感じる。

「体調を崩したのに仕事絶対に休めない」という状況そのものは、本来、「あってはならない」。しかし、「ある」。どうしたって、「ある」。誰がどう頑張ったところで事態のものの根絶は不可能であるエスエス製薬は「いやでも休めない日って誰にでもあるじゃん?」等と言っているようだが、有吉スーツを着ている以上、これはビジネス文脈である

同様に、「妊娠したくないのに避妊に失敗してしまった」という状況そのものも「あってはならない」。ましてや男に押し切られて望まぬ性行為を強いられたとなれば尚更だ(この類の関係性においてはどうしたって受け身の側が弱い)が、これも「ある」。びっくりするくらい日常的に「ある」。避妊具の破損など、どちらの責任とも言えない場合も含めて「ある」。

では、「本来あってはならない」が、どうしても「ありうる」事態を想定して作られたものを、商品としてPRするとき企業はどんな配慮をするべきだろうか。

これはもちろん、そのPRにおける表現が「本来あってはならない」事態肯定助長・促進するようなメッセージを、決して含まないよう、細心の注意を払うべきである

さらには、その商品が、「本来あってはならない」事態のもの正当化するためのエクスキュースとして使用されうるような"隙"を、徹底的に排除するべきである

モーニングアフターピルは、安易な性行為、乱暴な性行為、また女性意思尊重しない男性傲慢な態度を肯定・促進・助長するものではありえない。

女性自身自身人生デザインし、自身身体を、そして心を守る手助けをしてくれる大切な存在だ。

同じように、エスタックは代わりの効かないハード仕事人員システムの欠陥、また休暇を取得することへのネガティヴイメージ肯定・促進・助長するものであってはいけない。

この日この時だけは、どんなにしんどかろうが翌日から廃人になろうが、絶対に家で寝ていてはならない大切な日のための、最終手段でなくてはならない。

日本モーニングアフターピル広告を作るなら、どんな表現を使うべきか考えれば、エスタックという商品CMがどういうものであるべきなのかは自ずと答えが出るだろう。

少なくとも、「風邪でも、絶対に休めないあなたへ。」などというふざけたコピースーツを着た有吉絶対に出てこられないはず。

最後に、私は二十歳そこそこの小娘だが、この広告を初めて車内で見かけたその瞬間、「ああ、これは燃えるな」と直感した。

二十歳そこそこの小娘でも瞬時に炎上が予期できる広告が、全国ネットに乗ってどこまでも流れていってしま現代日本社会に、深い深い絶望を覚える。

あと、早いとこ安全性の高いピルが処方なしで手に入るようになればいい。切実に。

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