みたいなイメージが地元で強いらしく何気に人気の伝統校だったけど。
入学1ヶ月くらいは12歳の子供らしく席が近い同級生同士がちょい他人行儀に会話したり、とりあえず一緒に帰ったりして緩く仲良くなり始めるんだけど、1ヶ月経ったくらいから明白なマウント合戦が始まる。
いとうせいこうみたいな髪型で強度近視用のメガネ掛けてる「いかにもお坊ちゃん育ちです」って見た目の連中(ていうか半分くらいそんな外見だった。入学初日にクラスのメガネ率弾き出したら8割超えてて仰天した記憶がある)でも、
歳の割に体格良かったり元々の気性荒かったりする奴なら弱そうな同級生に突然馬乗りになって鼻血出るまでボコボコにしたり、
「顔が暗いから笑」で前の席の奴の後ろ髪をライターで炙ったりしてた。
そんな様子を傍から見てて
「こいつらなんて恐ろしい奴なんだ……目つけられたら殺される」
と俺は震え上がってたけど、冷静に考えるとそいつらも皆お勉強頑張ってきたお金持ちの家のお坊ちゃんなんだよな。
粗暴とかけ離れたタイプにしか見えない中学1年のメガネくんが、
血だの火傷だの失明リスクだのにひるまず大笑いで同級生たちを痛めつけてるのは結構異様な光景だったと思う。
あと、家が寿司屋の同級生が裏でめちゃくちゃ笑いものにされてて衝撃を受けたのも思い出した。
下の毛が生えるかどうかの歳で職業の貴賎的な概念をすでに周りは普通に備え持ってたようで、年齢相応に幼かった俺はひたすら
「人の親のことバカにするのは思いっきりタブーだろ。ていうか寿司屋で何で笑ってんの?」
と混乱してた。
一部の人間が大人になって身につける類の嫌な差別心をそんな歳でどうやって身につけてたのか未だに分からない。
野球部が圧倒的に偉かった。
野球部がカーストトップで周りがビビって何も言えないみたいな風潮は多くの学校であるあるなんだろうけど、うちの野球部員はとにかく暴れまくってた。
休み時間、虫の居所が悪ければ金属バットで教室のロッカーベッコベコにするし、鉄アレイとか周りの人間の机を砲丸投げみたいにぶん投げまくって大暴れするし。
パフォーマンス感は全然なくて、本当に突然癇癪起こして気が狂ったみたいに暴れ出してたからみんな震え上がって嵐が過ぎるのをひたすら待ってた。
でもそんな彼らがタバコだけは絶対に吸おうとしてなかったのは今でも不思議でならない。
かくいう学生同士のカーストが下位の自分もどういうわけか大学途中くらいから
と、悪い思い出をなかったことにして気づけば母校愛が強いOBの1人にすっかりなってたけど、
最近になって、なかったことにしてた思い出が急に色々脳裏に蘇ってきてモヤモヤしてたのでここに吐き出した。
あいつら何不自由のない裕福な家に生まれ育って、同世代平均を上回る知能があって……
要するに恵まれてたくせに、なんであんな小さい時分から粗暴だったり差別的だったりしたんだろ。
父子2代どころか祖父、父、子3代でOBみたいな家も珍しくない学校だったけど、俺は自分の子供は絶対に入れたくない。
以前ネットで慶応大学野球部の就職先が凄いみたいなのが話題になってて見たけど、うちの学校の同級生連中のほうが良かった。
中高一貫のくせに「現役で早慶受かったら凄え」程度のレベルでしかない学校だったのにもかかわらず、明白にウチのほうが良かった。
1億積まれても入れたくない。