2023-05-14

昔、ケータイ小説ってのが流行ってて

アレは書き手読み手女性が多かったけか。

当時、クラスメートが書いてたのを思い出す。

俺はというと内心“そういうカルチャー”を下に見ているような、文化人を気取る典型的イタい若造だった。

現代なら「陰キャ」と一括りにされていただろう。

そんな陰キャと、そのクラスメートは仲が良くも悪くもなかった。

だが、クラスメートから教室内にいれば姦しい会話は嫌でも耳に入ってくる。

耳にこびりついてしまったので、気になってその小説に目を通したこともあった。

結局、面白かったんだが、面白くなかったんだが、今ではタイトルすら思い出せない。


俺がケータイ小説の潮流を特に感じたのは、確か『あたし彼女』っていう作品が何らかの賞をとったというニュースだったか

ケータイメールブログを書くような文体で書かれた本作は、ある意味で「ケータイ小説」というジャンル象徴していたように思う。

それは、このジャンルに今まで触れてこなかった人間も巻き込み、賛否両論の渦を起こした。

そして“賛否両論”なんて表現をするときは、えてして“否”が多いものだ。

かくいう俺も“そのクチ”だった。

小馬鹿にする意図で『あたし彼女』の文体を真似てSNSに書き込んだりした。

「完全に駄作だし、こんなのに賞をやる奴らも阿呆」といった具合の振る舞いである。

今でも本作を面白いとは思っていないが、あれにも評価すべき点があったのは確か。

あげつらうこと自体目的になっていたのは文化人として3流だったな、と我ながら思う。


そんな潮流のケータイ小説にも「定番材料」といえるものがあった。

今でいうなら“なろう系”の「異世界」だとか、「転生・転移」だとか、「RPG要素」だとかだが。

ケータイ小説でいうと、それは「セックス」だとか「不倫」だとか、「妊娠中絶流産」といったものだった。

なぜそういった材料定番化したのかを分析できるほど俺は有識者ではない。

それでも考察するならば、「自分にも関係なくはないけど、非日常感のあるシリアス材料」がそれらだったんじゃないかと。

あれらの書き手読み手には学生が多いと思うし、学生は保健体育で性知識を学んだばかりだから創作で使いやすかったんじゃなかろうか。

正直「流行ってるから流行った」だけのような気もするが。


はてさて、なんでこんな話を、今さら

きっかけは『ママ友達』という漫画だ。

はてブでもホッテントリになったようなので、既に読んだ人も多いだろうか。

作家普段りぼん」で描いているらしく、なるほど絵柄もそうだが表現演出コマ割なども実に少女漫画って感じだ。

漫画なら何でも読んでた頃は家族が買ってきたマーガレットも貪っていたが、概ね製法は変わってないんだなっていう安心感を覚えた。

そんな製法で作られた本作は、扱われる題材がケータイ小説みたいで不思議と新鮮。

皆にはどう映ったのだろうとブコメを眺めてみると、“リアリティ”があるだのないだの語る様子が目に留まった。

そういえば『あたし彼女』の選者にも、あれ(あたし彼女)を“リアル”だと評価している人がいたのを思い出す。

その妥当性はともかく、その時に俺はケータイ小説の潮流を、ふと感じたのだった。

潮の満ち引きは海が枯れない限り続くのかもなあ、みたいな?

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