やっと転職が決まったので、失業から再就職までの奇妙な3ヶ月間を書き記したいと思います。
とある独立系ITベンチャーに2年半ほど勤めていましたが、今年の3月に退職勧奨を受け、それに同意する形で退職しました。
最初から退職勧奨を言われた訳ではなく、新設される営業部への異動を打診され、それを断るなら…という形でした。
新設される営業部というのは、その時点では何を売るのかも決まっておらず、有り体に言って追い出し部屋+なんとか売上を
増やそうとする経営者側の悪あがきで、どういう意図があったにしても将来的に進展するような話ではありませんでした。
その話を聞く以前から会社の売上は目に見えて下落しており、また人材流出も激しく、私が辞める時には取締役4名を含む
30人以上も退職しているような状況でした。ちなみに私が入社した時点でも全体で70名程度の会社でです。
もちろん話を聞いた時はショックでしたが、一方で「ああついに」という納得感と、奇妙な安堵感を感じました。
安堵感というのは、正直なところ私も中途入社した1年目から既に他への転職先を探していましたので、こちらから辞意を
伝えることによる離職時のトラブルを避けられたという気持ちと、当時この話を取り仕切っていた取締役が、3ヶ月分の
私は3月の半ばにこの話を聞き、3月の終わりに同意してから出社しなくなりました。
それから約2ヶ月、正確には1ヶ月半ほどの間、転職活動に勤しみましたが、なかなか再就職先が決まらない中、最悪の自体を
想定して手続きしておいたハローワークの職業訓練校に入校許可が下りました。
正直、私にとっては甚だ微妙な状況でした。
実はこの何年か前にも失職中のつなぎのためにハローワークの基金訓練を受講していたのですが、それはもうひどい状況でした。
講師は某大手IT派遣の社員で正式な資格はないつなぎの講師(自分でそう言っていた)で、受講者を再就職させることも、資格を
とらせることも、毎日出席させることすらにも全く責任をもたず、「ただ出席確認してテキストを棒読みするだけ」な授業でした。
もちろんクラスのモチベーションが上がる訳はなく、かといって受講者も簡単に辞めるわけにも行かず、非常に閉塞感にあふれた
4ヶ月を過ごし、「もう二度とこんなところに来たくない」とすら思ったものです。
そんなところにまた通所する事になったのです。もちろん行きたくありませんが、それでも失職中にお金を受け取れるという話を
断れるはずはありません。嫌々ながら入校手続きをして、6月から受講し始めました。
ところが今回はなかなかよかった。もちろん有料の専門学校とは比べ物にはなりませんし、私が通っていたのも短期間だったから
かも知れませんが、講師陣のモチベーションが高く、こちらも背筋が伸びるような心地良い緊張感を維持することができました。
元々あくまで再就職のつなぎとしての失業手当目当て(※ハローワークで紹介される職業訓練校に受講すると受講期間中失業手当
が延長される。また自主退職などの給付制限がついている場合も給付制限が解除される)でしたが、講師陣の熱い思いに打たれ、
私も結構まじめに受講しました。また、どうも今年は「再勉強」というキーワードがついてまわっているような気がしていましたので
「再就職が決まるまでの腰掛けのつもりだったけど、どうせどうなるか判らんし、少し腰を据えて半年間マジメに勉強しようかな」
とまで思い、もうほとんど興味の失せた基本情報処理の対策や、完全に忘れきっていたアルゴリズムの再勉強などを結構まじめに
勉強していました。
ところが私はよくてもそれじゃ困るという立場の人もいました。転職会社のエージェントです。
彼らにしてみれば私はあくまで商品であり、私をどこかへ再就職させないと単なる不良在庫を抱えたままとなってしまうのです。
もちろん本当に不良在庫となってしまったならそのまま放置してもいいのですが、今までいろいろ紹介してきたのに、ここに来て
不良在庫化されたら…という気持ちはあるでしょう。彼らも半分は様子見で私に案件を紹介し続けました。
もちろん私にしても最終的には再就職できないと困ります。ですので今は勉強に打ち込みたいと考えていても、エージェント会社
との関係を繋いでおく事は重要でした。ですので半ば形式的に紹介があったら応募し、書類選考が受かれば面接を受ける毎日でした。
さて、そのような中で奇妙な事が起こりました。私の前社がTVに出たのです。
一体どういう形でTVに出たかは伏せますが、それは随分とネガティブな影響、有り体にいって炎上をまきおこしました。
正直私にとっては意外でもあり納得のいく事でもありました。
意外なのはTVでの露出の仕方で、それまでも前社や前社の社長は何度かTVに露出する事がありましたが、その時のような露出の仕方は
なかったからです。
納得したのは、炎上した内容がいかにも前社らしい「なにを伝えたいのか、なにをやりたいのかわからない」という部分で、それは
多くの視聴者からネットで指摘を受けた部分であり、かつ前社を去っていった多くの人達の共通の思いでもあったからです。
そしてその影響は、私の再就職にもつながりました。
私が応募した会社に、たまたま前社と近い業務をやっていた会社があり、その会社の採用担当者がたまたまそのTVを見ており、そして
当時の応募者の中に私がいたのです。
もちろん今時そんな事だけで再就職が決まるほど甘くはありません。その会社には2次面接の直前に採用試験があり、その内容は
基本情報技術者試験の試験内容からアレンジした問題を出題されるというものでした。そしてこの試験の出題範囲は事前に一切教え
られませんでした。
つまり基本情報技術者試験の問題を抜粋したものを、何の予備知識もなくその場で回答する必要があったのです。もちろん普通だったら
私に合格などできる訳はありません。ところが、ところがです。ちょうどその時に通っていた職業訓練校で、この試験範囲にかぶる部分の
…結果、その週のうちに内定を頂き、この7月からそちらの会社で働くことになりました。なんとも数奇な、奇跡にも近い再就職でした。
現在私は試用期間中で、今後もどうなるか判りませんが、余りにも奇妙な3ヶ月間を、誰にも伝えようもないこの事実を、どこかの誰かに
伝えたいと思い、長々と書き連ねました。
長文にお付き合い頂き、ありがとうございます。