はてなキーワード: チュービングとは
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32591700U8A700C1LX0000/ とそのブコメ http://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.nikkei.com/article/DGXMZO32591700U8A700C1LX0000/
これは日本のやり方が良いとか悪いとか、飯として豚骨が受け入れられるとか受け入れられないとか、ホテルの予約手法がいいとか悪いとかそういうことではないのだ。本当に身も蓋もないがそのとおりなのだ。
ここでは外国人=欧米の旅行者として話をする。同じ海外でも東アジアとか東南アジアとかそういったところは習慣が違うし、単なる観光旅行でアフリカとか南アメリカとかから日本に人が来ることも多くない。ちなみにこれから言う「旅行地としてのアジア」だけど自分の行ったところのある範囲に限るからそういう留保はしておいてほしい。
で、アジアに外国人が来る理由だが、特にあいつら食べ物を食べたいとか現地の人と触れ合いたいとかそういう目的でアジアに来てないのだ。いやもちろん現地のものだって食べるしエキゾチックな風俗嬢と遊びたい、って目的がないとも言えないのだがどちらも「体験してもいいかな」レベルの話なのだ。
だからホステルの食パンとジャムとシリアルとミルクとコーヒーしかない朝食に全く文句を言わない。要するにこれでコンチネンタルブレックファストとしては十分だからそれ以上求めてないのだ。海外旅行サイトで「〇〇でぜひやるべき100のこと」とかあるけれどあそこの食べ物を常食としたいのではなく「得難い体験イベントとしてちょっとやってみたい」だけなのだ。ちなみにアメリカンブレックファストが食いたいやつはホステルじゃなくて少しランクが上のホテルに行く。そっちなら卵の焼き方にこだわりの注文を付けられるコックがいるからだ。
台湾人はおそらく世界で一番外食としての朝食にこだわる人だと思うが、パンとコーヒーしかないホテルの朝食会場は欧米人で埋まっていた。もちろんこだわりの朝食を探しに出かけている人もいるだろうが(でなければ近所の豆乳屋の英語がスラスラ通じるはずがない)、コンチネンタルブレックファストが欧米人の旅行スタイルなのだからしょうがないのだ。
振り返ってみれば日本人だってそうだ。大した大きさでなくてもバスルームに湯船があればお湯を入れて浸かりたがる。シャワーで十分汗が流せるから良いじゃないかと言われても意識外のレベルで否定してしまうのだ。
アクティビティだってそうだ。みんなアジアに行ったら何をしたいか。寺を周るか、そこでしか食べられない美味いものを食べるか、絶景を見るか。欧米人がなんとか理解できるのは「絶景を見る」だけだ。寺も食いもんも「体験してもいいイベント」の1つでしかない。食べログが信用できないこれからはgoogle mapsだなんて話があるが非英語圏アジアの英語レビューにろくなものはない。なんで東南アジアでピザ頼んで不味いって言うんだ。なぜそこでイタリアンを食べたいと思ったんだ。理解不能だが仕方がないそういう習性の生き物なんだ。
話が逸れた。アクティビティだ。欧米人がしたいアクティビティったらトレッキングにサイクリングだ。奥地じゃチュービングにジップロープ、ちょっとイケるところならシュノーケリングにパラグライダー、どれもこれも欧米基準のアウトドアアクティビティだ。エクスペディアあたりのサイトはこういうアクティビティをやりたい人間が集まっているサイトだから、失われた王国が作った「新しい街」という名の古都とか、ベトナム戦争の滑走路が通常の道路として今でも使われる景勝地とか、4千の島が集まる滝の際とかどこもかしこも同じようなアクティビティで溢れていて、しかも外国人は楽しそうに遊んでいる。彼らにとって旅というのはそういうものだから仕方がないのだ。言い換えれば、旅行先というものがそもそもあいつらにとっては劣化ディズニーリゾートなのだ。バンコクの町中を走るトゥクトゥクはちょっとスリルを楽しめるカート、古いお寺は雰囲気を増すパビリオン。だから「予約の仕方が違う」とか「出てきた飯が自分の思ってたのと違う」で文句をいうんであって、それはもうそりゃすいませんでしたねと改善方法を考えるのもありなのだ。
ただ、ブコメで社長の目線が変だ、といわれているのもそのとおりで、どこもかしこもこういうやり方で集客しようとするのは「レッドオーシャン戦略」だということを我々は既に学んでいるはずなのだ。日本だって登りやすい山が多いところか、綺麗な水の海があるところか、新雪が山ほど降るところとか、数ヶ所で同じことをするならまだそういった他の目的地に飽きた人たちが来てくれるかもしれない。一斉にやる必要はない。先にやりだしたところが飽きられ始めた時に「隠された名所」として知られる手法だってある。ちなみに欧米人のアクティビティと違い、アジア人のアクティビティは自撮りだ。トレッキングスポットの整備よりインスタ映えする看板のほうが安く作れる。海外事例(この場合の海外は欧米ではなく東南アジアと台湾だ)を参考に作ってみたらいい。ついでに看板の端っこに南京錠かけるところ作っておけばカップルが南京錠買ってくれるよ。
ラオスでチュービングして洞窟探検して、バックパックに水とフランスパンのサンドイッチを入れてiPodでレッチリのカリフォルニケーションかaround the worldを聞きながらバイクで疾走したいです。走り飽きてどこかの川のほとりで休んでいたら、アメリカの爆撃のせいで義足になったお爺ちゃんと、アメリカの悪口をひととおり話し合いたい。そして珍しそうに俺を見る子供達に折り紙を折ってあげた後、一緒に川で遊びたい。宿に戻ってバイクを返し、テラスがあるレストランで真っ赤な夕日を眺めながらビアラオを飲み、ラエリーとガザの壁とメルカバについて小一時間語り合い、酔いつぶれて前後不覚になったぐらいで宿に戻り、食べ忘れてぐしゃぐしゃになったフランスパンのサンドイッチを食べながら、友人に絵はがきを2通出してから、日記をつけて眠る。