占い業はすぐ廃業した。あの占い屋に行くと必ず別れるという噂が立って、客足がぱったり途絶えてしまったからだ。また借金だけが増えた。
「はぁ~。もう死のうかな」
隣で雑誌を立ち読みしていたオッサンがギョっとして俺を見た。ふらっと立ち寄ったコンビニでマンガを立ち読みして、ついつい長居してしまった。ジュースでも買って出よう。適当な清涼飲料水のペットボトルを手にとってレジへ向かう。
「150円になります」
バイトだろう。若い女の店員だ。かわいい。支払いを済ませ商品とお釣りを受け取って店を出ようとした時、レジの向こうから店長らしき中年男性が彼女に声をかけた。
「よくやってるな」
ぽんと肩に手を置き、店長が彼女を労った。二人は、なにやら濃い紫色の、ねばねばと糸を引くような『繋がり』でつながっている。これは、もしや……。俺は一つの思いつきと共に店を出た。
* * *
数日後、深夜。俺は件のコンビニの前で人を待っていた。目的の人物が店から出てくると、すかさず声をかけた。
「はあ」
声をかけたのはこの店の店長。彼はうろんげな目で俺を見返していた。それはそうだろう。俺は夜だというのにサングラスで顔を隠しているのだ。怪しまない方がおかしい。一気に本題に入る。
「なっ、なんのことだ?」
驚き目を見開く中年。
「立ち話もなんですから、詳しくは、あそこのファミレスででも話しましょう」
彼は黙って俺についていきた。ファミレスでは適当な料理と飲み物を注文した。
「何をバカなことを」
「証拠ならあるんですよ」
俺はポケットから印刷しておいた写真を取り出し、テーブルの上に放った。彼とあの若い女性店員がラブホテルに入っていく写真だ。
「……何が望みだ?」
男はすっかり観念したらしい。
「300万だ」
「さっ、300万!?」
席から立ち上がって叫ぶ男。
「ちょ、落ち着いて。騒ぎになったらお互い困るでしょう」
すとん、と彼は元通り腰を下ろした。
「300万……」
放心したようにつぶやいている所に追い打ちをかける。
「お前、小学校に上がったばかりの娘がいるだろ。不倫で離婚なんて事になったら娘に会えなくなるぞ」
「そっ、それだけは……」
顔色が変わった。さらに畳み掛ける。
「娘にも会えず、慰謝料と養育費を払うためだけに働く日々を想像してみろよ。元嫁が再婚して新しい生活を始める横で、お前は稼ぎの大半を持って行かれて、趣味も贅沢も何もできず、一人で死ぬまで過ごすんだ」
「くっ、くぅ~!」
彼は自分の寂しい老後の姿を想像したのか、頭を抱えて唸っている。
「それに比べれば、今300万払うくらい、どうってことないだろう? な?」
「うっ……くっ……くくく……」
気づけばいい年した中年のおっさんが、嗚咽を漏らして泣いていた。かわいそうだが、身から出た錆ってやつだな。
料理はまだ来ていないが、支払いを済ませて俺は店を出た。
翌日、彼は本当に300万を持って来た。分厚い茶封筒に、銀行から下ろしたての札束を三つ入れて。俺に金を手渡す瞬間の、泣き笑いのような形相と言ったら、なかなか見れない類のものだった。これに懲りて、これからはまっとうな人生を歩んで行って欲しい。
さて、それはともかく。300万。300万だ。事務所に帰ってから一枚一枚数えてみたが、本当に一万円札が300枚あった。こんなにまとまった金を稼いだのは、生まれて始めてのことだ。今までろくろく、稼げやしなかったのに。これこそ、ボロ儲けってやつじゃないか。またやるか。発覚しないだけで、不倫なんてそこら中にあふれている。俺はそれを簡単に見つけられる。まるで、金の成る木だ。
しかし、そう何度もゆすりたかりが上手くいくとも思えない。いつか通報されて警察のお世話になるだろう。もっと、合法的なやり方はないものか……。
そうだ、ひらめいた。あるじゃないか、うってつけの職業が。
* * *
統合失調症。ありもしない幻覚や幻聴に悩まされる精神の病気。認知の歪みから被害妄想に陥ることもある…… 読んでいた本を机に投げ出し、俺はソファに横になった。アパー...
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連載やるならカテゴリ機能を使えばいいよ。 タイトルの最初に[連載増田小説]とか付けとく。
なるほど
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もう少し我慢して書けよ・・・
自分の芸術作品をひと目が多いからという理由で迷惑も顧みず投降してしかも文体そっくりの奴がトラバつけてたらくっせぇなぁ自分のブログでやれと思われるのは当然だよな
増田ではどんどん流れていくし他のエントリもあるんで小説投稿には向いてない。 なろうにでも同時に上げてくれよ。
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